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Date: Wed, 26 Jul 2000 17:22:06 +0900 (JST)
From: ソード  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20284] [WP01P] エピソード『残ったノート』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200007260822.RAA03586@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 20284
2000年07月26日:17時22分06秒
Sub:[WP01P]エピソード『残ったノート』:
From:ソード
こんにちは、ソードです。
 終末の住人のエピソードです。
 譲さんをお借りして……というより、Eさんのネタです(笑)
 もし、別の構想があるようでしたら、そちらでかまわないので……。
 一応チェックお願いします。
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エピソード『残ったノート』
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登場人物
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月島直人(つきしま・なおと):
    :喫茶店・月影のマスター。終末の住人
青天目譲(なばため・ゆずる) :
再び来店
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 SE     :カラカラン
 直人     :「いらっしゃいませ」
 いつものドアベルの向こうに、いつものマスターの笑顔があった。
 譲      :「お久しぶりです」
 直人     :「ええ、合格したのですね。おめでとう」
 譲      :「はい。おかげさまで何とか……。ありがとうございます」
        :(席につく)
 マスターが本当に喜んでいるのが分かる。
 しかし、受験に成功したのを喜んでいるわけではない。
 自分が無事なことを、まるで自分の事のように彼は喜んでくれているのだ。
 直人     :「なににしますか?」
 譲      :「いつも……のやつを」
 時々あいまいになる記憶を奮い立たせるように言う。
 途端、マスターの心に不安の色が広がる。
 直人     :「無理して違和感を増やすことも無いと思います。貴方の心
        :をそんなことに遣っているのはもったいない」
 譲      :「違和が広がれば、どうなるかも知りたいので」
 直人     :「自分を実験に使うことはないと思いますよ。……どうぞ」
        :(コーヒーを出す)
 譲      :「ありがとうございます……ところで、あのノートは?」
 直人     :「ああ、ちゃんととってありますよ」
 一度店の奥に引っ込み、一冊の大学ノートを持ってくる。
 直人     :「これですよね? 年明けの瞬間に手に取っていましたから、
        :ここにあるのは当然という気もしますが……」
 譲      :「問題は中身……ですか……」
 手にとって開いてみる。
 中は白紙。やっぱり……と納得し、そこに書いてあったこともなんだったかな
ど覚えていない。最初から白紙であったのかもしれない。
 直人     :「何かあいてありますか?」
 譲      :「いえ……なにも」
 直人     :「そうですか」
 静かに微笑むマスターの心は、少しだけ安堵し、少しだけさみしげであった。
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