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Date: Wed, 26 Jul 2000 14:21:59 +0900 (JST)
From: 久志 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20277] [IC04] 『落下論』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200007260521.OAA94211@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 20277
2000年07月26日:14時21分58秒
Sub:[IC04]『落下論』:
From:久志
久志です。
コルチキってみました。
なんだか意味不明なEPだねー(^^;)
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『落下論』
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登場人物
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矢来美奈(やらい・みな):呪術編物をする、呆けた女子高生
半田一志(はんだ・かずし):通称バンビー、落下論信者なコワレモノ学生
本編
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ここに来てからどれだけ時間が経ったのかな。
コルチキンタワー、なんだか人を小馬鹿にしたような名前。実際、馬鹿に
されてるのと大差ない毎日を送っている。
その日最後の授業、はじまって十分と経たないうちに終了の音程の外れた
尺八みたいなチャイムが鳴った。
ばたばたと席を立つ生徒達を見送ってから席を立つ。机の脇にかけた手提
げを持って教室を出る。
「よお、来たな」
「こんにちは」
落下論研究同好会。確かそんな名前の同好会の部屋らしい。
張り出した窓と景色が気に入って、あたしはよくここに来る。編物をする
のに丁度いいから来ているだけで、この奇妙な会に入る気はさらさらなかっ
たし、会長である彼も無理に入れとは言わなかった。もっとも入る気があろ
うとなかろうと彼は何も聞いてないし聞いてこないだけだったけど。
窓に腰掛けて、手提げに入った毛糸と編かけのマフラーを引っ張り出す。
そろそろこの手提げじゃ小さくなってきたので専用の新しい袋を作らないと
いけないかもしれない。彼は一人でしゃべっている、誰も聞いていないこと
も誰もいなくとも、彼はいつまでもしゃべっているのだろう。
「人はすべからく落下するものであり落下こそ真理である」
はじめは何を言ってるのかさっぱりわからなかった。
「てゆーかさ、生きるとは落ちることと見つけたりってカンジ?端的に言う
と落ちる=シヤワセって奴、わかる?ほら、キミ信じてねえな、マジだぜ、
ホント」
はじめに合った時の開口一番の言葉。今でもその真理がわかったと思わな
いけど、彼がいわゆるそういう人だと言う事はわかった。
死ぬことも逃げることもできない生徒がたどり着くもの。
それが彼の言う所の落下論なのだろう。
あたしはそうなりたくはないけれど、理解はできるかもしれない。
「よお、聞いてっか?」
聞こえてはいる、内容は頭にはいってないけど。
「ていうか、鳥ってなんで飛ぶか知ってるか?鳥は落ちるんだよ、すべから
く生けるものは落ちてんの、つーかなんだって生きているものはいつか落ち
るんだよ、知ってっか?」
答えない。
彼に必要なのは答えでなく、話すことだけなんだろうから。
「そうだよな、だからここの奴らは落下を求めてとびたつんだ」
ただしゃべり続ける。
誰もとめないしとめる必要もない。
あたしが黙ってただ目を編んでいくように、彼は一人でしゃべり続ける。
それが、このタワーでの日常だから。
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いじょ