[KATARIBE 20265] [HA06P] 『雨降る日』

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Date: Tue, 25 Jul 2000 23:05:56 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20265] [HA06P] 『雨降る日』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200007251405.XAA64985@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 20265

2000年07月25日:23時05分56秒
Sub:[HA06P]『雨降る日』:
From:E.R


こんにちは、E.Rです。
えぴそど、二つ目です。
……ああそだ、多分、文章関係は10のうち7つです。
あとは、イラストになります……多分(ぼくっ)

というわけで、あるIRCでの一幕より。

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エピソード『雨降る日』
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登場人物
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 平田阿戸:
 蒼月かける:
 里見鏡介:
 瑞鶴の猫:

本文
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 梅雨明け宣言の直後に雨が降るのは、これはもうお約束というもので。
 けれども、その宣言にたやすく騙されるのもまた、人の常。

 平田     :(ううむ、傘が無い……)

 なまじ、中途半端な降りなので、つい歩いてしまうが、実は結構ずぶぬれに
なる雨である。
 うんざりして、視線を上げたところに。

 かける    :「ねこー(ねこじゃらしふりふり)」
 瑞鶴の猫   :「…………(おおあくび)」
 かける    :「うぐぅ」
 平田     :「……」

 今年の春から、ずっと閉店状態の店の前に。
 腐れ縁の青年と、えらくふてぶてしい猫と。

 かける    :「ねここうていだぞ〜(きこきこ)」
 瑞鶴の猫   :「なーご(おや気が利くね)」

 遠目にも、ふてぶてしさは明らかである。
 
 平田     :(相変わらずふてぶてしい奴だ)

 と。
 猫がふと平田の方を見る。

 瑞鶴の猫   :「……なう(どうしたい、濡れるよ)」

 手招きするほど、愛想が良いわけも無いが……それでも何となくその意向は
わかるもので。
 何となく……何となく、瑞鶴の軒先に入る。

 かける    :「ほら」
 瑞鶴の猫   :「なう(ああ、ありがとね)」

 はぐはぐと、缶に頭を突っ込んで食べ始める。
 平田は、何となくシャッターの閉まったままの店を眺める。

 一度だけ、ここには来たことがある。
 節分の日。鬼の扮装をした店員に驚かされたことは記憶にそれでも新しい。
 次に通りかかったときには、既に閉店状態だった。
 いつも行く無道邸の執事候補に、そう話した。
 ああ、何だかご親戚の関係で閉店になったようですよ、と。
 サングラスを常備した青年は笑って応えたものだが。

 初めての店と、そこの店員と。
 それがどうこうではないのだが。
 それでも、通りすがりの一軒が、歯の抜けたように常に閉店状態、というの
は……
 それはそれで、何となく物寂しい。

 平田     :「おい、フランコ。お前の主人は何時まで留守にするつも
        :りだ?」

 ふい、と、愚痴をこぼすように言う。
 まるで言葉が通じるように、猫が頭を上げる。

 瑞鶴猫    :「…………なう(さあねえ)」
 かける    :「うぐぅ……」

 意味がわかるのだろうか、と、問いかけて……結局黙る。
 意味がわかったところで……猫も、答え様があるまい。

 と。

 鏡介     :「……次の春になったら、ふらりと帰ってきそうな気もす
        :るけどね。あの人達は」

 ふらんと。
 雨に伴う風に吹き込まれたように。

 平田     :「……っと(汗)」
 鏡介     :「なあ、チンゲンサイ」

 かろく、そう声をかけられた猫は、缶に突っ込んでいた頭を持ち上げた。

 瑞鶴の猫   :「……ふすん(だといいけどねー)」
 平田     :(ううむ……名前はフランコじゃなかったのか)

 …………それはちがいます(きっぱし)

 平田     :「……次の春、か」
 瑞鶴の猫   :(はぐはぐ)
 平田     :「……相変わらずふてぶてしい奴だ。仕方が無いから『鏖
        :殺の凶鳥』はよそで注文するぞ。まったく」
 瑞鶴の猫   :「…………なう(どーぞご随意に)」

 およそ可愛げのない声で鳴いた挙句、一つ顔を前足でこする。
 見様によっては、目をこするようにも見える。

 鏡介     :「ふてぶてしいんじゃなくて、眠いんだよな。バイバイ」
 瑞鶴の猫   :「……なう(んじゃねー)」
 平田     :「……え(汗)」

 ふらん、と。
 雨はまだ止まないというのに。

 かける    :「……本降りになって出て行く雨宿り(ぼそっ)」
 平田     :「(汗)」
 瑞鶴の猫   :「……(食べ終わって、一つ舌なめずり)」

 ばららら、と、大粒の雨が降る。
 張り出し屋根の下で、平田とかけるははずみのように肩をすくめる。
 猫は一つ伸びをして、また丸くなる。

 
 雨の日の、瑞鶴の風景である。

時系列
------
2000年7月中旬

解説
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白波三人男と、猫の風景……でもないですけど(汗)
ふぃと、某所での会話から浮かんだ風景です。

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 というわけです。
 あ、訂正修正等、どんどんたのんますーー(爆)

 んであであ。




    

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