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Date: Fri, 21 Jul 2000 07:44:31 +0900 (JST)
From: ji-guy@dike.dricas.com
Subject: [KATARIBE 20223] [WP01P] エピソード『幼さと宿命と』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200007202244.HAA10850@mailsv1.dricas.com>
X-Mail-Count: 20223
吉GUYです
久しぶりにWPを
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エピソード『幼さと宿命と』
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昇
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何処かのある一室。正方形のその部屋に結界が出現する。
老爺 :「始めるぞ」
孩子 :「是!(はいっ)」
拳法着に身を包み手に革のグローブをはめた師父と思しき老人と、同じいでた
ちをし、頭髪を後頭部で束ねている十を越えたばかりと思しき幼い少年は、部屋
の四方の壁に
無数に突起したフックにワイヤーをかけ始める。
全てのフックにワイヤーを掛け終わると、フックの傍のハンドルを回し、ギリ
ギリとワイヤーを締める。
そうして、ぴん、と張られた数十本のワイヤーが、結界の中のこの部屋のあら
ゆる高さ、方向に張られる。
孩子 :「吩!」
老爺 :「哈!」
ワイヤーを張り終わった二人は、部屋の中央に戻り、包拳礼をとる。
SE :タンッ!
老人が跳躍し、一番高い位置に張られたワイヤーの上にに曲芸師の様に着地す
る。
老爺 :「来い」
孩子 :「是!(はいっ)」
少年は、老人の様に一足跳でそこまで上がれない。少年は跳躍し、手近のワイ
ヤーに手をかけようとする。
孩子 :「!」
少年は結界の外に放り出される。結界の外の同じ位置にはワイヤーが無い。
少年の手は空を切り、その身体はバランスを取り損ね着地し、膝を床に着く
少年は再び老人の結界の中へ戻される。
老爺 :「どうした。早く来い」
孩子 :「是(はい)」
少年は老人を見上げる。
少年は再び跳躍する。今度は油断しない。
跳躍した先にあるワイヤーに手をかけ、そこを軸に鉄棒で蹴上がるように身体
を反転させる。足首を更にその上のワイヤーに引っかけ、今度は足首を軸に回転
し、その勢いで上体を引き上げる。
SE :ガッ…ガッ…ガッ…ガッ……
起き上がり小法師が斜面を降るのとはまるで逆の要領のように、少年はワイヤ
ーの段差を登り上がって行く。
老人はタイミングを観て少年を結界の外へ押し出そうとするが、少年は回転し
ながら決界の波を読み、その力をいなし、かわす。
SE :ぎしっ……
少年が老人の放つ結界の力を凌ぎきり、同じワイヤーの上に立つ。
二人分の加重でワイヤーがきしむ。
老爺 :「好(よし)」
孩子 :(にこっ)
二人が相対し構える。
練
--
ワイヤーの上。
孩子 :「哈!」
つぅっ……と間合いを詰め、少年が順歩で左拳を打ち出す。
SE :パシッ……
右半身を前に構えた老人は、右手でその打を内側に払う。
孩子 :「耶!」
少年は払われた力を利用し、前に踏み込んだ左足を軸に回転し、右脚を中段に
蹴り出す。
老人がしゃがむと同時に歩幅を広げ、右脚で少年の軸足を狙う。
少年は蹴り出した右脚の軌道を代え、老人の膝を狙う。
孩子 :「!」
その瞬間、少年が老人の結界の外に弾き出される。
結界の外にワイヤーは無い。
少年は体重を預けていたワイヤーを失い、落下する。
落下しながらとっさに結界の中へ再び進入し、一瞬前まで脚をのせていたワイ
ヤーに手をかけ、そこを軸に回転する。
孩子 :「吩!」
回転の勢いで空中へ上昇、そのまま天井を蹴り、三角跳で身体を捻り、右脚跳
び蹴りを老人の頭上へ放つ。
少年の跳び蹴りを右半身に構えた老人が捌こうとする瞬間。
少年が消える。
否。
一瞬の間に結界から抜け、瞬時に結界内に戻る。
SE :ギシッ……
老人の背後、ワイヤーの上に少年が着地。
少年は振り向き様に左裏拳を打ち出す。
孩子 :「哈!」
老爺 :「吩!」
SE :ドンンッッ……
老人が少年の拳の間合いの内側へ素早く体を滑り込ませ、靠(肩背撃)で少年を
吹っ飛ばす。
飛ばされた少年は、猫の様に空中で回転しバランスをとる。
姿勢を立直し手近なワイヤーに着地……寸前に結界の外へ押し出される。
空中を落下する少年が、自ら結界内に戻ろうとするより先に、老人が少年を結
界内へ引き戻す。
SE :ぎしっ……
孩子 :「ぐえっっ……」
その結界内への召喚のタイミングは、落下する少年の首をワイヤーが見事に引
っかける。
SE :ビンンッッッ……
SE :ドサッッ!
ワイヤーが少年を弾いて音を鳴らす。
少年は、突然の苦痛で判断力が鈍り、受け身も取れずに床に落下し、背中を打
ちつける。
苦痛で悶える少年をワイヤーの上から老人が見下ろす。
宿命
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少年の師であり祖父でもある老人は解っている。
少年が、本来ならまだ小学生に過ぎないこと。
まだ遊びたい盛りであること
まだ父母が恋しい歳頃であること
まだこの様な訓練は過酷な年齢であること
老人は全てを考慮し、床に這う少年に声をかける。
老爺 :「侠児、終りではないぞ。どうした、早く上がって来い」
少年が幼いことなど、少年に与えられた宿命を消してしまえる理由にはならな
い。
侠児 :「……是。師父(はい、先生)」
侠児と呼ばれた少年は、喉と背中をやられた所為か、目に涙を浮かべ、咳き
込みながら立ち上がり、頭上の師を見上げる。
登場人物
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厳侠児(げん・きょうじ) :
:幼い頃より、決界能力者としての戦闘訓練を受ける。
:彼の正確な覚醒時期は……?
老爺 :
:侠児の祖父であり、侠児の武術・結界能力の師父。
時系列
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厳侠児、10歳の頃
解説
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幼少期より決界能力の訓練を受ける厳侠児。
その瞳に写るのは、師か祖父か。
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何だか書いててゴチャゴチャしてしまいました(滅)
もーちょっとなんとかならんものかなーとは思うのですが(うーむ)
吉GUY@力不足の未熟者
ji-guy@dike.dricas.com