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Date: Wed, 19 Jul 2000 15:39:36 +0900 (JST)
From: 御滝圭介 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20207] [HA06P] 『月に乾杯』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200007190639.PAA69938@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 20207
2000年07月19日:15時39分35秒
Sub:[HA06P] 『月に乾杯』:
From:御滝圭介
[HA06P] 『月に乾杯』
どうも、ケイスケです。
ちょっと遅いですが、時事ねたです。
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『月に乾杯』
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2000年7月16日の午後8時半頃、吹利市内の家の縁側に健一は座っていた。
健一 :「もうすぐ始まるんだなあ」
闇烏 :「そうだな。何も起こらないといいけどな」
健一 :「はい。せめてこの一大ショーを見終わるまではね」
そう、後数十分もすれば後1787年経たなければ見られないほどの皆既月食が
始まるのだった。満月はただでさえ妖魔に影響する。その上月食が起きたらどうい
うことになるのかはわからなかった。
8時57分、そうこうするうちに月食が始まりだした。
闇烏 :「欠け始めたな」
健一 :「ああ。そうですね」
肉眼で何とかわかるくらいだが、左の方から満月がだんだんと影の中に入っていく
のがわかった。その影がだんだんと大きくなっていき普通の月の満ち欠けとは違う欠
け方を月はしていく。
健一 :(すごい……)
声も出せず、じっと月が欠けていくのを健一は見つめていた。
ついに黄色い光は影に飲み込まれ、後には赤い月が残っているだけである。
健一 :「月が赤く見えることがあるって本当だったんだなあ。
:……ちょっと河原に行って来るか」
闇烏 :「ん?」
健一 :「ここじゃあ、ちょっと街の明かりが強いからね。きっとご同類
:さんもいると思うし」
闇烏 :「(そういうことか)じゃあ、いってきな。連絡があったらすぐ
:飛んでいってやるよ」
健一 :「いつもすまないね」
家を出て自転車に乗って近くの河原まで出る。予想したとおり、家族や友達同士、
カップルなどがちらほらとこの出来事を見に集まっていた。
健一 :「(いたいた)岩崎さん、池田さん、圭人、こんばんわ」
圭人 :「よっ」
岩崎 :「あら、健一遅かったじゃない」
健一 :「家の方で欠けるまでは見てたんで。……ところでそこにあるの
:は?」
岩崎 :「お酒だけど、……飲む?」
健一 :「後で、形だけもらっておきよ」
圭人 :「相変わらず堅いなあ」
健一 :「いえ、まだ肝臓を痛めたくないだけだよ」
空に浮かんでいる赤い月も完全に地球の影に入り始めたのか左側から闇に隠れてい
く。
健一 :「やっぱり、完全に見えなくなるのか……。そう言えば……」
池田 :「SYSTEMの方なら大丈夫よ。監視はプロの方が動いている
:から、うちらは見張れる範囲だけでいいってさ。いざとなったら
:時田から連絡するって。それに見張るなら全員で、人の集まると
:ころを見張ったくれた方があちらさんも安心だってさ」
健一 :「あの人にはいつも迷惑かけてるなあ」
圭人 :「俺達が闇雲に見回るよりも、上の術士連中が見張りの術をはっ
:ておいた方が、いいってことさ」
岩崎 :「私はみんなよりさらに気楽よねえ。OBだし」
圭人 :「いえ、OBはいざとなったとき現役より頼りにされるものです
:よ」
岩崎 :「はいはい」
そうこうしているうちに月は太陽の光が完全に当たらなくなり、肉眼では見えない
ようになる。
池田 :「消えちゃったね」
健一 :「ええ、予想だと後40分は消えたままですね。今のところは大
:きな動きはないようですし……」
SE :ぶるるるる……
圭人 :「おい池田……、そこの振動は……」
池田 :「え、私の携帯受信してる(汗)。ちょっちょっとまってよ」
焦って携帯をとりだしてうける。
池田 :「もしもし、こちら池田……」
時田 :「時田だ」
池田 :「げ、時田あ?!」
時田 :「なんだそのいやそうな声は……。そちらはどうなっている」
池田 :「どうなっているって……。別に変わったことはないけど。もし
:かして……」
時田 :「うむ」
池田 :「ちょっと待ってよお(汗)」
時田 :「じつはな……」
全員 :(ごくっ)
時田 :「……今のところ動きはないそうだ」
池田 :「んなことでかけてくるなあ!!!」
時田 :「それじゃあ、また明日」
SE :ぶつっ
岩崎 :「見ない間に時田のやつ、冗談が言えるくらい成長したのね」
圭人 :「たち悪すぎだ」
健一 :「まったく」
池田 :「あ〜〜、頭にくる。やけ酒よ。そこのをとって!」
岩崎 :「駄目! 飲むのはこれが終わってからよ。一応あなた達は勤務
:中でもあるのよ」
池田 :「堅いねえ」
健一 :「池田さん、上見た方がいいですよ。今出始めていますから」
上を見ると、今まで隠れていた赤い月が闇から帰還し始めている。
健一 :「これ見ていると思い出す物があるんだよなあ」
圭人 :「(ぽん)オール黒、+1/+1か?(笑)」
健一 :「そう言うこと(苦笑)」
圭人 :「このギャザラーが(笑)」
岩崎 :「ちょっと、こんな所に来てまでぎゃざの話題は無しよ」
健一 :「へーい」
そうやって三人が話している後で池田がごそごそとなにかをしようと動いている(笑)
岩崎 :「池田あ〜〜、私の後で口に付けようとしている物から手を離し
:なさい」
池田 :「(ぎくっ)なんでわかるの?!」
圭人 :「そりゃあねえ」
健一 :「なあ」
岩崎 :「後でこそこそしていたらわかるって(苦笑)」
池田 :「ちぇっ」
健一 :「皆既食は終わりに近づいているようですね。だいぶ赤い色が明
:るくなってきましたね」
圭人 :「ああ、そうだな。ちょうど今、黄色く光るところが見えてきた
:ぞ」
圭人の言うとおり、赤い月の左側から黄色くまぶしい光が見え始めた。
岩崎 :「月の光って、いつもは気付かなかったけどあんなに明るいもの
:だったのね」
健一 :「ええ、こうしてみていると確かにすごい現象ですよね。これな
:ら昔の人たちが不吉な現象と見てもおかしくはないですよね」
圭人 :「実際、十分不吉だと思うがな」
池田 :「あと数十分〜〜。仕事が終わる〜〜。酒飲める〜〜」
健一 :「本当にあと少しなんですから我慢してくださいよ(苦笑)」
月はその黄色くまぶしい光を左側からゆっくりと取り戻しっていった。そしてつい
に、右側に残っていた小さな黒い部分を光の中に飲み込んだ。
圭人 :「終わったか……」
岩崎 :「ああ、終わっちゃったね」
健一 :「言葉に表せないくらいすばらしいかったですね」
池田 :「さ〜〜て、飲みましょうか」
岩崎 :「はいはい、で健一はやっぱりやめとく? うちでつけた梅酒な
:んだけど」
健一 :「いえ、少しだけ今日はいただきますよ……。って、その大コッ
:プに少しって言うのは無しですよ、池田さん」
池田 :「ちえっ、ばれたか」
健一 :「それ持って、にやっとしたら普通ばれますよ。それにここで飲
:むのはみんな一杯にしておきましょ。」
岩崎 :「そうね」
池田 :「え〜〜(憮然)」
岩崎 :「あなた一応未成年でしょ。飲みたきゃ後で時田の所にいってか
:ら飲ませてあげるわよ」
池田 :「ならいいか」
全員にお酒の入ったコップが回される。
池田 :「じゃあ、健一おんどとってよ」
健一 :「ちょっちょっと、そう言うものは年長者がとるもので……。岩
:崎さんやってくださいよ」
岩崎 :「こういう音頭とるの初めてでしょ。慣れときなさいよ」
圭人 :「うんうん」
健一 :「圭人〜〜、無責任に頷くな〜〜。おまえがやるか」
圭人 :「池田のご氏名はおまえだ」
健一 :「はいはい、それじゃすばらしいものを見せてくれた月にと、我
:々の今後の無事を祈って……」
圭人 :(苦笑)
健一 :「乾杯」
全員 :「かんぱ〜い」
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うう、自分の文才のなさが悔やまれる(泣)
月食に感動して書こうと思ったのに、うまく言葉で表現できないんだよ〜。
健一の行動は半分は本体に準じておりますが。
それでは、ケイスケでした。
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御滝圭介
mitaki@yahoo.co.jp