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Date: Fri, 14 Jul 2000 01:49:13 +0900
From: k-sasaki@tg7.so-net.ne.jp (k-sasaki)
Subject: [KATARIBE 20149] [HA06P] エピソード『交差点』（完成版）
To: kataribe-ml@trpg.net
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こんばんわ、ぼ〜みんです〜
ＥＰの完成版です。
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エピソード『交差点』
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登場人物
火撫楓（ひなず・かえで） ：吹利学校高等部実験科の二年生。寝坊癖有り。
朝の風景
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目が覚める。
火撫 ：「ぅ〜〜ん」
朝である。平日の朝。いつもの朝。
火撫 ：「って、遅刻だ〜！」
時計を見たその瞬間から騒がしい朝へと一転するのもいつも通りといえばい
つも通り。
火撫 ：「何で起こしてくれなかったんだよ〜」
母親 ：「な〜に言ってんの、朝御飯食べてまた寝たんでしょ？」
火撫 ：「……」
そう言われればそんな気もしなくはない。
しかし、例えそんな気がしたところで、遅刻するかしないかの瀬戸際にいる
のには何の変わりはない。
火撫 ：「のわぁー、やべぇー、いってきまぁ〜す」
母親 ：「いってらっしゃい、気をつけるんだよ」
手早く支度を済ませて、家を飛び出す。
交差点
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学校へ行く途中の交差点。信号は赤。ところで「ススメ」の色は青なんだろ
うか、それとも緑なのだろうか？ 人によって意見が違うがはっきりしてほし
いと思う。因みに火撫は青だと思っている。信号によっては妙に緑っぽいのが
あるが、あれもよくない。青なら青、緑なら緑できっちり統一するべきではな
いか。……話が逸れた。
火撫 ：「（なんでこー、急いでる時に限って目の前で赤になるん
：だかな〜）」
腕時計と信号を交互に見比べる。
信号の待ち時間はいつもと変わらないのに、心に焦りがあるからいつもより
ずっと長い、長〜い時間に感じられる。
火撫 ：「（また遅刻になるのか〜？）」
などと考えた、その瞬間。
さぁーっと、目の前が開けた。
渡し
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ＳＥ ：チチチチチ……
どこからか、小鳥の鳴声が聞こえてくる。
先ほどまでの夏の蒸し暑さはなく、日射しが柔らかい。
火撫 ：「！？」
頭の上に疑問符が飛び回る。
何が起こったんだ？
とりあえず、自分が立っているところを自分自身に聞いてみた。
答えは明らかなのだが。
火撫 ：「土手」
そう、間違いなく、土手。どういうわけか分からないが、今彼は土手に立っ
ている。前の方に見えるのは幅の広い大きな川。魚が一匹「ぱしゃん」と跳ね
るのが見えた。
？？？ ：「おーい、兄ちゃん、なにぼーっと突っ立ってンだ」
前から声が聞こえてきた。
川辺りに木船をとめている初老の男性。愛想のよい笑いをうかべている。
火撫 ：「え？ え？ え？」
船頭 ：「ほれ、はやく乗りなー」
火撫 ：「え、あ……、はい」
よくわからないまま、乗り込んでしまう。
７、８人は乗せられそうではあるが、下手に暴れたらそのまま沈んでしまい
そうな木船。今、客は火撫１人だけ。
急いで学校に行かねばならないはずなのに、どういう訳か焦りは湧いてこな
い。立ったままいるのは危なそうだから船頭さんの近くに腰をおろす。
船頭 ：「おぅっし、出すぞー」
長い棒で岸をつき、船頭さんは木船を川の中へゆっくりとすすませる。
川は、木船を懐に抱いても何の変わりようもなく、のんびり、ゆったり。
船頭 ：「兄ちゃんは学生さんか？」
火撫 ：「はい、そうです〜」
船頭 ：「そ〜ぅか。どうだ？ 学校は楽しいか？」
火撫 ：「えぇ、いろいろあって楽しいですよ〜」
船頭 ：「ん、楽しいのが一番」
のほほ〜んと、船上の会話は続いて。
のほほ〜んと、心地よい日射しあり。
火撫 ：「いい天気ですねぇ」
船頭 ：「いい天気だねぇ」
あれこれ話しているうちに船は対岸に着いた。船頭さんに礼を言い、木船か
らおりる。「お金は？」と聞いたら、「んなもんいらねぇ」と返ってきた。
船頭 ：「おぅ、気をつけるんだよ」
木船をおりてちょっと歩いたら、船頭さんが言葉をかけてくれた。
そしてまた、視界が急変した。
交差点、再び
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ＳＥ ：ざわざわざわ
雑踏が戻ってくる。
火撫は信号を見た。赤。
次に腕時計を見る。遅刻するかしないか、瀬戸際の時間。
そして、自分の立っている場所。
火撫 ：「（横断歩道……渡ってる）」
さっき立っていた場所と車道を挟んで反対側に立っていた。
火撫 ：「学校……行かなきゃぁ」
でも、急ぐ気にはならなかった。
火撫は「んーっ」と大きく伸びをすると、のんびり、ゆったり、歩き始めた。
教室で
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先生 ：「火撫君、遅刻」
時系列
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2000年夏の始め
解説
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いつもの朝に火撫が遭遇したちょっとした出来事です
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でぁ〜
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ぼ〜みん
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