Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage
Date: Sat, 8 Jul 2000 01:03:43 +0900 (JST)
From: タイガ <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20046] [KMP] 『願い』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200007071603.BAA41847@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 20046
2000年07月08日:01時03分42秒
Sub:[KMP]『願い』:
From:タイガ
ども、タイガです。
遅くなったけど、由愛の能力を実際に描写してみます。
(多分こっちの方が速い)
***************************************************************
『願い』
=======
遠い声
------
由愛 :『すみません』
由愛が声をかけても、始めは気付かない人は多い。
由愛 :『あの、すみません……』
男 :「ん?(きょろきょろ) ……何だ気の所為か」
由愛 :『違います』
由愛は傍で話し掛けたわけじゃない。由愛は男を見ているが、遠いので、
男からは見えないかもしれない。
男 :「……? 誰だ?」
由愛 :『私は……』
契約
----
由愛 :『私は貴方の夢を叶えるために……』
男 :「宗教ならお断りだよ」
由愛 :『本当に貴方の望みを叶えるために来たんです』
そう回数を重ねたわけでもないが、何度やっても『契約』を持ち掛けるの
は慣れない。
男 :「うるせぇな。だったら、俺に百万円でもよこしてみろ」
由愛 :『それが貴方の願い?」
男 :「おおともさ」
由愛 :『それなら、そのうちに手に入るわ。私と契約してくれ
:れば』
男 :「なんか胡散くせぇな。やなこった」
由愛 :『折角のチャンスなのに、棒に振るのね?」
男 :「…………」
由愛 :『それが、貴方の望みならしょうがないわ。他の誰かに
:改めて持ち掛けなきゃ……』
男 :「まて!」
由愛 :『何?』
男 :「ほんとに契約すればいいのか?」
由愛 :『そうよ。ただ、私の事を誰にも話さないってそれだけ
:誓ってくれればいいわ』
男 :「……解った。誓う」
夢現
----
ある日曜日。
男 :「まじかよ……」
馬券を手に呆然と呟く。
男 :「31倍が2回も来るなんて……」
それは、全てを注ぎ込めば、千円が約百万円に変わる。と言う事であり、
事実彼はそうしていた。
由愛 :『本当だったでしょう?』
男 :「おお! あんたか。あてずっぽで買ったのがあんなに
:あたるなんて嘘みたいだぜ(上機嫌)」
由愛 :『……そうでしょうね。繰り返すけど……』
男 :「解ってるって。誰にもいわねぇよ。こんな事言ったら
:ツキが逃げちまわぁ」
収穫
----
男 :「どうだい? 良い店だろ?」
女 :「ええ。大丈夫なの? 高そうよ、この店」
男 :「だいじょぶだって」
女 :「最近随分羽振りが良いみたいね」
男 :「ああ。おかげさんでな」
女 :「あら。私何かしたかしら?」
男 :「いやまぁどっちかってぇと……」
由愛 :『だめっ!』
男 :「っといけねぇ。危うく口滑らせるとこだった」
女 :(疑惑の目)
男 :「なんだよ、おっかねぇ顔して」
女 :「あんた何かよからぬ事してかせいんだんじゃ……」
男 :「ばっ、馬鹿何言ってんだよ! そんなんじゃないって
:これはだなぁ、なんか知らんけど声が聞こえてきたんだ
:よ……」
女 :「声?」
男 :「そう、これが……」
由愛 :『…………』
不意に静かになる。しかし、その場に居る二人の人間は、その事実には、
気付けない。
女 :「あ〜あ。出来れば彼氏と来たかったな」
もう一人の女 :「なによ、ど〜せ彼氏なんて居ないくせに」
女 :「ふん、悪かったわね。あんたにだっていないじゃない」
もう一人の女 :「……やめよ。不毛だわ」
女 :「……そうね」
二人は気付かない。一人の人間が消えてしまった事に……。
ふたたび、遠い声
---------------
由愛 :「また、居なくなっちゃった……」
和服を着た少女が、ぽつりと呟く。
由愛 :「また、私が残っちゃった……」
妙に表情の無い顔で、ぽつりと呟く。
由愛 :「また、新しい人を見つけなきゃ……」
顔を上げ、人ゴミを見ながら、ぽつりと呟く。
由愛 :『すみません……』
虚空へと、新たなる契約者へと、声でない言葉で、ぽつりと呟くように。
***************************************************************
書いてから文章力の無さに絶望したので、一応補足。
『遠い声』は、話し掛ける時に見ていればいいので、後は何処に居ても、全然OKです。
『契約』は基本的に一人の人としか交わしません。『夢現』は、相手の幻想を叶えるとは
言っても、偶然を装うので始めのうちはばれませんし、由愛と契約者の間でも面識がある
わけではないので、由愛が特定されてしまう事はまず無いと思います(個体が特定されな
ければボーダーと言う事は、非常に危険ではあるけど、まだ大丈夫。と言う事と判断しま
した)。『収穫』は、最後まで言う前に、相手を消してしまいますので、そうそうばれは
しません。
と、こんなところでしょうか。