[KATARIBE 20046] [KMP] 『願い』

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Date: Sat, 8 Jul 2000 01:03:43 +0900 (JST)
From: タイガ  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20046] [KMP] 『願い』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200007071603.BAA41847@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 20046

2000年07月08日:01時03分42秒
Sub:[KMP]『願い』:
From:タイガ


 ども、タイガです。
 遅くなったけど、由愛の能力を実際に描写してみます。
 (多分こっちの方が速い)

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『願い』
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遠い声
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 由愛     :『すみません』

 由愛が声をかけても、始めは気付かない人は多い。

 由愛     :『あの、すみません……』
 男      :「ん?(きょろきょろ) ……何だ気の所為か」
 由愛     :『違います』

 由愛は傍で話し掛けたわけじゃない。由愛は男を見ているが、遠いので、
男からは見えないかもしれない。

 男      :「……? 誰だ?」
 由愛     :『私は……』

契約
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 由愛     :『私は貴方の夢を叶えるために……』
 男      :「宗教ならお断りだよ」
 由愛     :『本当に貴方の望みを叶えるために来たんです』

 そう回数を重ねたわけでもないが、何度やっても『契約』を持ち掛けるの
は慣れない。

 男      :「うるせぇな。だったら、俺に百万円でもよこしてみろ」
 由愛     :『それが貴方の願い?」
 男      :「おおともさ」
 由愛     :『それなら、そのうちに手に入るわ。私と契約してくれ
        :れば』
 男      :「なんか胡散くせぇな。やなこった」
 由愛     :『折角のチャンスなのに、棒に振るのね?」
 男      :「…………」
 由愛     :『それが、貴方の望みならしょうがないわ。他の誰かに
        :改めて持ち掛けなきゃ……』
 男      :「まて!」
 由愛     :『何?』
 男      :「ほんとに契約すればいいのか?」
 由愛     :『そうよ。ただ、私の事を誰にも話さないってそれだけ
        :誓ってくれればいいわ』
 男      :「……解った。誓う」

夢現
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 ある日曜日。

 男      :「まじかよ……」

 馬券を手に呆然と呟く。

 男      :「31倍が2回も来るなんて……」

 それは、全てを注ぎ込めば、千円が約百万円に変わる。と言う事であり、
事実彼はそうしていた。

 由愛     :『本当だったでしょう?』
 男      :「おお! あんたか。あてずっぽで買ったのがあんなに
        :あたるなんて嘘みたいだぜ(上機嫌)」
 由愛     :『……そうでしょうね。繰り返すけど……』
 男      :「解ってるって。誰にもいわねぇよ。こんな事言ったら
        :ツキが逃げちまわぁ」

収穫
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 男      :「どうだい? 良い店だろ?」
 女      :「ええ。大丈夫なの? 高そうよ、この店」
 男      :「だいじょぶだって」
 女      :「最近随分羽振りが良いみたいね」
 男      :「ああ。おかげさんでな」
 女      :「あら。私何かしたかしら?」
 男      :「いやまぁどっちかってぇと……」
 由愛     :『だめっ!』
 男      :「っといけねぇ。危うく口滑らせるとこだった」
 女      :(疑惑の目)
 男      :「なんだよ、おっかねぇ顔して」
 女      :「あんた何かよからぬ事してかせいんだんじゃ……」
 男      :「ばっ、馬鹿何言ってんだよ! そんなんじゃないって
        :これはだなぁ、なんか知らんけど声が聞こえてきたんだ
        :よ……」
 女      :「声?」
 男      :「そう、これが……」
 由愛     :『…………』

 不意に静かになる。しかし、その場に居る二人の人間は、その事実には、
気付けない。

 女      :「あ〜あ。出来れば彼氏と来たかったな」
 もう一人の女 :「なによ、ど〜せ彼氏なんて居ないくせに」
 女      :「ふん、悪かったわね。あんたにだっていないじゃない」
 もう一人の女 :「……やめよ。不毛だわ」
 女      :「……そうね」

 二人は気付かない。一人の人間が消えてしまった事に……。

ふたたび、遠い声
---------------

 由愛     :「また、居なくなっちゃった……」

 和服を着た少女が、ぽつりと呟く。

 由愛     :「また、私が残っちゃった……」

 妙に表情の無い顔で、ぽつりと呟く。

 由愛     :「また、新しい人を見つけなきゃ……」

 顔を上げ、人ゴミを見ながら、ぽつりと呟く。

 由愛     :『すみません……』

 虚空へと、新たなる契約者へと、声でない言葉で、ぽつりと呟くように。
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 書いてから文章力の無さに絶望したので、一応補足。

 『遠い声』は、話し掛ける時に見ていればいいので、後は何処に居ても、全然OKです。
『契約』は基本的に一人の人としか交わしません。『夢現』は、相手の幻想を叶えるとは
言っても、偶然を装うので始めのうちはばれませんし、由愛と契約者の間でも面識がある
わけではないので、由愛が特定されてしまう事はまず無いと思います(個体が特定されな
ければボーダーと言う事は、非常に危険ではあるけど、まだ大丈夫。と言う事と判断しま
した)。『収穫』は、最後まで言う前に、相手を消してしまいますので、そうそうばれは
しません。

 と、こんなところでしょうか。


    

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