[KATARIBE 20004] [HA06P] エピソード:執事の野望・レジンの系譜

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Date: Wed, 05 Jul 2000 02:22:38 +0900
From: edamatsu <edamatsu@gold.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20004] [HA06P] エピソード:執事の野望・レジンの系譜
To: "語り部ML" <kataribe-ml@trpg.net>
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6月も既に終わり、2000年もついに後半に入った。
先月の中頃から多くなった雨と風は、相変わらず降ったり
止んだりで、天候はなかなか安定しない。
しかし。

ブラッド:「天候が不順だろうが、そんな事は言ってはおれんのです」
観楠    :「でも、まだこれだけ行程が残っていては」
ブラッド:「現時点での完成度など、問題ではない。要は、これをどう活かす
        :か、ですから」
観楠    :「ブラッドさんなら可能なんですよね?」
ブラッド:「このブラッド・サッカーが間に合わせよう、と言うのです」
観楠    :「……アテにしてますよ」
ブラッド:「仕掛けておいて良く言う……」

観楠    :「……でも、ホントに大丈夫なんですか?」
ブラッド:「我々の品は、版権申請の手間がかかりませんからな。持ち込み申請
        :と同数が揃えられれば、なんとかなります」
観楠    :「それならいいんですけど……と、スパチュラは……」
ブラッド:「これをお使い下され」
観楠    :「あ、すいません。で、数は揃うんですよね?」
ブラッド:「開催側は、数が合っていれば安心するものです」
観楠    :「我々ってのは?」
ブラッド:「……店長殿も、参加していただけるものとしておりますが」
観楠    :「え、それは……そうですね……」
ブラッド:「いくら規模が小さいとはいえ、なにせ場所が場所ですからな」

観楠    :「小さいなんて、そんな。人出が必要なのはわかりますけど……」
ブラッド:「足掛け3年……私は、3年待ったのです」
観楠    :「3年ですか」
ブラッド:「ポッと出の、しかもオリジナル作品で良く人がついたもんだと思い
        :ますが」
観楠    :「良いものは良い。あそこなら誰でもわかる所ですし、良いんじゃ
        :ないですか?」
ブラッド:「ディーラー名の差が、売上の決定的差で無いことを証明したいもの
        :です」
観楠    :「なかなか、うまく行かないものですね」
ブラッド:「だから、今こそ立たねばならんのです」
観楠    :「立つ、ですか?……ええと、ここの分割、これでいいですか?」
ブラッド:「そうですな。それで行きましょう」
観楠    :「えと、売上の話でしたっけ?」
ブラッド:「いつでも有名作家の版権物が大きく取上げられて開場即完売だった
        :り、雑誌の扱いもオオヌキと片隅では……」
観楠    :「そうですよねえ……F-FACEもFree-XもAGGRESSIVEもオーバーダード
        :も、今まで買えたためしがないし」
ブラッド:「メーカーの限定品が買えればかろうじて良し、とする輩が多すぎ
        :るのはいかがなものかと」
観楠    :「しかし、それは認めなくてはいけない事実だし」
ブラッド:「何故、もっと早くにこれと出会えなかったんでしょうなぁ」
観楠    :「ブラッドさんが来るのが、遅すぎたんですよ」
ブラッド:「遅すぎた?」
観楠    :「……戯れ言は止めて下さいよ」
ブラッド:「……そうですな」
観楠    :「でも、ブラッドさんなら、ディーラー入場でなんとかなるでし
        :ょ?先に並べたりするじゃないですか」
ブラッド:「それがそうも行きませんでな」
観楠    :「あ……そうか。そういえば、そうでしたね」
ブラッド:「迂闊な行動を取ると、今後の開催が危ぶまれる状態において」

観楠    :「それよりも、そういう優先権みたいなのって、一般客からしたら
        :やっぱり納得いかないし」
ブラッド:「一造型屋としては開催者の意向は汲んでおこう、と言うわけです」
観楠    :「ディーラー申請は通ったんだから、ひとまずは安心でいいんじ
        :ゃないですか?」
ブラッド:「その傲慢は、綻びを生みますな」

観楠    :「……あ」
ブラッド:「どうされました?」
観楠    :「いや、その……リューター、削りすぎちゃって」
ブラッド:「ポリパテは、その後ろの棚ですぞ」
観楠    :「はいはい……やっぱり、アルテコSSP-HGはいいですよね」
ブラッド:「タミヤとは違いますぞ、タミヤとは!」
観楠    :「高いのが少々欠点ですけどね。雑誌の写真が」
ブラッド:「うむ。パテの色が黄色から薄紫に変わりましたからな」
観楠    :「て、言ってる間に固まりましたよ。ええと……」
ブラッド:「ヤスリは、そこの引き出しですぞ」
観楠    :「思うんですけど」
ブラッド:「なんですかな?」
観楠    :「現実の売上とか、売名に拘るんじゃなくてもっと人に魅せる
        :ことが出来るんじゃないかと」
ブラッド:「ただ小さいままでは、茶番ととられかねませんぞ」
観楠    :「でも、WSCって業界の革新……全てを乗り越えられるって」
ブラッド:「私は歴史の立会人に過ぎんのです。そのような事」
観楠    :「STickみたいに、隠れた名店って紹介されるのも良いんじゃ
        :ないかなあ」
ブラッド:「そういうのは……そうかも知れませんな」
観楠    :「JAF-CONを無しにしたんだから、頑張ってみましょうよ」

ブラッド:「では、こちらの方は塗装をしておりますので」
観楠    :「じゃ、分割やっちゃいますね」
ブラッド:「型取りも御願いしますぞ」
観楠    :「そこまでできるのかな……」
ブラッド:「シリコンは、隣りの棚に置いて有りますので。分割は」
観楠    :「仕様書(取り説)通り、ですよね」
ブラッド:「わかっておられる」
観楠    :「それは、もう」
ブラッド:「店長殿の原型分割が、彼等を導くのですぞ!」
観楠    :「そんな、たいそうなもんでも……」
ブラッド:「そして、私は父の元へ召されるでありましょう」

:「ていうところで悪いんだけど」
:「毎回毎回、懲りないね」
:「いい加減にしてくださいね」

観楠    :「え、あの……これは?」
ブラッド:「……おのれ、獅子身中の蟲め!」

:「なにいってんのよ」
:「しまいにゃ怒るよ」
:「版権料、1度も戴いてませんのに」
:「……違うでしょうが(ハモリ)」

観楠    :「……ブラッドさん、そうなんですか?」
ブラッド:「いや、私の賞品に版権料などは存在しませんぞ」
観楠    :「……の、筈ですよね?……そういう事らしいんですけど」

:「それのどこが」
:「ここにモデルがいるでしょうに」
:「南極条約に基づいて許諾した覚えはありませんわ」
:「……は?(ハモリ)」

観楠    :「ブラッドさん……駄目じゃないですか」
ブラッド:「南極条約は戦時条約ですぞ!」
観楠    :「しかし……これは、あまりにも」
ブラッド:「今の私は原形師です。それ以上でもそれ以下でもありませんぞ」

:「わやなこと言うなーっ」
:「……コロス」
:「そんなオトナ、修正しますよ」
:「……反応するなよ(ハモリ)」

観楠    :「なんか、問題起きてるんですけど……」
ブラッド:「ふむ、仕方有りませんな。これは諦めましょう」

:「ほんとでしょうね?」
:「随分あっさりとしてるけど」
:「それが、若さなんですね」
:「とりあえず、これ全部持ってくから」
:「造りたいなら、頼みにおいでよね」
:「許諾はその時々で考慮いたしますから」

次々と運び出される工具用具の数々。
物の数分で主要な物全てが持ち出されてしまった。

観楠    :「あー……の、物全部持ってかれちゃったんですけど」
ブラッド:「なんの、我々の意志は星の屑作戦に受け継がれるのです」
観楠    :「はぁ……って、え」
ブラッド:「戦いとは常に二手三手先を読んで行うものです。覚えて
        :置いてくだされ」

:「じいや〜〜」

観楠    :「あ……こんにちは。お邪魔してます」
ブラッド:「お待ちしておりました、お嬢様」

:「はい、今回の許諾証ね。でも、ちゃんと造ってくれないとダメだよ」

ブラッド:「ありがとうございます」
観楠    :「……これが?」
ブラッド:「大儀のためです」
観楠    :「……って、やっぱり版権あるんじゃないですか……」

:「40%はもらうからね☆んじゃ、店長さんもごゆっくり」

観楠    :「それに……40%は暴利だよ……」
ブラッド:「まぁ……ギリギリですなぁ」
観楠    :「それでいいんですか?」
ブラッド:「これを持って、持ち出された物を返還しますぞ。V作戦発動です」
観楠    :「ホントに勝てますかねぇ」
ブラッド:「WFの為でない。しかし、造型を求める仲間の為なら戦えるもの
        :ですぞ!」
観楠    :「はぁ……じゃひとつ、造型道と添遂げてみますか」
ブラッド:「その間、ちゃんと言葉が通じていたいものですな」
観楠    :「鉄の子宮には、入りたくないですからね」

そして多少の紆余曲折を経て作業に戻る二人。
暑い熱い時期はまだこれから続きそうである。

2000・8・20
日本最大の模型の祭典ワンダーフェスティバル開催。
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季節ネタです。
わかるひとはわかるでしょってところかな。

kusunoki



    

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