[KATARIBE 252] JEP本編( ^^;;;;長いです

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Date: Thu, 06 Mar 1997 15:10:05 +0900
From: Masaki Yajima <yajima@cht.co.jp>
Subject: [KATARIBE 252] JEP本編( ^^;;;;長いです
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JEP本編です……あぁっ石投げないで(^^;;;;
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Jエピソード『宇宙刑事エクサイダー』
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OPタイトル
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 宇宙から見た地球、グングン近づいていって日本、吹利、商店街、FLOWER -
SHOP Miko前の道路へ高速ズームイン、店の前、こちらに背を向けて立つ尊。
 カメラは道路に沿って近づき、下からあおりで一気に尊をフレームイン、同
時に長い髪をなびかせ振りかえる尊。
 その横顔がシルエットになり、爆発音とともにタイトルが重なる!

 『宇宙刑事・エクサイダー』!!

 ちゃららららんっ♪(派手なブラスとドラム)

挿入歌:『宇宙刑事エクサイダー』
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 歌:シモンマサト&少年少女合唱団

 1番

 地球に黒い影が射し
 平和な日々が壊される
 倒せ正義の熱き心で
 みんなを守るその力
 昇華!変身!エクサイダー!

 ※1
 あの子の笑顔を守るため 今だ!爆裂!メテオボンバー!
 黒い闇を焼き払え    今だ!灼熱!フレイムバースト!
 破れ邪悪な企みを    今だ!必殺!ファイナルクラッシュ!
 宇宙刑事エクサイダー!

 (間奏)

 2番

 地球が赤く燃え上がる
 明るい未来を壊す奴
 倒せ邪悪なシャドウメン
 守れみんなの夢と希望
 昇華!変身!エクサイダー!

 ※2
 愛する人々守るため 今だ!疾走!モト・エクス!
 小さな夢を守るため 今だ!出撃!エクセリオン!
 正義の心を示すため 今だ!変形!ビッグベース!
 宇宙刑事エクサイダー!

 (間奏)
 ※1、※2繰り返し

スポンサー紹介
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 この番組は、子供達に夢を『ゼガバンザイ』
 皆様に健康をお届けする『目進食品工業』
 そのほかご覧のスポンサーの提供でお送りします。


CM:バンザイ製『DXサザナミ・ブレード』
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 採石場で派手に暴れるエクサイダー。

 ナレーション  :「君もエクサイダーになろう!」

 BLバックに刀状のおもちゃを持って振り回す女の子。

 ナレーション  :「伸縮自在、光るサザナミブレード!」

 ぴかぴか刀身が光るおもちゃ、暗い画面に軌跡が残る。

 ナレーション  :「(尊の声で)『ミコトファイナルクラッシュ!』」

 おもちゃのサザナミブレードを振り下ろすと「どかーん」とスピーカーから
効果音。

 ナレーション  :「効果音は十種類!(ポーズを決める女の子)」
 ナレーション  :「新発売、DXサザナミブレード!さぁ、地球を守るのは君だ!」

 エクサイダーと並んでポーズを決める女の子。

タイトル画面
------------
 画面全体に太ゴシックで躍る文字。

 『恐怖! バレンタインの甘い罠!?』


幹部の野望
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 ホールの中央には真紅の絨毯が引かれ壁際一段高くなった玉座へと続いてお
り、玉座の前には薄いヴェールがかけられ、逆光シルエットが浮かんでいる。
 その前に二人の男が膝を突いて控えている。
 一人は身長2メートル以上の大男で全身を金属鎧で覆い、至る所にパイプや
ケーブルが這い回っている。
 当然、黒いマントを羽織り左眼はメタリックな光を放つカメラアイになって
いる。
 一方、もう一人は白衣を着込んだ極平凡な身長に顔立ちの男、だがその眼は
野望と知性に冷たく輝いている。


 シャドウ      :「ミカゲ、マサ、このところ連敗続きだな」

 玉座の上から冷たい声が二人を射竦める。
 思わず、冷や汗とともに恐縮する二人。

 ミカゲ        :「(汗)……は、申し訳ございませんレディ・シャドウ様」
 Dr.マサ    :「まことに持って、面目次第も……」
 シャドウ      :「言い訳はよい」

 ぴしゃりと言い切られ、再び恐縮する二人。

 シャドウ      :「……憎きはあの女、如月尊、いや、エクサイダー!彼奴
                :を倒さねば、地球征服計画もままならぬわっ!」
 ミカゲ        :「御意、次こそは!」
 Dr.マサ    :「シャドウ様、このDr.マサめに妙案がございます」

 その瞬間、ミカゲが凄まじい形相でマサを睨み付けるがDr.マサは意に介
さず続ける。

 シャドウ      :「ほぉ……どんな策か?申してみよ」
 Dr.マサ    :「エクサイダーめを倒し、なおかつ新規の戦闘員をも獲得
                :できる妙案にございます」
 シャドウ      :「して、自信のほどは?」
 Dr.マサ    :「レディ・シャドウ様の御前に必ずやエクサイダーの首を
                :差し出してご覧に入れましょう(ニヤリ)」
 シャドウ      :「面白い、やってみるがいい……」
 ミカゲ        :「お待ち下さい、シャドウ様」
 シャドウ      :「なんだ、ミカゲ」
 ミカゲ        :「その任、この獣戦士ミカゲに御任せ下され」
 Dr.マサ    :「ふっ……力押ししかできない貴公にこの任務がこなせる
                :のか?」
 ミカゲ        :「能書きばかりほざいておってエクサイダーと刃を交えぬ
                :御主に言われたくは無いがな(ニヤリ) まぁ、力押しし
                :か出来ぬとも、貴公のそっ首叩き落とすくらい造作も無い
                :が(にやり)」

 ミカゲはマントを翻すと背中に背負った大きな剣を抜いてDr.マサに突き
つける。

 Dr.マサ    :「ほぉ、貴公にこの私が切れるのかな、この偉大なる組織
                :『シャドウメン』最高のブレインたるこの私が!切れまい、
                :くっ、くははははっ(哄笑)」
 ミカゲ        :「……試してみるか?」

 ぎりっと歯噛みするミカゲ、今にも切りかかりそうになっている。

 シャドウ      :「やめぬか!愚か者どもが!……もう良いわ、Dr.マサ
                :も要らぬ挑発はやめい。今回の任務、2人して事に当たる
                :がよい」
 ミカゲ        :「はっ、有り難き幸せ」
 Dr.マサ    :「……(不服そう)」
 シャドウ      :「良いな、Dr.マサ」
 Dr.マサ    :「……御意」
 シャドウ      :「ではゆけい!」

 カツカツと『謁見の間』を出てゆくDr.マサと獣戦士ミカゲ。

 ミカゲ        :「Dr.マサ……彼奴め何を考えておる(思案)、まぁ良
                :い、いずれこの手で……(目の前で拳を握り締める)くく
                :く、ふははははっ」

 暗い通路をマントを翻しながら歩くミカゲ。
 響く哄笑。
 怪しい事この上ない。

 Dr.マサ    :「ふん、力だけの野蛮人が」

 一方、研究室へ引き上げたDr.マサ。
 周りには妖しい実験機具が大量に置いてある。
 ツカツカと机に歩み寄ると、奇妙な形のグラスに満たされた紅い液体を一気
に煽る。

 Dr.マサ    :「……誰にも……俺の邪魔はさせん……」
 憑依体        :『(頭に響く)まだかマサ、まだ事は為らんのか!』

 突如Dr.マサの頭に声が響く。
 そう、Dr.マサにはもう一人別の人格、悪の意識の集合体が憑依していた
のだ!

 Dr.マサ    :「(今しばらくまて、まだ時期尚早だ)」
 憑依体        :『御主は力がほしいのであろう?ならばワシを早く『身体』
                :に移せ、急ぐのだ!』
 Dr.マサ    :「(ふん……またあの女の事か?)」
 憑依体        :「(同じ移るなら美しい方が良いからのぉ、くっくっく……)」
 Dr.マサ    :「(好きにしろ、所詮レディ・シャドウと言えど私の宇宙
                :支配の踏み台に過ぎん、そのうち貴様にくれてやるわ)……
                :そう、ミカゲ共々この手で倒してなっ!くくくっふははは
                :ははははっ(哄笑)」

 やっぱり響く笑い声。
 怪しさ大爆発。


ベーカリー楠にて
----------------

 カラン、コロン

 尊            :「こんにちは〜(笑顔)」
 観楠          :「やぁいらっしゃい」
 緑            :「いらっしゃい、エク……じゃ無かった尊さん」

 説明しよう!
 ベーカリー楠店長、湊川観楠は如月尊、宇宙刑事エクサイダーの正体を知る
唯一の地球人なのである。
 そして、銀河連邦から派遣された宇宙刑事エクサイダーとそのアシスタント、
ミドリは花屋の店長如月尊と、パン屋のアルバイト緑に身を窶し、日々悪の組
織『シャドウメン』と戦っているのだっ!

 尊            :「もぉ緑ちゃんたら、ここではエクサイダーじゃ無くて尊
                :よ」
 緑            :「ごめんなさい、まだ……馴れなくって」
 観楠          :「ところで尊さん、ちょっと伺ってもいいですか?」
 尊            :「はい?」
 観楠          :「表の車ですけど……ジープとはまた……女性が乗るにし
                :ては、ずいぶんゴツイ車ですねぇ」
 尊            :「(苦笑)……あれですか、銀河連邦の支給品なんです」
 観楠          :「支給品……なんですか?」
 尊            :「ええ、銀河連邦規則に『宇宙刑事たるもの四輪駆動車に
                :乗るべし』っていうのが有るんです(笑)」
 観楠          :「ほ、本当ですか〜(汗)」
 尊            :「だから、これも制服の一部」

 と言って手にはめた『半指のドライビング・グローブ』を観楠に見せる。

 観楠          :「ははははは(乾いた笑い)(ぎ、銀河連邦って一体……)」
 尊            :「それより……(くんくん)……さっきから良い匂いがす
                :るんですけど……」
 観楠          :「これですか?」

 観楠の指差す先にはかごに盛られたチョコレートがあった、それぞれ色とり
どりのセロファンでラッピングされ、可愛くリボンがかけられている。

 尊            :「ちょこれーと?」
 観楠          :「尊さんは、まだ地球に来たばっかりだから御存じないか
                :な、私たちの間では2月14日に女の子から好きな男の子
                :へチョコレートを送る風習が有るんです。で、うちもお客
                :さんへのサービスにチョコを配ろうと思って」
 尊            :「ふーん、知らなかったわ。緑ちゃん、知ってた?」
 緑            :「え、ええ、宇宙刑事検定初級講座の地球編で勉強しまし
                :たから……エク……尊さんも勉強したはずじゃ?」
 尊            :「うっ(汗)(そ、そんな事言ったら、あたしが勉強して
                :なかった事バレちゃうでしょ〜(涙))」

 数瞬の間。

 尊            :「ま、まぁそれはともかく(汗)いいわよねぇ〜緑ちゃん
                :はチョコあげる人がいて(くすくす)」
 緑            :「えっ(赤面っ)それはそのっ……(ぼふっ)」
 尊            :「あ〜あ、いいなぁ(くすくす)」
 緑            :「その……(真っ赤になり湯気が出てきそう)」
 尊            :「ま、頑張ってねぇ緑ちゃん。あたしはパトロール続ける
                :から、それじゃ」

さらわれる!?
--------------

 緑            :「……(まだ赤面中)」
 観楠          :「青春だねぇ(笑)……ん?」

 カウンターの端に一通の葉書。

 観楠          :「しまった、葉書」
 緑            :「え?」
 観楠          :「大事な葉書なんだけど……出すの忘れてた」

 葉書をつまみ、照れ隠しに頭を掻く観楠。

 緑            :「私が……出して来ましょうか?」
 観楠          :「いや、悪いよ。自分で行ってくるから」
 緑            :「いいんです、店長、お店が有りますし、すぐそこですか
                :ら」
 観楠          :「そうかい?御免ね。じゃ、お願いできるかな」

 葉書を受け取り駆出して行く緑。
 その姿を近くのビルの上からじっと眺める怪しい人影。
 その後ろには、どっからどう見ても『ハート型のバレンタインチョコに手足
目鼻口を付けて巨大化させた』としか見えない恐怖の怪獣が!

 ミカゲ        :「一人になったな……よしゆけっチョコギラス!」
 チョコギラス  :「ぎゃーす!」

 ばたんっ!
 がらん、からん。

 観楠          :「わっ、な、なんだあんた達はっ!」
 ミカゲ        :「湊川……観楠だな?(ニヤリ)大人しく我々と来てもら
                :おう」
 観楠          :「くっ(何とか逃げなきゃっ)」
 ミカゲ        :「やれっ!チョコギラス」
 チョコギラス  :「ぎゃーす!(液体発射っ!)」

 べちゃミ★

 観楠          :「うっ!何だこれはっ(う、動けないっ)」
 ミカゲ        :「動けまい、それは超高速硬化型チョコレートだ、人に触
                :れれば瞬時に硬化し、動きを止める」
 観楠          :「……」
 ミカゲ        :「恐怖で声も出ないようだな(ニヤリ)うぁはははぁ!」
 観楠          :「(呆れてるんだよ)」
 ミカゲ        :「よし、チョコギラスよ、面倒が無いようにコピーを残し
                :ておけ」
 チョコギラス  :「ぎゃーす!(再度液体発射っ!)」

 嗚呼、何という事だろう!チョコギラスの発射したチョコレートが見る見る
内に人の形となり、観楠そっくりになったではないか!

 偽観楠        :(ニヤリ)
 観楠          :「う、うそぉ(汗)」
 ミカゲ        :「よし、C作戦開始だ、引き上げるぞ!チョコギラスその
                :男を連れていけ」
 チョコギラス  :「ぎゃーす!」
 観楠          :「助けてく……(猿轡をかまされる)モガッモガ〜」
 偽観楠        :(ニヤリ)

 しばらくして。

 緑            :「いってきましたぁ」
 偽観楠        :「お帰り……」
 緑            :「……?」

 いつもの雰囲気と違う観楠に戸惑う緑。
 偽観楠は本物の観楠と瓜二つだが、多少目つきが悪く目の下に黒いクマがあ
る。
 当然着ているシャツのラインの数も一本多い。

 緑            :「(店長、どうしたのかしら……)」

 普通なら一発で気付くと思うのだが、進行の都合上この段階では絶対に気付
かないのである。

尊調査開始
----------

 パトロールと称して道路をジープでかっ飛ばす尊。

 尊            :「おとこなんだろぉ〜♪ぐーずぐずするなよっ♪」

 楽しげに鼻歌を口ずさみながら町を走り抜ける。

 尊            :「胸のエンジンに〜ひぃをつぅ……ふぁっ……くちゅん!」

 当たり前だが、2月の寒風の中を屋根も付けないジープでかっ飛ばすのは、さ
すがに宇宙刑事と言えど寒い。

 尊            :「もぉ……いっくら規則だからって冬場くらいは普通の車
                :でパトロールしたいわよねぇ(ぶぅ)……あ、コンビニ見っ
                :け。暖かい紅茶でも飲もっと」

 コンビニの駐車場に車を停め、暖かい紅茶と、命の糧である『ほかほかの餡
まん』を頬張る尊。

 尊            :「ん〜美味し。し・あ・わ・せ☆(ほこほこ)」

 と、視界の端を生気の無い男たちがぞろぞろと細い路地に向かって歩くのが
見えた。

 尊            :「ん?あえははひかひは?(訳:ん?あれは何かしら?)」

 こらこら、はしたないからその口にくわえた肉まんを早く食べちゃいなさい。

 尊            :「……んぐんぐ……(ごっくん)御馳走様でした。さて」
 男達          :(ぞろぞろと路地の角を曲がる)
 尊            :「……怪しい、思いっきり怪しい」

 道路を渡り、ぴたっと曲り角に張り付く。
 そうっと角を覗き込むと……。

 Dr.マサ    :「早く乗れぃ!ふっ……こうも上手く行くとはな、我がC
                :作戦!」
 尊            :「(あれはシャドウメン!……なんで……こんな所に!)」

 ナンバーも付いていない幌付きの超怪しい大型トラックに、空ろな目をした
男達がぞろぞろ乗り込んでいた。

 Dr.マサ    :「これで戦闘員の数は倍増、地球征服計画も一気に進展だ、
                :ふ、ふはははっ」

 誰にも聞かれないのに勝手に解説するDr.マサ。

 尊            :「……(汗)」
 Dr.マサ    :「よし、全員乗り込んだな、引き上げるぞ!」

 ぶろろろろろ〜と、去って行くトラック。

 尊            :「(大変!奴等あの人たちを戦闘員に改造する気だわ!)
                :……ん?」

 何かが足元に落ちている。
 拾い上げる尊。

 尊            :「これはっ!」


アイキャッチ1
--------------

 ちゃちゃっちゃっちゃじゃん!(アイキャッチ・ジングルその1)
 画面の右下に出るロゴ『宇宙刑事 エクサイダー』


CM:目清製『エクサイダーソーセージ』
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 男の子        :「え〜ん」

 怪獣に苛められている男の子。
 空からソーセージの缶が降ってくる。

 ナレーション  :「君よ、エクサイダーソーセージを食べて強くなれ!」

 男の子が落ちてきた缶をつかみ、ソーセージを食べると急に反撃開始。

 男の子        :「やぁ!とぉ!」

 ナレーション  :「栄養満点、おやつにぴったり!」

 男の子        :「えいっ!」

 ぱんち一発、怪獣は空へ飛んで行く。

 ナレーション  :「目清『エクサイダーソーセージ』、今ならエクサイダー
                :バッチがもれなく付いてくる!君は何個集められるかな?」


アイキャッチ2
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 ちゃら〜ん、ジャン(アイキャッチ・ジングルその2)
 画面の右下に出るロゴ『宇宙刑事 エクサイダー』


緑、慎也君にチョコを渡す
------------------------

 そろそろ夕方と言える時刻のベーカリー楠。
 緑が先ほどからそわそわ落ち付きが無い。

 緑            :「(そろそろ……行かなきゃ)」
 偽観楠        :「……」

 偽観楠は先ほどから一言も口をきかず、黙々とサービスのチョコを包んでい
る。
 かごに山盛りだったチョコレートも順当に減り、後4〜5個を残すだけであ
る。
 ピピッと緑の腕時計がアルバイト終了の時刻を告げる。

 緑            :「す、すみません、時間ですのでお先に失礼しますっ」

 たたたっと更衣室に駆け込む緑。
 カウンターの上には緑の残した小さなチョコレートの箱。
 それを眺める偽観楠。

 偽観楠        :(ニヤリ)

 しばらくして。

 緑            :「店長、お先にっ(慌てて駈けて行こうとする)」
 偽観楠        :「緑ちゃん……」
 緑            :「えっ?」
 偽観楠        :「これ……忘れ物……(さっきのチョコの箱を差し出す)」
 緑            :「あ、いけないっ有り難うございます(ぺこり)それじゃっ」

 駈けてゆく緑を見送る偽観楠。

 偽観楠        :(ニヤリ)

 ここはベーカリー楠に程近いの小さな公園。
 向こうから緑が駈けてくる。

 緑            :「はぁはぁ……(慎也さんは……)」

 緑の視線の先、夕日に照らされるベンチに慎也は座っていた。

 慎也          :「緑ちゃん……」

 緑に気付き、立ち上がる。

 慎也          :「そんなに走ってこなくても……と、とりあえず、座ろうか」
 緑            :「……」
 慎也          :「……」

 緑を誘いベンチに揃って座る二人。
 俯く二人を夕日が照らし決して不快では無い沈黙が流れる。

 慎也          :「ぼ、僕に用って?」

 2月14日に女の子から呼び出しを受けて何の用か聞くのも野暮だが、沈黙
に耐えられず、とりあえず聞いてみる慎也。

 緑            :「あ、あの……こ、これ……(ぽっ)」

 夕日に照らされ紅く染まった頬を更に朱に染め、おずおずと取り出した小さ
な箱。
 チョコレートである。

 慎也          :「あ、ありがとう……うれしいよ……(やったぁぁっ!)」
 緑            :「わ、私が……作ったん、です……慎也さんの口に合うか
                :どうか……判らない、ですけど(ぼふっ)」
 慎也          :「緑ちゃんのチョコなら美味しいに決まってるよ!……食
                :べても……いい?」
 緑            :「え、その……こ、ここで……です……か?(消入りそう)」
 慎也          :「だめ?」
 緑            :(ふるふるっと首を振る)
 慎也          :「じゃ、いい?」
 緑            :(こくっ、と頷く)

 がさがさ。
 ともすれば震えそうになる指を駆使して、注意深く可愛らしい包装紙とリボ
ンを外す。
 薄いブラウンの紙の小箱を開けると、紙のラッピング材の上にハート型のチョ
コレートがのっている。
 ハートのはっしこを小さく欠いて、口に入れる。

 緑            :「……どう……です、か?」
 慎也          :「……(にっこり)……美味しいよ、とっても」
 緑            :「よかった……」

 が、その平和な一時も長くは続かなかった。

 慎也          :「うくっ!(な、なんだっ、く、苦しい)」
 緑            :「し、慎也さん!?」
 慎也          :「うううっ(頭に響く声:『来い、くるのだ!』)」
 緑            :「慎也さんしっかりしてっ!」

 激しく痛む頭を抱えて苦しむ慎也、突然の事に慌てる緑。
 慎也の目から徐々に理性が消えて行く。

 慎也          :「うあぁぁっ(緑を振り払って走り去る)」
 緑            :「きゃっ慎也さん!」

 驚いた緑は追いかけるが、見失ってしまう。

 尊            :「緑ちゃん!」

 ジープで乗り付け、都合よく登場する尊。
 お約束である。

 緑            :「慎也さんが!慎也さんが!」
 尊            :「緑ちゃん……ひょっとして、チョコレート食べたらおか
                :しくなったんじゃ無いの?慎也君も」
 緑            :「どうして……それを?」

 尊は先ほどの事を説明し、拾ったものを見せる。

 尊            :「そこで拾ったのが……これなの」
 緑            :「これっ!(驚)」

 それはベーカリー楠で配られたチョコレートであった。

 尊            :「だから、慎也君もこのチョコを……」
 緑            :「でも、慎也さんの……チョコは、私が作った……(はっ)」

 しまった!と口を押さえるが、時既に遅し、後の祭りである。

 尊            :「へぇ〜慎也君にあげたの手作りなんだ、やるじゃなーい、
                :このこのぉ」
 緑            :「か、からかわないで下さいっ(ぼふっ)そ、そんな事よ
                :り!」
 尊            :「そうだった!緑ちゃんのチョコは手作りのはずでしょ?
                :それがなんで……(思案中)ねぇ……ひょっとして中身が
                :摩り変わったとか?」
 緑            :「え、でも……ずっと鞄の中に入れておいたし……私以外
                :が触った筈は……(あっ!)」

 緑の脳裏に先ほどのベーカリーでのやり取りが蘇る。

 緑            :「まさか……店長……が……?」
 尊            :「それってどういう事?詳しく話して」
 緑            :「私、お店のカウンターにチョコを忘れそうになって、そ
                :れを店長が教えてくれて……」
 尊            :「怪しい」
 緑            :「えっ?でもまさか……店長が……」
 尊            :「いーえ、絶対怪しい!あたしの宇宙刑事としての感がそ
                :う言ってるのよ!ゴーストが囁くのよ!間違い無いわ!」
 緑            :「はぁ……(呆)」
 尊            :「とにかく、お店にいってみましょ」


偽観楠、正体を現す
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 カラン、コロン。

 尊            :「こんにちは〜」
 緑            :「こ、こんにちは……」
 偽観楠        :「いらっしゃい……あれ……緑ちゃん……どうしたの?……」

 相変わらず露骨に怪しい偽観楠。
 『素材』が妖しいチョコレートだから当然ではあるが。

 緑            :「え、あの、その……(尊に救いを求める視線)」
 尊            :「あ、え、ほら、緑ちゃん忘れ物しちゃったって言ってた
                :じゃない」
 緑            :「え?そ、そうでしたね(ぎこちなく笑う)」
 偽観楠        :「そう……所で……尊さん……チョコ、如何です?……」
 尊            :「チョコですか?」
 偽観楠        :「幾つか……余ったんで……良かったら……どうぞ……」
 尊            :「いいんですか?それじゃ、遠慮無く」
 偽観楠        :「緑……ちゃんも……」
 緑            :「じゃ、じゃぁ……頂きます」

 2人して偽観楠の渡すチョコを口にする。

 尊            :「ぐっ!」
 緑            :「ううっ!」

 チョコを口にした途端、派手に苦しみ出す二人。
 そのまま二人とも床に崩れる。
 だが、その動きが妙に芝居がかって嘘クサイ。

 偽観楠        :(ニヤリ)
 ミカゲ        :「ふっふっふっふっふ……ふぁははは!良くやった偽観楠、
                :宇宙刑事エクサイダーも所詮は小娘か、まったく他愛の無
                :い物よ」

 奥の事務所から姿を現す獣戦士ミカゲと怪獣チョコギラス。
 しかし、誰かが奥へ入って行ったらどうするつもりだったんだ?

 ミカゲ        :「偽観楠よ、おまえも用済みだ、チョコギラスへ戻れ」
 偽観楠        :(ニヤリ)

 ミカゲの言葉とともに輪郭がぼやけ解け崩れ元のチョコレートへ戻る偽観楠、
そのままズルズルと床を這い、チョコギラスに吸収される。

 ミカゲ        :「よし、チョコギラス、その女どもを連れて行け。シャド
                :ウ様への手土産だ」
 チョコギラス  :「ぎゃーす!」
 ミカゲ        :「よし、ひきあげだっ!」

 高笑いとともに尊を連れ去る獣戦士ミカゲ、尊と緑危うし!
 このまま負けてしまうのかっ!


シャドウメン秘密基地『謁見の間』
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 壁際にしつらえられた十字架にぐったりしたまま縛り付けられている尊。
 獣戦士ミカゲ、Dr.マサ、壇上のレディ・シャドウがそれを眺めている。

 ミカゲ        :「宇宙刑事と言えど所詮は小娘、他愛ない物よ……あっさ
                :り我らの手中に落ちおったわ」
 Dr.マサ    :「我が『C作戦』……完璧だな(ニヤリ)」
 シャドウ      :「Dr.マサ、ミカゲ……良くぞやった……今宵はその女
                :の処刑を肴に宴を用意せい」
 Dr.マサ    :「御意!……これで我らの地球征服計画をはばむものはい
                :ない!我らの世界が!暗黒が訪れるのだっ!くっくっくっ
                :くっくくくく……くはははははははぁ(哄笑)」
 謎            :「ふふふふふふ……」

 Dr.マサの哄笑に合わせるよう何処からか密やかな笑い声が聞こえてくる。

 謎            :「ふふふふふ……あははははははっ!」
 Dr.マサ    :「何奴!?……まさかっ!」

 マサ、ミカゲ、シャドウの3人は慌てて辺りを見回すが、その視線が一点で
止まる。
 そう、十字架に架けられた尊に!
 尊は俯いたまま肩を震わせ笑っていたがキッと顔を上げる。

 尊            :「もうちょっと我慢してようと思ったんだけど、あんまり
                :上手く入り込めたんで思わず笑っちゃったわ!」

 高らかに宣言すると両手両足の拘束具を苦も無く引きちぎる。

 Dr.マサ    :「なっ!ミカゲ!これはどういう事だっ!」
 ミカゲ        :「ば、馬鹿な!確かにチョコギラスのチョコで眠らせたは
                :ず!」
 尊            :「ふん、あんなの最初から見破ってたわよ、眠って見せた
                :のはここに入り込むための芝居よ!」

 びしぃっ!と壇上のレディ・シャドウを指差す尊。
 が、不意にその表情に悲しみが浮かぶ。

 尊            :「……ねぇ、もうこんな事は止めて……でないと……私、
                :貴女を、いえ!姉さんを倒さなくてはいけなくなってしま
                :う!」

 嗚呼!何という事だろう!
 悪の組織『シャドウメン』の首領レディ・シャドウはエクサイダーの双子の
姐だったのだ!

 シャドウ      :「……(無表情)……くだらんな。ミカゲ、マサ!この女
                :を殺せ!」
 Dr.マサ    :「はっ!」
 ミカゲ        :「御意!」

 玉座から立ち上がり奥へ消えるシャドウ。

 尊            :「姉さん!(悲痛な叫び)」
 ミカゲ        :「貴様の相手は俺だっ!」

 背中の太刀を引き抜き尊に切りかかるミカゲ。
 たちまち尊VSミカゲの大乱闘が始まる。
 強大なパワーに物を言わせ斧ほどの厚みを持つ太刀を振るうミカゲ。
 尊は俊敏な身のこなしでそれを尽く避け、的確に蹴り、パンチをヒットさせ
てゆく。

 ミカゲ        :「うぉぉぉぉぉぉぉ!食らぇぇい!(ぶんっ:刀の風切音)」
 尊            :「はっ(ひらりと宙返りして避ける)たぁっ(どこっ:ボ
                :ディにヒット)」
 ミカゲ        :「ぐぅっ!効かぬわっ!どうりゃっ!(ごぉっ:風切音)」
 尊            :「(後ろにトンボを切って避ける)とぉっ!(がすっ:足
                :にヒット)」

 一進一退の激しい攻防が続くが、やがて流石の獣戦士ミカゲも徐々にダメー
ジを蓄積し動きが鈍くなってきた。

 ミカゲ        :「いくぞっ(ガクッ)なっ!(しまった!)」

 突如ミカゲの足に激痛が走る。
 一撃一撃は小さなダメージだったが、蓄積したダメージがミカゲの行動力を奪う。

 尊            :「はぁっ!」
 ミカゲ        :「(これまでかっ)」

 裂帛の気合とともにミカゲの頭へ蹴りが飛ぶ!
 覚悟を決め、目を閉じるミカゲ。
 だが、尊の蹴りはミカゲの眼前で止められていた。

 尊            :「貴方は良く戦った。もう止めて……命を無駄にする事
                :は無いわ(微笑)」

 立ち上がろうとしてガクッと片膝をつくミカゲ。

 ミカゲ        :「(俺はこんな女に負けるのかっ!……だが……こんなに
                :爽快な戦いは初めてだ……)」
 Dr.マサ    :「そこまでだ、エクサイダー」
 観楠          :「は、放せっ!……すみません捕まっちゃいました」

 振り向くと観楠に銃を突きつけ人質に取ったDr.マサが立っていた。

 Dr.マサ    :「形勢逆転、と、行った所だなエクサイダーよ(にやり)
                :さぁ、どうする?」
 観楠          :「尊さん!僕の事はかまわず戦って下さい!」
 尊            :「卑怯者……(Dr.マサを睨んで構えを解く)」
 観楠          :「尊さんっ(悲痛な叫び)」
 Dr.マサ    :「ふっ(鼻で笑う)……誉め言葉と受け取っておくよ、
                :さぁ、ミカゲ!今の内だ、この女をやれっ!」
 ミカゲ        :「……」

 迷いながらも、のろのろと太刀を振り上げるミカゲ、尊はじっとミカゲを見
つめ微笑んでいる。

 尊            :「いい戦いだったわ(にこっ)」
 ミカゲ        :「くっ……(太刀を振り上げたまま逡巡する)」
 Dr.マサ    :「ええぃ!茶番はやめろっ!私がやるっ!」

 ミカゲと尊のやり取りに業を煮やしたDr.マサが割って入る。
 観楠に突きつけられた銃が尊に向けられる。
 だが、尊は不敵に笑う。

 尊            :「ふふっ……でもね、ここにはもう一人あたしの有能なア
                :シスタントが連れてこられたのを忘れてない?……ミドリ!」

 轟音が響き渡り、壁を突き破って銀色に輝く大きなバイク、『モト・エクス』が
突っ込んでくる。
 サイドカーに乗ったミドリが内蔵バルカンでDr.マサの銃を弾き飛ばす。

 ミドリ        :「エクサイダー!慎也さんは救出しました!」
 尊            :「ミドリ、慎也さんじゃなくてさらわれた人たちでしょ(笑)」
 ミドリ        :「あっ……(ポッ)」
 Dr.マサ    :「くそっ(逃げる)」
 観楠          :「た、助かった」
 尊            :「観楠さん!(観楠の元に駆け寄る)」

 Dr.マサが逃げたため観楠は開放されたが、モト・エクスが突っ込んでき
た余波で謁見の間全体が崩れはじめる。
 『軽そうで、白い部分が所々見える』とても危険な大岩が大量にガラガラ崩
れてくる。
 そのうちの一つが観楠の頭上に!

 観楠          :「わっ(激汗)」
 尊            :「間に合わないっ!(汗)」
 ミドリ        :「店長!」

 がしっ。

 観楠          :「あれ?」
 ミドリ        :「?」
 尊            :「え?」
 ミカゲ        :「……」

 観楠の頭上に落ちてきた大岩をミカゲが支え、食い止めている。

 尊            :「ミカゲ……」
 ミカゲ        :「勘違いするな、俺は謁見の間の崩壊を食い止めているだ
                :けだ貴様らを助けた訳ではない……が、ここも長くは持た
                :んな(苦笑)」
 尊            :「……観楠さん、ミドリ、脱出するわ乗って!」
 観楠          :「は、はい(汗)」
 ミドリ        :「了解!」

 モト・エクスに乗り込む3人。

 ミカゲ        :「エクサイダー、貴様は俺が倒す。それまで首を洗って待っ
                :ていろ(ニヤリ)」
 尊            :「その言葉、そっくりお返しするわ(ふっ)」

 戦いに生きる好敵手同士、しばし見詰め合う。

 観楠          :「く、崩れる!」

 崩壊の速度を増し、謁見の間は崩れ落ちる寸前になっている。
 ミカゲの姿は崩れ落ちる天井の向こうにかすんでいる。

 ミカゲ        :「又会おう、エクサイダー!」
 尊            :「二人ともしっかり捕まってて!」

 後部に搭載したジェットエンジンが咆哮をあげ、突き出した4本の排気管か
ら青白い炎が吹き出す。

 尊            :「緊急脱出!モト・エクス発進!」
***********************************************************************
うぅ…ネタに詰まった(^^;

                                                       葵 一
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  /  6-11 Isogawa buildig, Saiwai-town,      /政治家なんてモノはゴミ処理/
 / Okaya-city Nagano-pref, 394 Japan        /場の様なものだ、無ければ困/
/ E-Mail: yajima@cht.co.jp  (Masaki Yajima)/るが、近寄りたくはない    /
    

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