[KATARIBE 19962] [HA06P] エピソード『埋葬』

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Date: Sun, 2 Jul 2000 12:34:33 +0900 (JST)
From: ji-guy@dike.dricas.com
Subject: [KATARIBE 19962] [HA06P] エピソード『埋葬』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200007020334.MAA08309@mailsv1.dricas.com>
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 吉GUY@06のテンションもガンガン上げていかんと です
 
 吉武の「ほとんど無言のまま知り合い(ほんとに知り合うだけ)を増やそう計画
」(立案:吉GUY 実行:吉GUY)の次のターゲットはみかんちゃんにさせていただき
ました。
 
 ハリさん、訂正その他よろしくお願いします。 
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エピソード『埋葬』
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登場人物
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 前野みかん(まえの・みかん) :
    :やさしい人狼の少女。
 金元吉武(かなもと・よしたけ) :
    :無口な小男な人。外見が恐いらしい。
 
 
声
--
 みかん    :「…………声?」
 
 SE      :ザワザワザワザ…………
 
 風、樹々の枝が揺れ、葉が擦れ合い、音、それらに混じり微かにそれは
 
 みかん    :「……あっち?」
 
 微かに、微かに、少女の耳に
 
 少女は駆け出す。
 日差しで焼けたアスファルトの路面を蹴って。
 夏の臭いを嗅ぎながら。
 
 みかん    :「…………どこ?」
 
 その声を辿り。
 
 
甘
--
 それは偶然、そして気まぐれ。
 男はたまたまそこに居合わせただけで、今日はたまたまそういう気分だった訳
で……
 
 だから、おそらく車にでも牽かれたのであろう、傷を負い死にかけた仔犬を抱
いて、公園のベンチに座っていた。背後の大きな樹が夏の強い日差しを遮る場所
に。
 
 返り血で服が汚れるのは気にしなかった。
 そんなことは今日はどうでもいい気がした。
 
 ただ無言で抱いて、骸になりかけた小さなそれを看取る。
 ここなら、路上よりはいくらかましだろうと。
 
 吉武     :「……………………」
 
 弱者が無力故に翻弄されるのも、強者の側杖を食い害を受けるのも、あるいは
命を落とすのも……
 
 弱いから抗えない。
 弱いから勝つことができない。
 弱いから負ける。
 弱いから命を落とす。
 弱いから己を貫けない。
 弱いから大切なものさえ守りぬけない。
 
 弱いことが悪いことだと知っているから。
 
 世の中はそういうもので、それでいいのだと解っている。
 
 吉武     :「……」
 
 だから、慰めでここでこうして抱いているのかもしれない。
 
 死にかけの野良犬と己の行く末を重ね併せて。
 
 
葬 
--
 男が、ふと顔を上げると、いつの間にか少女が、少し離れた場所に立っていた
。
 
 吉武     :「……………………」
 
 少女は眼に涙を溜めながら、男を……仔犬を凝視していた。
 
 みかん    :「……………………………(ぐすっ)」
 
 ……痛い
 ……苦しい
 ……お母さん
 
 少女の耳には、仔犬の声が聞こえていて 
 しだいに小さくなってゆくその声は辛そうで
 そして何もしてあげられない自分が歯がゆくて、悲しくて
 だからそこにつっ立ったままで
 そうすることしかできなくて
 そうしていると声はどんどん小さくなって
 
 みかん    :「………………………(ぐすぐすっ)」
 
 時間だけが過ぎて
 最後に消えて行く魂は
 少女にだけ聞こえる声で
 男と少女の二人に「ありがとう」と
 
 みかん    :(……ぐすっ、ぐすっ、ひっく、ひいっく……)
 
 男も抱いていたものが骸となったのを悟った。
 男が骸を抱いたままベンチから立ち上がると、少女が駆け寄って告げた。
 
 みかん    :「あのねっ、あのねっ、おぢちゃん、最後にねっ、最後に
        :ねっ、仔犬がねっ、"ありがとう"って……(ひっく、ひい
        :っく)」
 吉武     :「……」
 
 男は無言で首をゆっくりと縦に振り
  
 吉武     :「……埋めてあげようか」
 
 一言そう言った。
 少女は泣きじゃくりながら頷いた。
 
 
時系列
------
 2000.7.夏の或る日
 
解説
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 吉武……子供泣かしたらだめぢゃん(違)
 
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 いじょ、です。
 みかんちゃんが泣き虫になってしまいましたが、よろしかったでしょうか? 
>ハリさん
 
 
 吉GUY@最近己の表現能力に限界を感じてきたなぁ <早過ぎ
 ji-guy@dike.dricas.com
    

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