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Date: Tue, 27 Jun 2000 03:32:59 +0900
From: gallows <gallows@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 19870] Re: [WP01P]: エピソード『捜索』
To: kataribe-ml@trpg.net
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gallowsです。続き流します。
流れ的に統和さん借りちゃいました。
on 00.6.26 8:17 PM,
gallows <gallows@trpg.net> wrote :
>>*************************
>>エピソード『捜索』
>>==================
>松本智子宅
>----------
> 集中する。うねる、どろどろとした血のイメージ。それを丁寧に周囲に塗り
>込めていくようにして……一辺が10mほどの立方体を、心の中で形作る。珠希
>の結界。松本智子の家をすっぽりと覆っている。我ながら慣れたものだと感心
>しつつ、堂々と庭に入っていく。玄関は鍵がかかっていたので、居間の窓を蹴
>破って侵入した。
階段をのぼり、いくつか部屋を見て回る。結界の内部なので当然人の気配は
ない。ここは「少し前の瞬間」で固定された空間なのだ。
珠希 :(この部屋みたいね)
オレンジで色相が統一された部屋。松本智子が安らげる空間を作ろうとして
いたのが伺える。いくつか置いてある観葉植物はすでに枯れているが…… 珠
希は、既に存在しないこの部屋の主に軽く頭を下げてから捜索を開始する。な
ぜ彼女は消えなければならなかったのか。わずかな可能性も見逃すわけにはい
かない。日もとっぷりと暮れ、集中力も途切れたとき、ふと机に張ってあった
写真に目が行った。松本智子と、もう一人見たことのない男が写っている。お
そらくは恋人。そんな存在がいたらしいというのは既に彼女の友人からの証言
で裏をとっていた。パッと見なんの問題もない。いかにも恋人と一緒に撮りま
したって感じの写真だ。
珠希 :「1999年……11月?」
写真の右下の日付が今年の11月のものになっている。今はまだ1999年の6月。
既に三度目の1999年を体験している珠希にとっては11月の写真があることには
なんの不思議もないのだが、それは珠希自身を含む住人の関与なしにはありえ
ないモノだ。
珠希 :「この子住人? いや、この男の方か……」
深夜の会合
----------
シトシトとうっとおしい梅雨の雨が降っている。ふと時計を見ると既に23時
過ぎ。高田馬場と新大久保の駅の間に位置する公園に、珠希は一人立っていた。
治安があまり良いとはいえないこの辺は、それ故に都合が良い。珠希は黄色い
ビニール傘をくるくると回したりしながら人を待つ。
そうしていると一人の長身の男が近づいてきた。傘も差さずにボロのミリタ
リーコートを引きずるようにして歩く。
珠希 :「おそい! 20分遅刻」
統和 :「15分だ。久しぶりやな。傷の方はもうええんか?」
珠希 :「もう、一年も前の話よ」
珠希は古傷に触れられた気分になり軽く顔をしかめる。しばしの沈黙。
統和 :「で、なんの用や。あんたが俺を呼ぶからにはまっとうな
:話やないんやろ」
すっと珠希は手帳から先程拝借してきた写真を取り出す。
珠希 :「松本智子。この近くの高校に通ってた高校一年生よ。で、
:去年の年末に突然消え去ったわ」
今度は統和の方が顔をしかめた。彼の恋人、一美はまったく同じようにして
消え去ったのだ。一度目の1999年の大晦日に。
珠希 :「あとこっからは推測。こっちの男の子。多分住人ね」
統和 :「……俺と、同じッちゅーワケか」
珠希 :「多分ね。もしかしたらこれ、一美ちゃんがなんで失踪し
:たのかの鍵かもよ」
統和 :「一美の……」
珠希 :「まだなんもわかんない状況だけどね。この男の子に話を
:聞きに行く価値はあると思わない?」
統和 :「なるほどな、で、なんで俺を呼んだんや?」
珠希 :「なんで?」
統和 :「あんたがまだ不確定な状況で俺に情報教えるってのもあ
:んま考えられん。なんか俺に頼らなあかんことがあるんや
:ろ?」
珠希 :「……まー、そんなとこ」
珠希は傘を上げ、統和も傘の下に入る形にする。声を潜めて話すためだ。
珠希 :「この男の子の方、一月前に行方不明になってるの。家の
:方に行ってみたら家族は母子家庭だったみたいだけど母親
:の方は殺されてた」
統和 :「……」
珠希 :「その時の新聞調べてみたらね、容疑者は十年前に新聞社
:に爆弾送りつけたッテ政治団体の……」
統和 :「ああ、あいつな。心当たりあるわ」
あまりに事もなげに言うので、珠希は驚き、そしてやや呆れた。
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ざこざこと進めてみました。
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