[KATARIBE 19718] [HA06P]  エピソード「噂の幽霊」 まとめ版

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Date: Tue, 20 Jun 2000 12:37:03 +0900 (JST)
From: 御滝圭介  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 19718] [HA06P]  エピソード「噂の幽霊」 まとめ版 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200006200337.MAA50063@www.mahoroba.ne.jp>
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2000年06月20日:12時37分03秒
Sub:[HA06P] エピソード「噂の幽霊」 まとめ版:
From:御滝圭介




 どうも、ケイスケです。

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エピソード 『噂の幽霊』
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始まりは、ほんの噂話
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 新学期が始まってからだいぶたち、ようやく勧誘合戦も収まりまわりも落ち着
いてきた頃、健一は少し気になる話を耳に挟んだ。

 生徒A    :「ねえねえ聞いた?」
 生徒B    :「なにを?」
 生徒A    :「この学校に幽霊が出たって」
 生徒B    :「幽霊が?」
 生徒A    :「何でも事務員さんが見回りをしていたとき、教室の中にド
        :アをすり抜けて入って言ったのを見たんだって」

 健一     :(幽霊?珍しいことでもないが………)



調査報告
-------

 メープルガーデンで飲みかけの紅茶を脇に置いて、健一が紙を何枚も机の上に
広げている。それに気がついた圭人が声をかけた。

 圭人     :「何やってんだ?」
 健一     :「いや、学校で気になることを聞いたから、ちょっと噂を調
        :べてみたんだ」
 圭人     :「噂?」
 健一     :「吹利高校で幽霊が出る」
 圭人     :「ゆーれい? 別に珍しいことも………」
 健一     :「うわさが広まり始めたのがこの頃だとしてもか」

 健一が机の上に置いて置いた紙を一枚圭人に渡す。

 圭人     :「そういうことか………」
 健一     :「あまりにも季節外れだろう。この手のデマがながれるには」
 圭人     :「まあ、そう考えられん事もないが……。調査するのか?」
 健一     :「時田さんに言ったら、レコードを検索してくれたよ」
 圭人     :「(ほぉ……)あいつも暇だねえ。で、どうだって?」
 健一     :「本当にそのころから幽霊が出ている」
 圭人     :「素性はわかったのか?」
 健一     :「いや、そこまではまだだ。さすがに時田さんの能力も万能
        :じゃないよ。そこでだ、これは僕の個人的な興味からの調査
        :だが、つきあってくれるか?」
 圭人     :「いつやるんだ」
 健一     :「レコードで大体の出現時間は決まっていてほとんど毎日出
        :現しているから今日にでも、夜その時間に学校に入り込もう
        :と思うんだが」
 圭人     :「何時?」
 健一     :「夜11時頃、家には1時には帰れるぞ」
 圭人     :「………ま、しょうがねえ。つきあってやるか」
 健一     :「ありがとう。じゃあ家に帰って準備をしておくから九時頃
        :来てくれる?」
 圭人     :「わかった。ところで残りの資料は何だ?」
 健一     :「吹利高校にある、怪奇現象の噂全部だ。なかなか興味深い
        :物もあるぞ」
 圭人     :「おい、それ全部時田に………」
 健一     :「いや、個人的なことにそこまで時田さんに頼らないよ。先
        :輩や後輩、及びそういう噂好きな先生達から聞いてきたんだ」
 圭人     :「そんなの調べてもほとんどデマだろ?」
 健一     :「しかし、噂が真実を語っていることもよくあることだよ。
        :まあ、今日はこの幽霊の件だけだよ、調べるのは。後のは仕
        :事になる可能性もあるしね」
 圭人     :「じゃあ、また緊急呼び出しがあるのか?」
 健一     :「それが来る前に原因を断っておけば問題ないだろ」
 圭人     :「ま、そうだな」

 健一は残しておいて冷めた紅茶を一気に流し込む。

 健一     :「それじゃ、また夜に。ごちそうさま」

 提督に挨拶してからドアベルを鳴らして健一は出ていった。

学校への不法侵入(汗)
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 日はとうに暮れた真夜中。学校の閉まった裏門を乗り越えて入り込む人影が二
つあった。その影達は閉まった扉までたどり着く。片方がその扉の前で精神集中
すると、カチッと扉の開く音がした。

 圭人     :「おみごと」
 健一     :「お褒めを戴いて光栄です」
  圭人     :「ほめた記憶はない」
 健一     :「(^^;;」
 圭人     :「しかし、扉の内側の鍵を外から見えないのに、よく霊力を
        :実体化させてまわせるもんだ」
 健一     :「まあ、手探りで探る触感はあるからなんとかなるもんだよ。
        :まあ、さっさと入ろう」

 二人はその扉から中に入り、律儀に扉を閉めた。

 圭人     :「しかしまあ、おまえがこんな大胆な行為をするとはねえ」
 健一     :「夜中に学校に入り込むにはこれしかないんだよ。仕事以外
        :ではな」

 そう小声で話しながら奥へ進んでいく。

 健一     :「さて、現場に行く前にちょっと寄るか」
 圭人     :「寄るってどこだ?」
 健一     :「ちょうどそこだが」

 健一が指を指し示す先にあった部屋には明かりがともっていた。

 圭人     :「おい、ちょっと待て。ばれちまうじゃねえか」
 健一     :「そう、それが目的だよ。今晩は」

 圭人が止めるのも聞かず、健一はそこの扉を開けた。
すると中から強烈な一撃が放たれるが、健一はそれを何とかそらす。

 健一     :「今晩、尋ねるって伝えといたはずだし、先生達からも許可
        :をもらっているはず何ですけど(苦笑)」
 警備員    :「ああ、すまん。最近見たもののせいで。気が張っていてな。
        :しかし、滝川師匠のお孫さんが、こういう仕事をして
        :いるとはね」
 圭人     :「おい、知り合いなのか?」
 健一     :「まあ、兄弟子だよ。SYSTEMの正社員でもあるけどね」
 圭人     :「それと、先生の許可ってなんだ?」
 健一     :「ああ、それね。皆さん、正体不明なものがこの学校にいる
        :のはあまり好ましい状態じゃないってね。調査するって言っ
        :たら、夜入る許可をもらえたんだよ、ほらここに鍵もある。
        :もっとも最初は胡散臭そうに見られたけど、まあそこはそれ、
        :コネを引き合いに出して納得してもらったよ」
 圭人     :「………ちょっと待て」
 健一     :「ん、なんだい」
 圭人     :「じゃあ、忍び込まなくても良かったってことか」
 健一     :「あちゃ、ばれちゃった(笑)」
 圭人     :「ばれちゃった、じゃねえよ………」

 圭人は、頭を抱えた。傍らでは、健一がにやにやと笑っている。

 警備員    :(本当にこいつらで大丈夫なんか……)
        :「ところで、本題の調査は……」
 健一     :「あ、すいません。確か見たのはここら辺ですね」

 健一が、取り出した学校の見取り図の一角を指し示す。

 圭人     :「おい、ここって」
 健一     :「そう、僕らの教室の周辺だよ」
 警備員    :「それじゃあお願いします。私はここ以外の所をいつも通り
        :まわっていますよ」
 健一     :「それじゃあ、また後で」



 圭人と、健一は地図で示した一角へむかう。

 圭人     :「………で? 何で俺を誘ったんだ?」
 健一     :「一応、幽霊以外のものと遭遇したときの保険としてだが、
        :他にも理由はある」
 圭人     :「理由?」
 健一     :「まあ、それは後で話すよ。おっと、ここら辺だ。ゆっくり
        :待ちますか」

 そう言って健一は背負っていた袋から水筒を出して、その中身を飲み始める。

 圭人     :「悠長だな、見えないように結界とかは張らなくていいのか」
 健一     :「結界なんか意味はないと思うよ。もうばれていると思うし」
 圭人     :「………おい(汗) それじゃあ、来た意味が無いじゃねえか」
 健一     :「いや、それがあるんだな。まあそんなにまたなくていいと
        :思うぞ」
 圭人     :「やけに自信たっぷりだな。正体の目星がついているのか?」
 健一     :「まあね。じゃあ、ちょっと静かにしていよう。幽霊さんも
        :うるさくては出て来にくいだろうからね」

 健一と圭人が静かに息を殺してから三十分もたっただろうか。
健一の霊視とクロトの感覚に何かが引っかかった。


 クロト    :(……圭人)
 圭人     :「(小声で)おい、ここの中にいるみたいだな」
 健一     :「(小声で)ああ、そのようだな。しかし、何で気がつかな
        :かったんだろう」
 圭人     :「(小声で)俺らが鈍かっただけじゃねえか?(苦笑)」
 
 ぶつぶつ言いながら、扉をさっきの要領で開ける。
 そして、中を覗くと神秘的な光がにじみ出ているに見える美しい女性が教壇の
椅子に足を組んで座っていた。

 染木     :「遅かったわね、二人とも」(くすくす)
 健一     :「やっぱりそうだったのか……。今晩は、染木先生」
 染木     :「今晩は、何しているの。二人とも」
 健一     :「ちょっとばかし、夜の探検をね」
 染木     :「そんな年じゃないでしょ、もう」
 健一     :「まあ、知的好奇心を満たすためと、仕事のための二つです
        :ね」
 染木     :「仕事……。ああ、あそこのバイトのことね。びっくりした
        :わよ最初は、一介の高校生に鍵が貸されて、夜入る許可が下
        :りるなんて」
 健一     :「まあ、その理由はそんなところです。それといろいろ紹介
        :もしていただきたかったのもありますよ」
 染木     :「紹介?誰を?」
 健一     :「この学校によく来る幽霊達をですよ。やはり、こういうも
        :のは気心の知れた人に仲介してもらった方が、うまくいくも
        :んですから」
 染木     :「何のため……。ああ、例の色々な噂の真相を知る為ね」
 健一     :「はい、怪談などの話はデマであることも多いですが……」
 染木     :「中には本当の話も含まれている。ましてや吹利においては」
 健一     :「そのとおりです。だから、この学校で起きたことをよく知
        :っている幽霊さん方とお知り合いになりたいんです。ほって
        :おけば手遅れになるようなものも含まれていますから」
 染木     :「わかったわ。今度来るときまでに話はつけておいてあげる」
 健一     :「それとですね。ええっと……」
 染木     :「人の前にこの姿で現れるなでしょ」
 健一     :「すいません。この前のは事故だったようですけどね」
 染木     :「……何で知っているの?」
 健一     :「いえ、こちらにもいろいろと、その手のつてはありましてね」
 染木     :「そう、そういうことにしておきましょう」

 圭人     :「ところで、だ。俺は何のために連れてこられたんだ?」
 健一     :「だから言ったろ、万が一のためだって。それとね……、
        :おーい、クロトさんご挨拶に出てきてくれないか」
 圭人     :「おい(汗)、ちょっとまてぃ」

 圭人の制止にも関わらず、鞄から一冊の分厚い本が出てきた。
 そして、本から光が放たれ、その中に、一人の少女が現れた。
 ギリシャ風のゆったりとした服を着て、幻想的な美しさを醸し出している。
 染木先生と並ぶとまるで姉妹のように雰囲気が似ている。

 クロト        :「………私はクロトの書。工芸の司たるダイダロスに
                :よって作られた、The Fatal Devicesが一つ。始まりを司り
        :しものです。………ちょっと堅苦しいですね(苦笑)」
 染木     :「初めまして、染木忍と申します。たまに圭人君の周りに
        :別の存在が感じられたけど、あなただったのね」
 クロト    :「あら、ばれてました?(笑) 圭人がいつもお世話にな
        :ってます」
 染木     :「いえいえそんなことはありませんよ。けど、今度の中間
        :は頑張るように言っておいて下さいますか。」
 クロト    :「わかりました、よ−く言っておきます」

 二人の刺々しい言葉にぶっ倒れそうになりながら、圭人は健一に尋ねた。

 圭人     :「あー、健一君。まさかとは思うが狙ったんじゃないだろ
        :うね?(怒)」
 健一     :「あーすまん。こんなところじゃなきゃ、クロトさんを
        :染木先生に紹介させられないと思ったんだが……」
 圭人     :「こういう状況が生まれるとは予想していなかった、と?」
 健一     :「すまん、そのとおりだ」

 クロト    :「大丈夫ですよ、この前以来少しは勉強をするようになり
        :ましたから」
 染木     :「それはよかったわ。あのままじゃ危なかったからねえ」
 クロト    :「そうですねえ。さすがに、数学がああだったのはショッ
        :クだったみたいで」
 染木     :「兼澤君は理系が要だからねえ………」
 圭人     :「……………(頭痛)」

 健一     :「えーと、それくらいにしてもらえますか。後で僕が運ぶ
        :はめにはなりたくないんで」
 クロト    :「大丈夫よ、ぶっ倒れたら家まで私が送っとくから」
 圭人     :「家の上空3000mにか?」
 クロト    :「あはははははは(汗)」
 健一     :「ああ、ケルベロスの時のようにね」
 圭人     :「あの時は死ぬかと思ったぞ、ほんとに」
 染木     :「話には聞いていたけど、なかなかハードなバイトの様ね。
        :まあ、がんばりなさい。あ、あと、滝川耕介君によろしく」
 健一     :「へえ、祖父と知り合いなんですか」
 染木     :「ええ、かなり長いつきあいね、耕介君とは」
 健一     :「なんか、そうやって祖父を呼ばれると調子が狂いますね」
 染木     :「そう?」
 健一     :「まあね。それではおじゃましました。警備員さんには除
        :霊したと伝えておきますよ」
 染木     :「それじゃあ、おやすみ」
 圭人     :「さよなら」
 クロト    :「それでは」



そして、日常へ
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 そして、次の日の学校。授業中なのに突っ伏して寝ているのがちらほら見え
るいつもの風景。あれ、あそこで寝ているのは……。

 圭人     :(Zzzzz……)
 健一     :(またあいつ眠っているよ。まあ、昨日があれだったから
        :しょうがないかな。僕の責任だし。あ〜、それにしても眠い…)

 初夏の陽気の中に、また戦死者が一名加わった(爆)

 クロト    :(あらあら………(苦笑))

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 一応、ログをまとめてみました。

 さて、最後のシーンの授業の受け持ちの先生は誰なんでしょう?(爆)


 それではケイスケでした。

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 MITAKI@yahoo.co.jp
 御滝圭介



    

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