[KATARIBE 19695] [WP01P]: エピソード『消えた?!』

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Date: Mon, 19 Jun 2000 18:39:09 +0900 (JST)
From: ソード  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 19695] [WP01P]: エピソード『消えた?!』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200006190939.SAA20901@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 19695

2000年06月19日:18時39分08秒
Sub:[WP01P]:エピソード『消えた?!』:
From:ソード


 こんにちは、ソードです。

 皆さんのWPの作品を目にしていて、ちょっぴりパワーが戻りました。
 ……いや、気力の無い管理者で申し訳ないです……。

 自作のEP、半年ぶりくらいかも……(笑)

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エピソード『消えた?!』
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登場人物
月島直人(つきしま・なおと)
    :喫茶店「月影」のマスター。終末の住人。
更雲優(さらくも・ゆう)
    :喫茶店「月影」のウェイトレス。終末の住人。

いつと同じ月影
--------------
 SE     :からからん

 月影のドアベルが鳴り、高校生が2人、入ってくる。

 直人     :「いらっしゃいませ(ああ、ようやく来たか……)」

 彼女たちは、月影の「普通の常連」であった。そして、これからは「普通の常
連」となるだろう。
 彼女たちは、学校が終わると月影で集まり、飲み終えると3人してどこかに去っ
て行く。

 4月。
 月影の中に、季節感はあまり感じられない。外の風景は新宿のビル。それほど、
四季の変化はないのだ。
 訪れる客が、直人にとって季節の運び手となる。

 また、新学期が始まったのだ。


いつもとちがう客
----------------
 SE     :からからん

 月影のドアベルが鳴り、高校生が二人、入ってくる。

 直人     :「いらっしゃいませ……(また……)」

 彼女たち二人は、やはり「普通の常連」となった。放課後に月影で待ち合わせ、
町へと出て行く。
 しかし、あれから2ヶ月。後一人は、一度も姿を見せていない。

 直人     :「優ちゃん。今日、確かめてみようか……」
 優      :「は……はい」

 一月前から違和感を覚えた直人は、優に2人の客との距離を縮めさせていた。
込み入った話を聞きたかったからだ。

 優      :「どうぞ。アイスコーヒーとミルクティーです」
 女生徒1   :「あ、優さん、ありがとう」
 優      :「あの……ちょっと聞いてもいいですか?」
 女生徒2   :「なに?」
 優      :「あなた達のお友達に、松本智子って人、いませんか?」
 女生徒1   :「ああ、智子? 智子だったら、中学がいっしょだったよ」
 女生徒2   :「うん。一緒の学校行こうって、受験勉強したもんね」
 優      :「今は、仲良くしていないのですか?」
 女生徒1   :「高校一緒じゃないからねぇ……」
 優      :「あ……落ちちゃったんだ……」
 女生徒2   :「ちがうよ。智子、受験のときにはもういなくなってたの」
 優      :「え?」

 優が、直人に顔を向ける。直人は、促すような視線を返した。

 優      :「いなくなってたって……引っ越したとか?」
 女生徒1   :「ううん。ちがうよ。弟とか、家族はいるもの」
 女生徒2   :「消えちゃったんだよ。突然」
 優      :「え?!」

 いとも平然と、異常な状態を説明する2人。

 優      :「それって……いつごろ?」
 女生徒1   :「んー……年末過ぎて……からかなぁ?」
 女生徒2   :「そうだね。年末だと思う」
 優      :「年末……でも、消えちゃったって、捜索願いとかは? 家
        :族の人はどうしてるの?」
 女生徒1   :「え? 別に捜索願い出してもしょうがないじゃない。消え
        :ちゃったんだもん」
 女生徒2   :「優さん、どうしたの? 具合悪そう……」
 優      :「消えちゃったって……それって普通……」
 直人     :「優さん、悪いけど、こっち頼めるかなー?」

 更に言い募ろうとする優を、直人が呼び止める。

 直人     :「……お疲れさま。ちょっと奥で休んでいていいよ」
 優      :「直人さん……」
 直人     :「話は後にしよう。あと数時間は、営業中だからね」
 優      :「はい……」

 浮かない顔で奥に引き込む優を見送りながら、直人は一人黙々と仕事をしてい
た。

 直人     :「消えた……か……」

 年末。住人のみが持つ違和感。普通の客である彼女たちは、友人たちが「消え
た」事による違和感や恐怖を覚えていない。
 これもまた、直人たち終末の住人と、それ以外の人との認識の違いの一つであ
ろう。年末の違和感にはもう慣れたが、ここまで異常な状況を感受する彼女らを
見ていると、やはり自分の方が狂っているように思えてくる。

 直人     :「調べないと……な」

 住人を集めると決めた直人の使命感が、そう、一人ごちさせた。

解説
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 災厄の影響の一つ、「人が消えて行く」の、住人と一般人との意識の違い。
 直人たち住人は、「消えた人」の調査を始める。

時系列
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 1999年(3回目)の4月、および6月。

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 こんなかんじです。
 いや、一般人の認識が変なのですよ、住人は、まとも……。
 でも、こんな状況になったら、周りに流されてしまいそうだなぁ……と思ったり。

 かけるさん、優さんをお借りしています。

 ではまた


    

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