[KATARIBE 19668] [WP01N] 負け犬(仮称)

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Date: Mon, 19 Jun 2000 02:10:50 +0900
From: gallows <gallows@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 19668] [WP01N] 負け犬(仮称)
To: kataribe-ml@trpg.net
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gallowsです。
なんかついに書くらしいです。中野決戦(笑)
アクション主体になるのでエピソードじゃなくて小説にすることにしました。
とりあえずは序章。ちゃっとログだと幼い少女ということにしてましたが、珠
希と同年代かせいぜい中学生くらいに変更。

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小説『負け犬(仮称)』
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登場人物
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桜居珠希
朝霞有希
ヘッドコレクター

序
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 つらい。去年も、おととしも1999年だった。でも誰も信じてくれない。私は
飲みかけの缶コーヒーをすする。甘ったるくて、嫌いな味だった。

「どこかにおいしいコーヒー出してくれるお店でもないかな……」

 このしんどさをどうにかして欲しい。どんな些細なことでもいいから気をま
ぎらわせていたい。もうわけのわからない自分の能力も、時間のループもこり
ごりだ。ただこの不満を聞いてくれて、いっしょに頷いてくれるだけでいいか
ら。せめて、そんな友達がいれば気も晴れるかもしれないのに。いるのは自分
の地に足の付いた日常で精一杯な子ばかり。1998年までの自分もそうだったし、
今も自分の能力や時間のループと言う「日常」で精一杯なのだからたいして変
わらないのかもしれない。
 そして私は中古CD屋に向かう。これが今の私の救い。好きな音楽を聴いてる
ときは無心でいられる。能力に苛まされることもない。私は中野サンモールの
アーケードを早足で通り抜け、ブロードウェイと銘打たれたビルにはいる。こ
こ数年はサブカルチャーの巣窟としてすっかり有名になったこのビル。私は小
さな頃から母に手を引かれて出入りしていたこのビル。その二階を私はオアシ
スにしていた。

 すぅぅぅ

 意識を集中し、CD屋の店内から他人を消し去る。私に与えられた二つの能力
のうちの便利な方。なぜだかわからないが他人を消し去ることができる力。は
じめは面白かったのだ。この力で悪いこともいくつかした。でもそれもすぐに
むなしくなって、今はこの店のCDをただで聞かせてもらうことにのみ使ってい
る。
 店に備えつけのCDプレーヤーに、なんとなくジャケットが気に入ったので黒
人のジャズを突っ込む。ピアノの旋律が緩やかに、時に激しく店内に響き渡る。
どんなに大音量でも誰もここには来ない。こうやって音楽を聴きながら、ああ
結構いいな、などと思い、すぐに苦笑する。いくら現実逃避しても事態は悪化
するばかりだ、と。カウンターのに座り、真横に備えつけてある年期の行った
レジのキーをいじりながら独りごちる。

「どうしようもないけど。ここだけなんだ、私が落ち着けるのは……」

 自分に再確認するように。

「その場は、君の孤立を深めるばかりだ」

 ガガッ、ブチン。音楽が突然止まる。ソレと同時に店内の証明も落ち、周囲
がうす闇に包まれる。停電だろうか。ありえないことではない。意識して冷静
を保とうとする。しかし音楽が止まる直前に確かに聞こえた低くよく通る男の
声が気になって仕方がない。なんでこの場で人の声が?

「あなたに平穏を……」

 ヒッ、と思わず悲鳴をあげそうになる。今度は細い女の声。そして、闇の中
に青白い顔が浮かびはじめる。ぽつ、ぽつ、ぽつと、ひとつ。またひとつ。老
若男女様々な顔、顔、顔。

「心に安らぎを。魂に繁栄を」
「君に永遠の安寧を約束しよう」
「我が名は……」
『ヘッドコレクター』

本編
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「このあいださ、中野で漫画見てたらさ、ほんとに微かになんだけど結界がは
られたような感じがしたんだよねぇ。そんでさ、よくよく考えてみたらそれま
でにも何回かさ……」

 なんでそんなにしょっちゅう中野にまで漫画漁りに言っているんだ。という
珠希の第一声は置いておくとしても、有希の話はなんとも言えない物だった。
なんとなく、そんな気が、たぶん。この自分の姉のこと以外はいまいちぽーっ
としたところのある友人は、つい先日もそんなことを言っていたような気がし
ないでもない。結局、久しぶりに中野あたりで遊びにいく口実というのが丁度
いい落とし所か。珠希はそう思い、その足で二人で中野に向かうことにした。
その時の珠希の頭の中は、なんか面白い雑貨でも買って、部屋の模様替えでも
しようということで一杯で、自分にどのような運命が待ち受けているかなどと
いう事はわかるはずもなかった。


時系列
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 二度目の1999年。七月。

解説
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