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Date: Sat, 17 Jun 2000 14:39:58 +0900 (JST)
From: ji-guy@dike.dricas.com
Subject: [KATARIBE 19643] [WP01P] エピソード『コンビネーション』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200006170539.OAA24196@mailsv1.dricas.com>
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吉GUYです。
小次郎を 弄ばれた 意趣返し(季語なし)
#嘘です冗談ですとんでもありません(^^;;;
という訳で恐れ多くもE.Rさんの譲くんを扱わさせていただきました。
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エピソード『コンビネーション』
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人物紹介
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青天目譲(なばため・ゆずる):
:エンパシストの狩人。かつて八島小次郎を助けたことがある。
八島小次郎(やしま・こじろう):
:覚醒したばかりの終末の狩人。
厳侠児(げん・きょうじ):
:正体不明の終末の住人。八島小次郎の"対"
人混みの中で
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東京の雑踏
譲 :「あれ?」
その人混みの中で
譲 :「あれは……」
青天目譲は見知った人物を見つけた。
譲 :「小次郎君……?」
譲の視線は、その先に袴姿の小次郎を捕らえていた。
譲 :「…………。」
譲は違和感を感じた。おかしい、何かが変だ、と。
小次郎 :「…………」
譲 :「!?」
小次郎が譲のことを見つけたらしい。
しかし、様子が変だ。譲はそう感じた。まるで小次郎の周囲だけが別空間のよ
うな……
譲は小次郎の感情の色を見ようとした。
譲 :「!???」
小次郎 :「…………」
譲 :「(うぐっ……)」
小次郎 :ニタリ
譲 :「(こ……こんなの…………)」
譲に見えたそれは、色と形容するにはあまりにも……
小次郎は顔こそ笑みを浮かべたが、笑いや親愛の感情を伴っていない。
譲 :「(……殺気!? ……食欲!?)」
譲が読み取ったものからかろうじて拾えるそれら。
譲が出した結論。
譲 :「(あれは……小次郎君じゃないのか……?)」
小次郎 :ニヤ
SE :メキャ……ミチミチミチッ……グチョ…………
小次郎の右掌から、皮膚を盛り上げ破って、刃のような物が突き出た。
それは、植物の芽が成長するように掌から粘液を伴いながらはい出て来て、一
振りの刀になった。
譲 :「…………(しかめ面)」
道を行く周囲の人々は、この異様な光景に全く関心を示さない。
譲 :「(周りには見えていないのか?)」
だが、結界が張られている訳ではない。
譲が戸惑っていると、小次郎が粘液の滴る刃を構えた。
SE :ダッッッ…………
小次郎が信じられない速度で間合いを詰めて来る。
譲 :「(殺されるっっっ……!!!?)」
SE :ギィイィィィィィィ………………ン
決断
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SE :ガッ…………
譲が死を直感した直後、強力な結界が張られ、譲と小次郎の間に何者かが飛燕
のような速度で割って入った。
侠児 :「…………(睨)」
小次郎 :「…………。」
譲を庇うように割って入った男は、小次郎の斬撃を己の太刀で受け、鍔競り合
いの体制になる。
侠児 :「哈っっ!」
男は己の刃の力を逸らし、小次郎の刃を抑えつつ、隙のできた小次郎の腹部に
蹴りを入れた。
SE :ドンッッ……
しかし、小次郎はビクともしない。
男の蹴りの狙いはダメージではなく……
SE :ィンンンン…………
男は蹴りの反動を利用し、小次郎から間合いを離す。
後へ跳んだ勢いで譲の手を取ると、そのまま譲を伴い驚異的な速度で地面を滑
るように後退する。
譲 :「(あぐっっ……!)」
突然の加速から来る衝撃で譲の肩がはずれそうになる。
小次郎からだいぶ距離が離れた。
侠児 :「大丈夫かっ!?」
男は譲を庇う位置に立ち、太刀を構え小次郎を睨みつつ譲に問うた。
譲 :「ええ。」
譲は肩をさすりつつ、男が肩のことを聞いているのではないと察し、そう答え
た。
侠児 :「そうか。で、君は……狩人……結界……」
男は譲の気丈さに感心し、何かを伝えようと思ったらしいが、説明に戸惑って
いるようだった。譲は男の発したいニュアンスを読み取り答える。
譲 :「"結界"ですね、知っています。」
侠児 :「そうか、なら私のを閉じる。君がすぐ張り直してくれ」
譲 :「……"強過ぎず""弱過ぎず"ですね。」
譲が男の思考を読む。
侠児 :「知っているのか?」
譲 :「判ります。」
侠児 :「じゃあ、話は早い。頼むぞ!」
譲が男の考えを理解する。しかし……
譲 :「でも、やったことがありません。」
侠児 :「…………。だが、やらなきゃ死ぬぞ!」
譲 :「…………」
侠児 :「…………」
譲 :「やります!」
侠児 :「よし!」
譲 :「(でも、本当にそんなことが上手く行くのか……)」
侠児 :「行くぞっ!!!」
SE :キィィィィィィィ…………
譲と男が結界を交換する。
フェイント
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男が小次郎を見据えながら太刀を大きく振り回し、ゆっくりと両手を背中に回
す。
小次郎の位置からは、男の背中に太刀が隠れ見えなくなる。
小次郎 :「かあぁぁぁぁぁ…………」
小次郎が眉間にシワを寄せ、怒りの表情を作り侠児を睨む。
侠児 :「任せたぞ。」
譲 :(頷く)
侠児 :「哈っ!」
男は太刀を背中に隠したまま、小次郎へ向かって一直線に高速で地面を滑る
SE :ンィィィィ…………
男が体を捻り、腰の高さに蹴りを出す。しかし、それは蹴りの当たる間合いで
はない。
小次郎 :「がっっっ…………!」
小次郎の斬撃の構えを見せた瞬間。
小次郎の視界から男の姿が消えた。
SE :ダンッッ…………
数瞬遅れて地面を蹴る音が響く。
男が小次郎の背後の空間に現れた。
男の持つ太刀が一瞬輝きを増し、小次郎に襲いかかる。
侠児 :「ぜやあぁぁぁぁっっっ……!」
小次郎 :「!」
小次郎の右腕の関節があらぬ方向へ曲がり、男の太刀を受けようとするが……
SE :ギィィィィ………………ズザッ!
男は触れ合った太刀を滑らせ、小次郎の右腕に傷を負わせる。
小次郎 :「…………」
侠児 :「(チイィィ……浅いっっっ!)」
傷を負わせることはできたが、致命傷では無い。
譲 :「(いきなり、そんな高度なタイミングを求められても…)」
譲は男の要望していたものに対し不満を覚えた。
しかし、譲が気になったのは男の太刀が輝きを増す瞬間、男の心に"痛み"みた
いなものが疾ったことだ。
小次郎 :ニヤリ
侠児 :「…………(睨)」
二人は太刀の間合いぎりぎりにまで離れ、膠着状態に入る。
SE :タンッッッ…………
突然、小次郎が地面を蹴って跳躍した。
小次郎の跳んだ先は、小次郎の側にそびえていたビルの屋上。
およそ人の跳躍力とは思えない。
小次郎 :ニヤ
侠児 :「くっ……逃げる気か!」
男は小次郎を追って駆け出そうとしたが、譲の方を振り向いて……
侠児 :「君のような人間は……奴……奴らに狙われる。詳しい説
:明をしている暇がないが……仲間がいるなら警戒するよう
:に伝えるんだ。」
男はそう言い残して走り去った。
譲 :「("災厄"……"住人"……"狩人"……"墜とし子"……"司")
:……あの人は一体何を? ……そして何処まで知っている
:んだ?)」
譲は男の去り際に男が説明したがっていたことを頭の中で反芻した。
譲 :「(……そして、このままでは確実に訪れる"世界の崩壊"っ
:て……)」
結界の中に、譲は一人。
譲 :「………………」
時系列
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3rd.1999.6.下旬
解説
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当初、侠児は他と絡めないという予定で動かすつもりでしたが、現在のWPの膠
着した状態を動かせないものかと思い、ちょっとだけ接触させてみました。
今回の話を広げれば、WP全体として物語が前進するのではないかと思いますが
……。
#少なくともPC的に『このままでは確実に世界が滅ぶ』ことを知っている人間
が存在することが判明した訳ですから……。
という訳で、譲くんを登場させましたが、E.Rさん的に満足が行く扱いであっ
たかどうか自信がありません。
訂正、修正、意見をお願いします。
吉GUY
ji-guy@dike.dricas.com