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Date: Thu, 15 Jun 2000 20:55:47 +0900 (JST)
From: 灰枝真言 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 19587] [HA06P]: エピソード『穴場の店』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200006151155.UAA62398@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 19587
2000年06月15日:20時55分46秒
Sub:[HA06P]:エピソード『穴場の店』:
From:灰枝真言
灰枝です。
勢いづいたらどんどんやれと昔のひとも言ってます。
総統さん、gallowsさん、場所をお借りしております。
訂正、拡張などありましたらよろしく〜。
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エピソード:『穴場の店』
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燕彩花(ヤン・ツァイファ):
:空きっ腹女子大生。ときおり行動がケダモノなみ。
末夜雅俊(まつや・まさとし):
:彩花の兄弟子。今回は足代わり。
なんだかうまそうな店
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美味そうな店が、あるという。
繁華街から外れた、少し判りにくい場所だという。
本格的な、インドカリーの店だという。
彩花 :「晩ゴハン」
末夜 :「うむ」
出した右手の中にサイコロが握られていた。高い目を出せば勝ちであり、
負けたものが晩飯を作る。以前はじゃんけんで決めていたのだが、たぬき
がチョキを出せないことが発覚して後、現在の方式となった。
だが今晩、彩花はサイコロを(何故か12面だ)傍らに置いた。
そしてきっぱり言った。
彩花 :「外でゴハン」
末夜 :「ふむ?」
彩花 :「おいしいカレーが食べたいヨ」
美味そうな店があるという。
街に出るたびに、そっちから気になる匂いがするのだという。
スパイスの香りが、堪らないのだという。
末夜 :「で、場所は?」
彩花 :「わかるネ」
末夜 :「ふむ。行くか」
そういうことに、今晩はなった。
たぬは自炊だ。
なんだか一味ちがう店
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末夜 :「それは……何か変でないか?」
彩花 :「でも、ヤキソバ屋さんも同じ所にあるネ」
峠道を下る車の中で、彩花がそんなことを言い出した。
末夜 :「ヤキソバくらい、普通につくるだろうが」
彩花 :「一月もヤキソバ食べつづける人、いないヨ」
末夜 :「ふむ」
彩花 :「きっとヤキソバもやってるネ。そっちも食べるネ」
末夜 :「おい」
やがて街へ。道を尋ねる末夜に、彩花、車の窓から顔を突き出す。
彩花 :(くんくん)
末夜 :「おい」
彩花 :(くんかくんか)
末夜 :「何してる」
彩花 :「こっちにまっすぐネ!」(ビシッ)
末夜 :「……民家は突っ切れん」
末夜、だまって車を路駐にかかる。
予想しておくべきだったと、腹の中で思いつつ。
匂いをたどり、迷うこと二十数分。目的の店に辿り着いた。
二階の窓からスパイスの効いた、インドカリーの匂いがしていた。
そして一階からはヤキソバの香り。
壁に蔦の絡まった、重厚な見かけの店だった。
表に小さく、表札があった。
一階、『聖書協会』(不確定名:ヤキソバ屋)。
二階、『比企鐘継探偵事務所』(不確定名:インドカリー屋)。
末夜 :「おい」
彩花 :「……アレ?」
首をかしげる彩花。
末夜 :「店とちがうようだな」
彩花 :「こういう名前のレストラン……」
末夜 :「んな訳あるか」
彩花 :「……だってどっちもイイ匂い(うるうる)」
彩花が切なそうに、窓に大きな瞳を向けた。
涼しい夜風に乗って、美味そうな香りが流れていく。
時系列
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2000年6月ごろ。ある涼しい夜のこと。
解説
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なんだか食い意地の張った日常ですね。
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それでは〜。
灰枝でした。