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Date: Thu, 15 Jun 2000 03:21:33 +0900 (JST)
From: 灰枝真言 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 19565] [HA06P]: エピソード『助けたお礼』完成版
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200006141821.DAA35885@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 19565
2000年06月15日:03時21分33秒
Sub:[HA06P]:エピソード『助けたお礼』完成版:
From:灰枝真言
こんばんわ、灰枝です。
いつかの完成版。忘れぬうちにながしませう。
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エピソード:『助けたお礼』
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登場人物
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燕彩花(ヤン・ツァイファ):
:紅雀院大学新入生。
:中国生まれだけあって、長幼の序には厳しい(除く末夜)
:よくお腹すいてます。
富良名裕也(ふらな・ゆうや) :
:お気楽な天然系大学生、外見は幼い。
目移りしてます
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春である。
紅雀院大学構内には新入生達と、新入生獲得に燃える各サークルの勧誘員達
が、いたるところで見かけられる。
春である。
時折強い風が吹き、桜の花びらが白く渦を巻いている。
彩花 :「……キレイネ★」
もちろん中国でも桜は咲く。
でもこんなにまとまって咲いているのは、日本ならでは。
気分よくニコニコと目を細め、左右の立て看板をながめ歩く。
彩花 :「なんだか色々あるナ〜」
好奇心の強いたちである。いちいち立ち止まっては舐めるように看板やチ
ラシを読んでみたり、勧誘につかまって話を聞かされてみたり。
だからして一向に先に進みはしない。正門をくぐったのは朝方だったが、
いつの間にか日は天頂を過ぎている。
健康的なムスメとしては、当然ながら、当然のことになる。
彩花 :(ぐぅ)
彩花 :「お腹すいたネ」
ふとふと辺りを見まわせば、人通りが少し減っている。
勧誘合戦も、中休みといったところか。
彩花 :「わたいもお昼にしよーね♪」
くんくん、と空気の匂いを嗅ぐようにすると、食物の匂いのするほうへと
歩き出す彩花。仕草はほとんど犬であった。
よこかんばん
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しばらく歩く。
なんだか裏道っぽい建物と建物の間の道に入っている。食堂の匂いに向け
て、最短距離を歩こうとするから、そんなことになるのである。
頭上には細い青空。夏場に講義をサボって昼寝するにはよさそうな場所。
当然ながら人通りはなく、通りの喧騒とも無縁に見える。
呼び込みの声も、ここにはない。
??? :「……みんけんで〜す」
声がする。
彩花 :「ふぇ?」
??? :「誰かとおってよ〜」
なんだか困ったような声がする。
建物の谷間を時折びゅう、と吹く風に流されて、かすかに聞こえる。
??? :「わ〜ん(じたばた)」
彩花 :「――えと。何してるネ」
看板が倒れている。隙間から声がする。
ばたばたと時折動く、手足が見える。
看板に挟まったまま、風に吹かれて倒れたようだ。なんだか変な風にひっ
かかかったらしく、動けなくなってしまったフラナであった。
彩花 :「なんだかおもしろそーネ」
フラナ :「あんまり面白くないよー」
彩花 :「みんけん……」
フラナ :「読んでないで助けてよぉ」
彩花 :「あいや、ごめんネです」
どっこいしょといった感じで引っ張り出されて、フラナちょっと一息。
それから何事もなかっとように、おもむろに言う。
フラナ :「というわけで助けてもらったお礼に、民研に入ってね」
転んでもただでは起きない。
というか論理的に微妙に変な気もするが、彩花はあんまり気づかない。
ふと、亀を助けて宴会に招待されるお話など、思い出している。
彩花 :「……お礼?」
フラナ :「お礼お礼」
彩花 :(……たちまち彩花はおばーさん)
フラナ :「どーかした?」
彩花 :「何でもないネ」
フラナ :「ふーん。じゃ、これどうぞ」
とフラナ、ひっくりかえっても離さなかったチラシを取り出し、彩花の手
に握らせて。
フラナ :「ぼく富良名裕也。民研の二年生。フラナでいいよ」
彩花 :「わたいは、ツァイファいいます。
:先輩だったネ。どぅぞよろしくです」
フラナ :「こっちもよろしく。んーと。じゃ、新歓コンパ来てね。
:ぼく幹事するから〜約束だよ(^^)」
彩花 :「約束。わかりましたネ、フラナ先輩」
フラナ :「いやったー! きっとだからね〜」
なしくずしである。サークル内容の説明がぜんぜん無いことには、二人と
も気がつかなかったらしい。
ひとりチラシをにぎったまま、何となく首をかしげた彩花。
思い出したように、その腹がなった。
彩花 :(ぐぐぅ)
彩花 :「そうそう。お昼にするネ」
時系列
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2000年4月
解説
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燕彩花の民研加入準備エピソード。この後、新勧コンパに続きます。
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以上。