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Date: Sun, 11 Jun 2000 22:59:30 +0900
From: Takuji HOTTA <gombe@osk3.3web.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 19479] [HA06P] 『同類・相見えず』完成版
To: kataribe-ml@trpg.net
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ごんべです。
BOBUさんに[KATARIBE 18027]で修正を受けながら、ほったらかしだった(は
ずの)EPです。
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エピソード『同類・相見えず』
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とある日和の良い日のこと。
いい天気だと出歩きたくなる、のは、お天気だと都合が悪いはずの雷神様で
も同じらしい。
らい :「気持ちいいなぁ」
たまには気の流れに乗ってみるのも悪くない。天気のいい日は、明るいいろ
んな気が緩やかに流れている。
ふぅはと言えば、その手伝いにかり出されているらしい。他の風神たちの処
に行っていて、今日はらい一人である。風神も、嵐の時だけが仕事というわけ
ではないようだ。
気の流れの一つに乗ってごろんと寝転がると、ふわふわと運ばれながら、い
つの間にやら人間の町の中の通りの一つを抜けていこうとしていた。
両側からは、時折おいしそうな電気の匂いが漂ってくる。
らい :「へぇ……こんどまたタクミのいないときに食べに来よう
:っかなぁ」
などと考えつつ、今日のところはのんびりと、気の流れにまかせて漂ってい
た。……つもりだったが。
らい :「……あれ? ……えええっ、なんだ?」
どうも、とある方向に吸い寄せられているらしい。その力はだんだん強くな
ってきて、ぐんぐんと引き寄せられて……
らい :「わぁああっ」
……ある一点にさしかかったとき、彼を吸い寄せる力は、唐突にぴたりと止
まった。まるで換気扇に吸い寄せられた風船のように……と言っては、彼に悪
いだろう。
彼の意思を無視して流れていた風景は、今度はゆっくりと、人が歩くくらい
の速さで流れていく。何かが、彼を運んでいるのだろうが……
らい :「……なんなんだよぉ、これ……」
ふぅ :「あれ、らい、どうしたんだ?」
見ると、小さな袋を持ったふぅがふわふわとそばまで来ていた。
お手伝いの途中で抜け出してきたらしい。
らい :「わかんないよ……何かに吸い寄せられてるみたいなんだ
:けど。……ねぇ、何とかしてよ」
ふぅ :「……って言っても……何もないぞ?」
らい :「そんなわけないだろー」
ふぅ :「おい、らい、どこ行くんだ?」
らい :「知らないよぉ……」
ふぅ :「知らないのに行くのか?」
らい :「好きでやってるんじゃないんだってばっ! もぉ……
:どうなってるんだよぉぉ」
その頃同じ通りを、買い物がてら歩いている堀川祐司の姿があった。
祐司 :「さっきから、なんかぴりぴりするな……どこかで高圧線
:の工事でもしてるのか?」
説明しよう。
彼・堀川祐司は日頃から自分の体内の電気が漏れないように気をつけている
ため、無意識の内に周囲の電気を吸収する、人間アースと化しているのである。
一方で彼は、昔の恩師からもらった霊的護身符を身につけているため、高位
の霊的存在でなければ、彼の存在を見つけることは難しくなっているのだ。
そう。
つまり今、祐司と、彼が吸い寄せてしまったらいとは、間近な距離で接近遭
遇していながらお互いの存在に全く気付いていないという、とても間抜けな状
況に陥ってしまっているのである(笑)。
らい :「どこへいくんだよぉ〜 こらあ!」
祐司 :「なんか知らんけど電界が強いんやろなぁ……今日は気を
:つけて電気を制御しとかんとあかんな」
:(と独り言を言いつつ、電気の吸収力を上げる)
ふぅ :「あ、おれそろそろ行かなきゃ。じゃな」
らい :「うわあああああああん!」(ジャリテン状態でじたばた)
……大丈夫だよ、そのうち離れられるって(ほんとか?)。
(終)
解説
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正真正銘の雷神と電気能力者とが遭遇するお話……ということになる、のか
なぁ(^^;。
登場人物
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雷影 (らい)
:一応、雷神である。そんなに大きくないあたり、まだ「子供」らしい。
風籟 (ふぅ)
:らいの友達。彼も、一応、風神である。
堀川 祐司 (ほりかわ・ゆうじ)
:体内に蓄電できる能力を持つ生きた電源装置。本職は大学の歴史学者。
時系列
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1999年5月前半のある暖かい日のこと。(^^;
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以上。
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堀田 拓司 (ごんべ) gombe@osk3.3web.ne.jp
http://www2.osk.3web.ne.jp/~gombe/TRPG/BOUKEN/