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Date: Wed, 7 Jun 2000 23:23:03 +0900 (JST)
From: ji-guy@dike.dricas.com
Subject: [KATARIBE 19420] [WP01P]EP: 『少女の白い手』(『少女とハンカチ』改題)
To: kataribe-ml@trpg.net
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吉GUYです。
各方面からいろいろ突つかれた本作品は、大幅に改稿することにしました。
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エピソード『少女の白い手』
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登場人物
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厳侠児(げん・きょうじ):唯一人で"災厄"と戦い続ける終末の住人。
裏路地で
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声 :「ねえ。」
声が聞こえる。
声 :「ねえ。おぢちゃん。」
子供の声だ。
侠児 :「ぅ……?」
眠っていたようだ。侠児は頭を振る。
女の子 :「寝てたの?」
侠児 :「ぁ……あぁ……」
目の前に4、5歳ぐらいの女の子が立っていた。
女の子の目線は座っている侠児と同じくらい。
侠児は自分の状況を思い出す。
……連日の堕とし子との戦いで……
……疲れていた……
……仕方無く休もうと……
……影が濃いこの裏通りで……
……結界を……
……そう……結界を……誰にも……
……災厄にも……見つからないように……慎重に……巧妙に……小さく…
侠児 :「(結界? そうだ結界だ! 結界を張っていたんだ!)」
女の子 :「……?」
目の前に女の子がいる。見覚えがない。思考を整理し一応の結論を出してみる
。
侠児 :「(……寝ている間に解けたのか?)」
女の子 :(じーっ……)<侠児を見る
侠児は周囲に気を配る。辺りに人の気配が無く、侠児と女の子の二人だけしか
いない。
侠児は現在の状況を察知する。
侠児 :「(……! 結界が張り直されている!? ここは私の張った
:結界じゃない!?)」」
女の子 :(……じーーっ)<侠児を見る
侠児の記憶にある自分の張った結界より、もっと広い結界に変わってた。
先ほどからずっと、女の子が黒く大きな瞳で侠児を見つめてる。女の子は、桃
色のワンピースを着ていて、黒く柔らかそうな髪をおさげにしていた。
黒い瞳と色白の肌が印象的だった。
侠児 :「(まさか……この子が……?)」
女の子 :「ねぇ」
侠児 :「(!! この子が住人なら"堕とし子"が……!)」
侠児は警戒するが、周囲に堕とし子はいない……ようだ……。
侠児 :「(狩人……か? それなら大丈夫……)」
沈黙し、思考を巡らせる侠児の耳に、女の子の声が飛び込んだ。
女の子 :「ねえ、おぢちゃんっ」
侠児 :「ん……?」
女の子 :「こんなところで寝てたらいけないんだよーっ。」
侠児 :「あ、ああ……。」
女の子 :「どうして寝てたのーっ?(好奇心)」
侠児 :「ん? え〜と……」
さて、こんな子供に何から説明したものか……。
女の子 :「ねえ、どうしてーっ?(興味津々)」
侠児 :「(……しかし、俺も"おじちゃん"って呼ばれるトシかぁ…
:…(トホホ))」
いろんな意味でため息をつく。
おともだち
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それから侠児は女の子の質問攻めを受けた。
侠児は女の子にとって、結界の中で初めて出会った人間らしく、女の子のいい
好奇心の的にされていた。
女の子 :「じゃあ、おぢちゃん、ひとりぼっちなの?("可哀相"と
:いう表情)」
侠児 :「ん、……うん、まあ、そうなんだ。」
女の子はあれこれと侠児の身の上話を根堀葉堀と聞いた。
女の子 :「おぢちゃんかわいそう……。(しんみり)」
侠児 :「あ、心配しなくても、おじちゃんは大丈夫だよ(焦)」
女の子 :「さみしくないの……?」
侠児 :「寂しいよ。でも……」
今の侠児には、弱音も泣き言も立ち止まることも許されない。
女の子 :「………………」
侠児 :「あ……」
女の子がしばし黙った。いらぬ気を使わせたか、と思う。
女の子 :「じゃあねー(にこ)」
侠児 :「?」
女の子 :「まみがね、おぢちゃんのおともだちになってあげる。(
:にこにこ)」
女の子が小さな右手を差し出した。
女の子 :「ママがね、おともだちになったらね、あくしゅするんだ
:って言ってたの(にこにこ)」
侠児 :「……そうなんだ(にこ) じゃあ、まみちゃんとおじち
:ゃんは、お友達になろう。」
侠児は自分の右手を差し出した。
女の子の白く小さく柔らかい手が、侠児の硬くてゴツい手と握手をする。
女の子 :「まみとね、おじちゃんはね、これでおともだちっ(喜)
:」
侠児 :「ありがとう(微笑)」
女の子 :「もうさみしくないねっ(喜)」
女の子の喜ぶ顔を見て、こんな笑顔を見るのはどれぐらい久しぶりのことだろ
うか、と侠児は思う。
女の子 :「……ねえ、おぢちゃん。」
女の子が表情を変えた。
侠児 :「?」
女の子 :「だれかくるよ。」
女の子は自分の結界に何者かが侵入したのを察知したようだ。
女の子 :「おぢちゃんみたいなひとかな?」
侠児 :「……誰か? ……いかん!」
侵入者が堕とし子の可能性がある。
侠児 :「(やはりこの子は住人なのか!?)」
女の子 :「……おぢちゃん……?」
侠児は立ち上がり、声を荒げて女の子に言葉を投げる。
侠児 :「逃げろ!」
……何処へ?
侠児 :「いや、隠れろ!」
……どうやって?
侠児 :「くっ……おじちゃんの側を離れるなっ!」
SE :スラン……
天降太刀を引き抜き、構える。
天地四方に気を張り巡らす。
侠児 :「(何処だ!? 何処から来る!? この裏路地は影が濃いぞ!
:さあ、来いっっっ!)」
SE :たたたたたた……
侠児 :「まみちゃん……!?」
高まる侠児の気迫を恐がったのか、女の子は侠児の側から駆け出した。
侠児 :「まみちゃん、待てっ! 危険だ!」
SE :しゅュパぁっッッッ……
路地の外へ向かって走る女の子が、ヒッ……と詰まるような悲鳴を上げて宙に
舞った。
そして弾けて、砕けて、紅いものをぶちまけながらミンチになる。
侠児 :「………………………………………………………………」
侠児が呆然と見つめる路地の出口に、女の子の小さな白い……いや、朱に染ま
った右手……の破片がべちゃりと落ちる。
そして、そこに異形の怪物が立っていた。
少女の張った結界が消えてゆく……。
時系列
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3rd.1999.5月
解説
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"災厄"にマークされた男、厳侠児。
侠児と関わる住人、侠児が関わろうとする住人は、堕とし子に抹殺される。
そんな侠児の日常のある出会いの1シーン。
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という訳で、ぎゃろさんにアドヴァイスされたように"そっちほーめん"で手を
加えました。
いかがでしたでしょうか?
吉GUY@今日はテレホでつながらないのか?(汗)
ji-guy@dike.dricas.com