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Date: Wed, 07 Jun 2000 00:00:40 +0900
From: kazuki <aaq45040@hkg.odn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 19390] [HA06P] エピソード『天使のいる食卓』
To: kataribe-ml <kataribe-ml@trpg.net>
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軍光一@はぁ です。
なんとなく。逃避だね。
まあ、狭間では家事は男の仕事ですが、まあ誰も彼も前野さんではないので。
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エピソード『天使のいる食卓』
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登場人物
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西夜一輝(にしよる・かずき):紅雀院大学総合歴史学部助手。
来栖せら(くるす・−):西夜に撃墜された天使。
本編
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疲れて家に帰る日など、帰ってから食事の準備をする気力もなく、ついつい出
来合いのものを買って済まそうと考えるのだが、
西夜 :「……ないな」
閉店間際のスーパーの値段の下がったお総菜を買って帰ろうとたくらむ人間と
いうのは結構いたらしく、がらんとした売り物の陳列していない売場を眺めるの
みでだ。
あきらめて家に帰れども食事が用意してあるわけも無し。まあ、プラスとマイ
ナス差し引いてもこちらの生活を手放す気にもなれないのも又確かか。
来栖 :「お帰りー。おなかすいたー。ごはんー」
邪魔くさい天使だが、まあまだましと思いつつキッチンの電気をつけて、ある
ものを確認する。
西夜 :「……ごはん、ないな」
付け加えると米をとぐ気力もない。
訂正しよう。何をする気力もない。食事をしなければ食事を作る気力も出ない
というのはなんともどんずまりだ。
とりあえず、来栖が(何を考えてのことか知らないが)拾ってきた仏壇にマリ
ア像を飾っている謎の物体に供えてあるフランスパンをかじる。抗議の声があ
がったので半分ちぎって分けてやることにした。ついでに供え物の花の形をした
和菓子も口に放り込む。
西夜 :「!!」
塩だった。
来栖 :「それは供え物を真似して花を塩にしたものだから、食べれない
わよ。保存はきくけど、変な慣習よね」
言いたいことは山ほどあったが、とりあえず口を濯ぐ。
戸棚からスパゲティ発見。鍋に水を入れて火にかける。冷蔵庫を漁ってみた。
キャベツに人参などがある。適当に洗って切って炒めることにした。冷凍庫を開
ける。残り物の肉を発見。野菜と同じ扱いにすることにする。
鍋の水が沸騰したようなのでスパゲティを放り込んでかき混ぜる。その間に戸
棚を漁る。
時間が経つ。とりあえず鍋からスパゲティを一本取り出して堅さを確かめる。
以前芯の残ったままのものを食べたときは涙が出るほどまずかった。大丈夫のよ
うだ。
笊にあげて湯を切る。それをさっき作った野菜炒めのようなものに混ぜて、再
び戸棚を漁る。捜し物発見。スパゲティ用フリーズドライトッピング。たらこ
味。
振りかける。混ぜる。焼く。出来上がり。
来栖 :「何かスパゲティというより焼きそばみたい」
文句があるなら食うな。
皿によそうようになった分だけ、以前の生活から進歩したのかも知れない。も
とよりテーブルマナーとは無縁な人間だから。
来栖は手を組んで食前のお祈り。
来栖 :「天に在す我らが神よ。今日も又我らの糧を与えて下さったことを
感謝します……」
糧を与えたのはわたしだ。
来栖 :「……立って食べるの行儀悪いから止めなさいよ」
坐って食べると落ち着かない。
来栖 :「そっちの方が落ち着いてないわよ。ああ、肘をついて食べない
の」
五月蠅い奴である。肘をついて食べてはいけないと公会議で決議されたとでも
いうのか。
来栖 :「慣習ってものがあるでしょーが」
わたしにはわたしの慣習がある。
そんなこんなで食事が終わったら、後片づけが残っているのであった。
時系列
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2000年五月。
解説
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天使のいる(だけ)食卓の風景です。
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