[KATARIBE 19348] [HA06N] 『君と僕とチンゲンサイ』

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Date: Mon, 5 Jun 2000 18:33:31 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 19348] [HA06N] 『君と僕とチンゲンサイ』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200006050933.SAA41209@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 19348

2000年06月05日:18時33分31秒
Sub:[HA06N]『君と僕とチンゲンサイ』:
From:久志


 久志です。
いあ、出すと言ったからには瑞鶴の猫を出さねばなりません。

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小説『君と僕とチンゲンサイ』
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登場人物 
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 里見鏡介(さとみ・きょうすけ) : 
  どこか安穏としたところのあるネクロマンサー。 
  フラナと同じアパートに住んでいる。
 富良名裕也(ふらな・ゆうや)  :
  お気楽少年、細かいことはあまり気にしない。
  時々瑞鶴の猫に餌をあげに来ているらしい。
 瑞鶴の猫(ずいかくのねこ)   : 
  書店瑞鶴の猫。なぜか鏡介にチンゲンサイと名づけられている。 

本編 
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 てふてふ、と足音が響く。
 右手には大学の研究室で分けてもらったさつま揚げが入った袋がしっ
かりと握られている。

「遅くなっちゃったよー」

 大学生二年目、いかに外見が幼いといえど学業は変らない。講義を終
えて、書き取り損ねたノートを写させてもらって、民研で打ち合わせと
称したボードゲーム大会で遊んで、大学をでる頃には空もだいぶん暗く
なって来ていた。

 と、あと少しで店の前というところでふと立ち止まった。

「鏡介さん?」
「……やあ」

 一瞬間を置いて、軽く右手をあげた。店の前にはあいかわらず我関せ
ずといった顔で猫が寝そべっていた。

「何してるの?」

 瑞鶴が無人になってから二ヶ月。さすがに閉店を知らず間違って訪れ
る人はいなくなっている。

「ああ、チンゲンサイに話し掛けていただけだよ」
「ちんげんさい?そういう名前だったの?」
「いや、僕がそう呼んでいるだけだけどね」
「ふぅん」

 それにしても何故にチンゲンサイ?という疑問がフラナの頭を微かに
よぎったが、わざわざ聞くほどのものでもないよね、と頭をさっくり切
替えた。

「あ、遅くなってごめんねーご飯持ってきたよー」

 紙袋の中にビニールで包まれたさつま揚げを一枚餌用の皿に置いた。

「ふがぁ」

 礼なのか、一声鳴いてかぶりついた。
 その間も鏡介はじーっと焦点の合わない目で猫を見ながら、二三言葉
をかける。

「ちゃんと餌をもらっているんだね」

 もちろん猫が答えるわけも無い。

「生きものを殺し、食らう。それこそ生きる証」

 語り掛ける鏡介とひたすら食事を続けている猫を交互に見回して口を
開いた。

「鏡介さんも一枚食べる?」

「……ありがとう、いだたこうか」


時系列 
------ 
 2000年6月 

解説 
---- 
 チンゲンサイこと瑞鶴の猫に餌をあげにきたフラナ、しきりに猫に話
し掛ける鏡介と出会う話。
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いじょ

 うーむ、里見さんの使い方がワンパターンだ(^^;)


    

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