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Date: Sat, 3 Jun 2000 19:41:30 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 19299] [HA06N]: 「猫的日和」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200006031041.TAA67609@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 19299
2000年06月03日:19時41分30秒
Sub:[HA06N]:「猫的日和」:
From:E.R
えーと、幽霊@E.Rです。
なじぇか、鏡介さんが気に入っているらしい、チンゲンサイ(仮名)。
というわけで、鏡介さんに。
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「猫的日和」
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片耳は、ぴこぴこと動いて音を聴く。
どうも、音が溜まっている。
あれから、月が満ちて欠けてを二度。
勝手に扉を閉じて、護ってくれ……と言ったは良いかもしれないが、
封じられた扉の中にはすっかり音が溜まってしまっている。
それが反響しているのか、どうも耳元で鳴りつづけている。
ここでは眠りにくい。
(難しい選択だねえ)
顎の下に前肢を揃えて、うとうとと考える。
ちいさいのが一人、よくここに食事を持ってくる。
(安眠と食事と、どっちがいいかねえ)
ちょっと、迷う。
そして、ええいと伸びをする。
(寝るかね)
耳元で鳴る音なぞ、耳を伏せればなんとでもなる。
一度、耳をくるりと撫でて、尻尾を体に巻きつけなおして。
和音に似た昔の音を、うっすらとそれでも聞き流しながら。
瑞鶴の、半分はがれかけた閉店の張り紙の下で。
ねこが、丸くなっている。
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ではでは。