[KATARIBE 19293] [WP01P]EP: 『因果無き男』

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Date: Sat, 3 Jun 2000 14:40:02 +0900 (JST)
From: ji-guy@dike.dricas.com
Subject: [KATARIBE 19293] [WP01P]EP: 『因果無き男』
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 吉GUYです。
 侠児のネタばれEPをお送りします。
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エピソード『因果無き男』
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登場人物
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 厳侠児(げん・きょうじ):
    :終末の住人? "災厄"の危機を知る男。
 八島一角(やしま・かずすみ):
    :ある田舎の旧家に住む終末の住人。八島流兵法の伝承者。
 
 
不安定
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 とある田舎の旧家を中心に強力な力で巨大な結界が張られた。
 ……だが、その力は2秒ともたず、結界は消え去った。
 
 一角     :「……ふむ」
 侠児     :「……解っていただけましたか?」
 
 着物を着た初老の男と、皮のジャンパーを着た若い男の二人が座敷に座り対面
していた。
 
 一角     :「確かに貴方は私と同じような力を持っているようですが
        :……」
 侠児     :「ええ、そうです。安定しないんです。」
 
 ……二人はしばらく沈黙した。
 
 侠児     :「おそらくこれは、今、私がここに現れたせいだと思いま
        :す。」
 一角     :「……どういうことですかな?」
 侠児     :「……順を追って説明します。」
 
 SE      :かとん…………ちょろちょろちょろ……
 
 猪脅しが鳴る。
 
 
切れた縁(えにし)
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 一角が聞いた話は、にわかに信じろと言って信じられるものではなかった。
 しかし、彼の見せた一瞬の「結界」と「繰り返す1999年」の話は、自分も体験
していることだった。全てが作り話とは思えない。
 とにかく目の前の男の素性をもう一度聞こうと口をあける。
 
 一角     :「……では、本当の貴方はまだ……」
 侠児     :「そうです。……いや、もはや本当のと言っていいのかも
        :解りませんが……。おそらくここへ来たことで……因縁と
        :か因果とか……そういったものから切り放されてしまった
        :ようなので……私自身ではなくなっているのかもしれませ
        :ん。」
 
 理屈は解らないではない、だがそんな馬鹿なことが……
 
 SE      :かとん…………ちょろちょろちょろ……
 
 侠児     :「私のこの力の不安定さも、その為だと思います。」
 一角     :「どういうことですかな?」
 侠児     :「……これは私の知識を繋ぎ合わせた憶測でしかないので
        :すが……。人が"住人"に覚醒するとき、同時にある別の人
        :間がほぼ同じ能力に覚醒します。その人間を"狩人"という
        :のです。」
 一角     :「ふむ。」
 侠児     :「これは"世界"が人の力の均衡を保つ為に起こす作用だと
        :言われています。"世界"は人の因縁を巧妙に操作し"狩人"
        :を生み出すのです。そして覚醒した"狩人"は自分と"対"に
        :なる"住人"に殺意を抱きます。」
 一角     :「………………」
 
 一角は眼を伏せた。記憶の中に思い当たることがあった。
 
 侠児     :「(……そうか……八島さんの"対"は確か……)」
 一角     :「………………」
 
 沈黙が続く。
 一角が、その静寂を切った。
 
 一角     :「続けてください。」
 侠児     :「では……」
 
 侠児は自分の話に切り替えることにした。
 
 侠児     :「しかし、私の場合、"覚醒"したのではなく、"居た"だけ
        :なのです。この"世界"にとっては。」
 一角     :「初めの話から察すると現れたと言ってもいいのかな?」
 侠児     :「ええ。おそらく今、この"世界"は戸惑っているのだと思
        :います。この"世界"に"覚醒"も無く突然"住人"の力を持つ
        :人間が……つまり私が居たのです。"対"を作ろうにも近く
        :に……いやこの"世界"の何処にも"対"に相応しい人間がい
        :ない。そして因縁を操作しようにも私は因縁を持っていな
        :かった。」
 一角     :「ふむ。」
 侠児     :「おそらく私の力の不安定さは、"世界"が強引に私の力を
        :封じようとしているのでしょう。"覚醒"という儀式を通過
        :していない私に対して、この"世界"にはそうする権利があ
        :るのかもしれません。」
 一角     :「…………」
 
 目の前の男が話したことには、全く根拠がない。
 この男が話したことで信じられることは……繰り返す1999年……住人の能力…
…対……。
 自分の体験したことと重なる部分はあるが……
 一角は、半信半疑の表情だった。
 
 侠児     :「私はこのままでは力を失ってしまいます。」
 
 本当に完全に力を失うかどうかは判らない。だがその可能性は高いと思われた
。少なくとも今のままでは"災厄"の侵攻に対して侠児は無力に等しい。
 
 SE      :かとん…………ちょろちょろちょろ……
 
 一角     :「…………」
 侠児     :「お願いです。八島さん。私に協力してください。手遅れ
        :になる前に、一刻も早く! 他の住人たちと……」
 
 侠児の口調が強くなる。
 
 一角     :「…………しかし」
 
 一角が何かを言おうとしたとき……。
 
 SE      :……………………………………………………………………
 
 天空で轟音が響いた。
 
 
 
時系列
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 2nd.1999 エピソード『イレギュラー』の数刻前。
 
 
解説
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 "災厄"の危機を知る謎の男、厳侠児と住人、八島一角との対話。
 侠児は己の素性を明かし、一角を説得しようとするが……。
 
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 というわけで、今回はかなり決定的なネタばれです。
 
 侠児の正体についての直接的なEPは残すところあと1本と思われます。
 
 #いやま〜今回はお話としては……(滅)
 
 
 
 吉GUY
 ji-guy@dike.dricas.com
    

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