[KATARIBE 19266] [WP01P]EP: 『続イレギュラー』

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Date: Thu, 1 Jun 2000 16:58:48 +0900 (JST)
From: ji-guy@dike.dricas.com
Subject: [KATARIBE 19266] [WP01P]EP: 『続イレギュラー』
To: kataribe-ml@trpg.net
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 吉GUY@あの、もしかして私、暴走してます? です。
 
 小次郎と侠児のEPをどうぞ
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エピソード『続イレギュラー』
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登場人物
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 八島小次郎(やしま・こじろう):
    :父の死をきっかけに覚醒した終末の狩人。16歳。
 厳侠児(げん・きょうじ):
    :小次郎の対として覚醒した終末の住人。
    :異能は影の上を高速で移動する"疾影"
 八島一角(やしま・かずすみ):
    :死亡した小次郎の父。終末の住人だった。
 
 
可能性
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 小次郎    :「がぁぁぁぁぁぁぁっっっ……」
 
 SE      :ギィン……
 
 小次郎の太刀を侠児が受ける。
 
 侠児     :「(……死ぬ筈だった小次郎君が狩人として覚醒した……)」
 
 小次郎    :「ぎっっ……」
 
 小次郎、鍔競合いで侠児に圧し負ける。
 
 侠児     :「(……これは恐らく"世界"と"災厄"にとって、不測の事態
        :だ。)」
 
 太刀越しに侠児に力を制せられ、小次郎は自分の太刀を引くことができない。
 
 小次郎    :「ぐぅっっ……」
 侠児     :「(筋書が変わり始める"兆し"……まさしくその"証")」
 
 小次郎、太刀を挟んで徐々に侠児に抑えつけられる。
 
 小次郎    :「っっっ………………」
 侠児     :「(そして、覚醒したばかりで、この強力な"鍵"の具現化)」
 
 小次郎、侠児の圧力に抗うことができず、片膝を地に着く。
 
 小次郎    :「…………」
 侠児     :「(彼を殺す訳にはいかない。)」
 
 侠児が太刀を引いた。
 
 侠児     :「話を聞いてくれ!」
 小次郎    :「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
 
 SE      :ギィン、キン、ギン、キィイン……
 
 小次郎は立ち上がり、侠児に豪雨の様な連撃を与える。
 侠児はそれを受け、いなす。
 
 侠児     :「(やはり"対"の説得は無理なのか……?)」
 
 SE      :ィィン……
 
 小次郎    :「!?」
 
 八島家の長い塀が地に作る影の上を侠児が"滑り"、小次郎から大きく距離をと
る。
 庭の隅まで後退し、侠児が口を開く。
 
 侠児     :「聞いてくれ。」
 小次郎    :「ハー…ハー…ゼィゼィゼィ…ハー…ハー…ハー………」
 
 連撃の疲労で小次郎は肩で息をする。
 
 侠児     :「今、世界に"災厄"が訪れている。君の父上は……そして
        :私も、その"災厄"を防ぐ為の"力"に覚醒した。」
 小次郎    :「ハー…ハー…ハー…ゼィ……ハー……ハー……」
 侠児     :「その覚醒者を"終末の住人"と呼ぶ。」
 
 "終末の住人"それは、月島直人が名付けた呼び名。
 
 侠児     :「君は"住人"ではないが、同質の力に覚醒している。」
 小次郎    :「ハー………はー………はー…………、すぅ…はー……」
 侠児     :「私に協力してほしい。」
 小次郎    :「すぅ……はーーーーーー……」
 侠児     :「"災厄"の影響は既に……」
 小次郎    :「…………」
 
 小次郎の息は整った。
 
 小次郎    :「ふざけるなぁぁぁぁっっっ……!」
 
 
絶技"斬影"
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 ……奴が見せたさっきの動き……
 ……飛燕のように一瞬で……
 ……奴は今、影の上にいる……
 ……影の上に……
 
 ……影……
 
 小次郎と侠児は、塀が庭に落とす影の上に一直線上に数メートル離れている。
 
 小次郎    :「……届く。」
 
 小次郎は、何故か自分の間合いに3倍の広がりを感じた。
 
 小次郎    :「ぜあぁぁぁぁぁっっっっ……!!!」
 
 SE      :キィン!
 SE      :(重低音)
 
 
侠児の困惑
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 SE      :メギ……ゴドッッ…………ン
 
 八島家の塀の一部が水平に切断され地に倒れた。
 その切断面は滑らかだった。
 
 侠児     :「………………(驚愕)」
 
 小次郎の斬撃は僅かの差で侠児には届いていなかった。
 
 小次郎    :「…………(睨)」
 侠児     :「……影を……"影"の力をそんな風に……そうか! その
        :"鍵"の……"鍵のカタチ"が……太刀だから……私ではでき
        :ない芸当だ……」
 
 侠児はジャンバーの胸のポケットに左手を当てる。
 
 侠児     :「(この場は私も"鍵"を出して対抗するしか……さもなくば
        :殺されかねない。)」
 
 精神を集中する。"鍵"の具現化。ココロのナカのオモイのチカラにカタチを与
えて"形"にする。
 
 侠児     :「……?」
 
 出ない。
 
 侠児     :「ばかな!」
 
 "鍵"を具現化できない。
 
 
不完全
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 "住人"の証。
 "災厄"を阻止する為の必須の力。
 
 侠児     :「(それを失ったというのか!)」
 
 小次郎の"鍵"に目が止まる。
 
 侠児     :「(……イレギュラーな覚醒の所為か! ……私と小次郎君
        :は"対"になってしまったが……)」」
 
 侠児     :「(……お互いのオモイが違うんだ!)」
 
 SE      :チャキッ
 
 小次郎が構えた。
 
 侠児     :「(私と彼は対等の"対"じゃない。中途半端な状態になって
        :いた所為か!? ……私は彼の覚醒に引き寄せられたに過ぎ
        :ない……? いや……それでも……彼は"狩人"に……)」
 
 侠児は小次郎の殺気を感じた。我に返る。
 
 侠児     :「(今は考えている時じゃない。この場を何とか……)」
 
 小次郎がゆっくり、じりじりと刷り足で間合いを詰めて来る。
 
 侠児     :「(彼の鍵のカタチは、この"天降太刀"……)」
 
 
天降太刀
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 侠児     :「……異能の力を増幅する? その太刀が?」
 一角     :「そうです。その増幅力は並の"住人"が具現化する"鍵"の
        :比では無い。」
 侠児     :「しかし、異能をいくら強めても"堕とし子"や"司"は"鍵"
        :でないと……」
 一角     :(頷く)
 
 SE      :キィィィィィィィィィ
 
 侠児     :「なるほど、それが貴方の"鍵"でもあるのですね。」
 一角     :「ですが、この太刀には……」
 
 
オモイ
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 侠児     :「(奇しくも父親と同じ形の"鍵"を出す。……いや、一子相
        :伝の八島流だからココロのナカに同じオモイを宿すのか…
        :…例外だな。)」
 
 侠児は冷静になった。
 
 侠児     :「("鍵"の具現化は心得ている。そして一応、私は彼の"対
        :"になった。)」
 
 天降太刀を構える。
 
 侠児     :「(ココロのナカのオモイをちょっと"誤魔化す"だけで…
        :…できるかもしれない。)」
 
 小次郎の殺気が頂点に達している。
 
 侠児     :「(練習は無し、いきなり本番だ!)」
 小次郎    :「ざがぁぁっっっっ……!」
 侠児     :「来い!」
 
 ……カアサン……ゴメンナサイ……
 
 
未来への代償
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 侠児の傍らに小次郎が倒れていた。
 小次郎は気を失っている。
 
 侠児     :「(……できた。ほんの一瞬……微かだったが"鍵"が……そ
        :れが天降太刀の力に反応して……)」
 
 瞼を閉じる。一瞬前を思い出す。その"疾影"の動きは……
 
 侠児     :「(……いつもの倍、いや3倍の速さだった。)」
 
 鞘を拾う。
 
 侠児     :「(……いづれ小次郎君は説得する。)」
 
 太刀を鞘にしまった。
 
 侠児     :「(だが今は、一刻も早く"災厄"と戦う為の体制を整えるの
        :が先だ。)」
 
 八島家の敷地を出る。
 
 侠児     :「(小次郎君、すまない。この太刀は今の私には必要だ。…
        :…そして八島さん、"災厄"の阻止の成就を貴方への弔いと
        :させていただきます。)」
 
 侠児は東京へ足を向けた。
 
 
 "住人"八島一角の死。
 侠児の"鍵"の喪失。
 
 確かに筋書は変わっているのかもしれない。
 だが、その為の代償は安かったのだろうか?
 
 
時系列
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 2回目の1999年。エピソード『イレギュラー』の直後。
 
 
解説
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 エピソード『イレギュラー』の続編です。
 小次郎の異能の発現と侠児の失った鍵の話がメインです。
 
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 書きたいという衝動が走ってしまいまして……。
 
 侠児のネタばらしEPですが、終末の住人の基本設定に抵触しそうです。
 
 大丈夫でしょうか? >ソードさん
 
 #侠児のネタばれEPは、あと2つくらいかなぁ
 
 
 吉GUY
 ji-guy@dike.dricas.com
    

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