Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage
Date: Thu, 1 Jun 2000 16:58:48 +0900 (JST)
From: ji-guy@dike.dricas.com
Subject: [KATARIBE 19266] [WP01P]EP: 『続イレギュラー』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200006010758.QAA08535@mailsv1.dricas.com>
X-Mail-Count: 19266
吉GUY@あの、もしかして私、暴走してます? です。
小次郎と侠児のEPをどうぞ
*****************************************************
エピソード『続イレギュラー』
========================
登場人物
------------
八島小次郎(やしま・こじろう):
:父の死をきっかけに覚醒した終末の狩人。16歳。
厳侠児(げん・きょうじ):
:小次郎の対として覚醒した終末の住人。
:異能は影の上を高速で移動する"疾影"
八島一角(やしま・かずすみ):
:死亡した小次郎の父。終末の住人だった。
可能性
---------
小次郎 :「がぁぁぁぁぁぁぁっっっ……」
SE :ギィン……
小次郎の太刀を侠児が受ける。
侠児 :「(……死ぬ筈だった小次郎君が狩人として覚醒した……)」
小次郎 :「ぎっっ……」
小次郎、鍔競合いで侠児に圧し負ける。
侠児 :「(……これは恐らく"世界"と"災厄"にとって、不測の事態
:だ。)」
太刀越しに侠児に力を制せられ、小次郎は自分の太刀を引くことができない。
小次郎 :「ぐぅっっ……」
侠児 :「(筋書が変わり始める"兆し"……まさしくその"証")」
小次郎、太刀を挟んで徐々に侠児に抑えつけられる。
小次郎 :「っっっ………………」
侠児 :「(そして、覚醒したばかりで、この強力な"鍵"の具現化)」
小次郎、侠児の圧力に抗うことができず、片膝を地に着く。
小次郎 :「…………」
侠児 :「(彼を殺す訳にはいかない。)」
侠児が太刀を引いた。
侠児 :「話を聞いてくれ!」
小次郎 :「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
SE :ギィン、キン、ギン、キィイン……
小次郎は立ち上がり、侠児に豪雨の様な連撃を与える。
侠児はそれを受け、いなす。
侠児 :「(やはり"対"の説得は無理なのか……?)」
SE :ィィン……
小次郎 :「!?」
八島家の長い塀が地に作る影の上を侠児が"滑り"、小次郎から大きく距離をと
る。
庭の隅まで後退し、侠児が口を開く。
侠児 :「聞いてくれ。」
小次郎 :「ハー…ハー…ゼィゼィゼィ…ハー…ハー…ハー………」
連撃の疲労で小次郎は肩で息をする。
侠児 :「今、世界に"災厄"が訪れている。君の父上は……そして
:私も、その"災厄"を防ぐ為の"力"に覚醒した。」
小次郎 :「ハー…ハー…ハー…ゼィ……ハー……ハー……」
侠児 :「その覚醒者を"終末の住人"と呼ぶ。」
"終末の住人"それは、月島直人が名付けた呼び名。
侠児 :「君は"住人"ではないが、同質の力に覚醒している。」
小次郎 :「ハー………はー………はー…………、すぅ…はー……」
侠児 :「私に協力してほしい。」
小次郎 :「すぅ……はーーーーーー……」
侠児 :「"災厄"の影響は既に……」
小次郎 :「…………」
小次郎の息は整った。
小次郎 :「ふざけるなぁぁぁぁっっっ……!」
絶技"斬影"
----------
……奴が見せたさっきの動き……
……飛燕のように一瞬で……
……奴は今、影の上にいる……
……影の上に……
……影……
小次郎と侠児は、塀が庭に落とす影の上に一直線上に数メートル離れている。
小次郎 :「……届く。」
小次郎は、何故か自分の間合いに3倍の広がりを感じた。
小次郎 :「ぜあぁぁぁぁぁっっっっ……!!!」
SE :キィン!
SE :(重低音)
侠児の困惑
----------
SE :メギ……ゴドッッ…………ン
八島家の塀の一部が水平に切断され地に倒れた。
その切断面は滑らかだった。
侠児 :「………………(驚愕)」
小次郎の斬撃は僅かの差で侠児には届いていなかった。
小次郎 :「…………(睨)」
侠児 :「……影を……"影"の力をそんな風に……そうか! その
:"鍵"の……"鍵のカタチ"が……太刀だから……私ではでき
:ない芸当だ……」
侠児はジャンバーの胸のポケットに左手を当てる。
侠児 :「(この場は私も"鍵"を出して対抗するしか……さもなくば
:殺されかねない。)」
精神を集中する。"鍵"の具現化。ココロのナカのオモイのチカラにカタチを与
えて"形"にする。
侠児 :「……?」
出ない。
侠児 :「ばかな!」
"鍵"を具現化できない。
不完全
-----------
"住人"の証。
"災厄"を阻止する為の必須の力。
侠児 :「(それを失ったというのか!)」
小次郎の"鍵"に目が止まる。
侠児 :「(……イレギュラーな覚醒の所為か! ……私と小次郎君
:は"対"になってしまったが……)」」
侠児 :「(……お互いのオモイが違うんだ!)」
SE :チャキッ
小次郎が構えた。
侠児 :「(私と彼は対等の"対"じゃない。中途半端な状態になって
:いた所為か!? ……私は彼の覚醒に引き寄せられたに過ぎ
:ない……? いや……それでも……彼は"狩人"に……)」
侠児は小次郎の殺気を感じた。我に返る。
侠児 :「(今は考えている時じゃない。この場を何とか……)」
小次郎がゆっくり、じりじりと刷り足で間合いを詰めて来る。
侠児 :「(彼の鍵のカタチは、この"天降太刀"……)」
天降太刀
---------
侠児 :「……異能の力を増幅する? その太刀が?」
一角 :「そうです。その増幅力は並の"住人"が具現化する"鍵"の
:比では無い。」
侠児 :「しかし、異能をいくら強めても"堕とし子"や"司"は"鍵"
:でないと……」
一角 :(頷く)
SE :キィィィィィィィィィ
侠児 :「なるほど、それが貴方の"鍵"でもあるのですね。」
一角 :「ですが、この太刀には……」
オモイ
---------------
侠児 :「(奇しくも父親と同じ形の"鍵"を出す。……いや、一子相
:伝の八島流だからココロのナカに同じオモイを宿すのか…
:…例外だな。)」
侠児は冷静になった。
侠児 :「("鍵"の具現化は心得ている。そして一応、私は彼の"対
:"になった。)」
天降太刀を構える。
侠児 :「(ココロのナカのオモイをちょっと"誤魔化す"だけで…
:…できるかもしれない。)」
小次郎の殺気が頂点に達している。
侠児 :「(練習は無し、いきなり本番だ!)」
小次郎 :「ざがぁぁっっっっ……!」
侠児 :「来い!」
……カアサン……ゴメンナサイ……
未来への代償
-------------
侠児の傍らに小次郎が倒れていた。
小次郎は気を失っている。
侠児 :「(……できた。ほんの一瞬……微かだったが"鍵"が……そ
:れが天降太刀の力に反応して……)」
瞼を閉じる。一瞬前を思い出す。その"疾影"の動きは……
侠児 :「(……いつもの倍、いや3倍の速さだった。)」
鞘を拾う。
侠児 :「(……いづれ小次郎君は説得する。)」
太刀を鞘にしまった。
侠児 :「(だが今は、一刻も早く"災厄"と戦う為の体制を整えるの
:が先だ。)」
八島家の敷地を出る。
侠児 :「(小次郎君、すまない。この太刀は今の私には必要だ。…
:…そして八島さん、"災厄"の阻止の成就を貴方への弔いと
:させていただきます。)」
侠児は東京へ足を向けた。
"住人"八島一角の死。
侠児の"鍵"の喪失。
確かに筋書は変わっているのかもしれない。
だが、その為の代償は安かったのだろうか?
時系列
----------
2回目の1999年。エピソード『イレギュラー』の直後。
解説
----------
エピソード『イレギュラー』の続編です。
小次郎の異能の発現と侠児の失った鍵の話がメインです。
****************************************************
書きたいという衝動が走ってしまいまして……。
侠児のネタばらしEPですが、終末の住人の基本設定に抵触しそうです。
大丈夫でしょうか? >ソードさん
#侠児のネタばれEPは、あと2つくらいかなぁ
吉GUY
ji-guy@dike.dricas.com