[KATARIBE 19094] [ HA06N ] [Novel]  『 11 年目の真実』最終章後編再編集版

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Date: Sat, 20 May 2000 17:28:33 +0900
From: "球形弐型" <BallMk-2@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 19094] [ HA06N ] [Novel]  『 11 年目の真実』最終章後編再編集版
To: "ML" <kataribe-ml@trpg.net>
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……はい、これで最後です(笑)

しかし……テキストで、60kもあるんですよね(爆)<合計
まー、みなさん、気長に読んでください(笑)

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[HA06][Novel] 『11年目の真実』
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最終章 『11年目の真実』後編
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 私は、今、走っていた……。
 少女を抱えて走っている……。
 何故か?……それは、この遺跡が崩れ始めているからだった…。
 こんなに走ったのは、どのくらいぶりだろうか……。
 多分、高校生の頃にやった、マラソン大会以来ではないかと思う…。
 ひたすら……ただ、ひたすら走っていた……遺跡の入り口目指して…。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 地の底から我々を飲む込もうとするほどの地響きがする……。
 しかし、ゆっくりその地響きを聞いてる暇など無い……。
 ただ、ひたすら走るしかないのだった……。

 「教授〜〜〜〜!!」

 遺跡の入り口の方から、声がする……。

 「…はぁっ、はぁっ…もう少しだ……。」

 私は、限界を感じながらも、入り口が後少しだと思い、挫けず走る。
 その時、調査隊の一員が、私達の視界に入った。

 「あ、助教授っ!……早く、早く……もう少しです!」
 「…はぁっ、はぁっ……おまえ達も早く脱出しろっ……。」

 入り口が見え、私は、慌てて外へ脱出する。
 間一髪のところで、私達は外へ出ることが出来た。しかし……

 「伊佐見さん、教授は?教授は、どうしたんです?……ま、まさか……」
  伊佐見:「……先生は……」

 私は、それ以上言葉が出なかった……。

 今回の事故で、幸いけが人は少なかった。
 外も、ある程度の被害は出た様だったが、迅速な対応によって、被害は最小
限に食い止められたそうだ。
 だが……私達は、今回の事故によって出た代償は、あまりにも大きかった。
 木原教授は……眠りについた……加由羅と共に……。

 その後、今回の事故によって、見守りし者と少女の存在は、有耶無耶になっ
てしまった様だ。
 知っているのは、私と、一部の人だけとなっていた……。

―――――それから数日後……

 「……伊佐見さん……一体、これからどうしましょうか?」
 「どうする…と言っても……出来れば、もう一度遺跡の再調査したいな。」
 「そうですね……教授の亡骸も、掘り出さないといれませんしね……。」
 「……」

******************************

昭和63年 7月……

 あの事故から、一ヶ月の月日が流れた。
 そして、遺跡の再調査をすべく、私は、まだ吹利に居たのだった。
 地盤の調査には、先生の教え子である新見君が、立ち会ってくれた。
 しかし……地質調査を行った結果、地盤は、私達が考えている以上に緩くな
っているらしい。

 「……これだけ、地盤が緩いと、もう一回掘り起こすのは無理ですね。」
 「…なんとかならないのか?」
 「無茶言わないでくださいよ。それに、業者側としても、これ以上工事を遅
 らせるわけには、いかないそうですから……。」

 だが、私は諦めきれなかった……しかし、現実は厳しい……。
 既に、打てる手は尽くした……。
 こうして、先生を飲み込んだ、加由羅は真実をも飲み込み、長い眠りについ
たのだった……永遠と言う長い眠りに……。

 『少女が目覚めたら、伝えておいてくれ……『賢治は、約束を守ったよ』と
 な……。」』

 「先生……出来れば、先生の口から伝えた方が良かったんじゃないです
 か?……その言葉を……」

 私は、夏の青空に向かって、心の中で囁いた……。
 どうにもならない、焦燥感……だが、諦めるしかなかった……。
 そして、私には、まだ仕事が残っている……少女に伝えるのだ……。
 『賢治は、約束を守ったよ』と……。

******************************

平成11年 夏…

 そして、私は、又遺跡の前に立っていた……。

 「ここへ一緒に来るのも、何年ぶりになりますかね、父さん。」

 私は、光を連れて久しぶりに、遺跡へとやってきた。

 「そうだな……一緒に来るのは、10年ぶりか……。」
 「…もう、そんなになりますか……早いものですね…。」

 前に一緒に来たのは、先生の一周忌の時だった……その後、私は仕事の都合
から一緒に来ることが出来ないでいた。
 その間、光が私に代わって、出ていたと言う……私の息子として…。

 「それに……『父さん』と呼ぶのも、大分慣れましたよ。」
 「そうか……そりゃ良かった……。」

 私は、なにやら複雑な心境だった……良く考えれば、今そこに居る光は、元
々、超古代文明の遺産……そして、由摩も……。
 まぁ、今更そんなことを気にしても仕方が無い……。

 「そう言えば、由摩はどうした?」
 「由摩ですか?由摩なら、お弁当を買いに行ってますよ。」
 「お弁当!?…一人で大丈夫なのか?」

 少々……いや、結構不安だった……。

 「大丈夫ですよ…………多分」

 私は、益々不安で一杯になった……。

 「ま、まぁ、由摩もそろそろ子供じゃないからな。(苦笑)」
 「由摩は……子供ですよ……。」
 「……」

 光は、もう一言付け加えたい言い草だったが、それを飲み込んだ感じだった。
 私を、気遣っているのだろうか……。

 「あれから、もう11年……来年は先生の13回忌だな。」
 「そうですね。来年こそは、一緒に出られる様にしないといけませんね。」

 全く……当事者が、3回忌や7回忌出ていないなんて、大問題だな……。
 私は、先生に申し分けなく感じていた。

 「それに…まだ……あの言葉…『少女』に伝えてなかったな。」
 「今は…まだ、その時ではないですよ。」
 「そうか……。」

 『少女』と由摩……それは、全く別の者……いや、正確に言うと、人格が別
の者だと光は言う。
 由摩は、あくまで、『少女』を封印する為の「器」に過ぎないのだった。
 今は、その時でない……それは、本当に封印が解けた時の言うべきだ……そ
ういう意味だった…。

 「…お父さ〜ん、お兄ちゃ〜ん、買ってきたよ〜。」

 その時、丁度由摩が、お弁当を抱えて帰ってきた。

 「…んでね、これがお兄ちゃんの分、これがお父さんの分だよ〜♪」
 「それで、由摩の分はどうした?」
 「由摩?由摩の分はねぇ〜……これ。」

 そう言うと、何処から出したのか、大きなフランスパンが出てきた。

 「……ゆ、由摩は、相変わらずパンが好きだなぁ」
 「うんっ♪」

 由摩は、結局、フランスパンと格闘することになった……。

 平和だった……私は、しみじみ思う。
 『少女』が背負った、過酷な運命……由摩には、そんなものを微塵も感じさ
せない。
 もしかしたら、封印は解けない方がいいのかも知れない……永遠に…。
 こんな平和が、もっと続けばいい……私は、ただ、そう願った。

  「先生……もしかしたら、先生との約束は果たせないかも知れません……
 でも、平和なら、幸せなら、それで良いですよね、先生……」


 それは、平和な夏の日々……。

 思い出が……

 どんなに悲しくても…

 辛くても……

 今が……

 未来が…

 幸せなら、それで良い……。

                              完
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球形弐型こと「伊沢英人」

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5月のつぶやき

「自己完結は、その時点で既に、思考が止まっているとも言える」
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