[KATARIBE 19093] [ HA06N ] [Novel]  『 11 年目の真実』最終章中編再編集版

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Date: Sat, 20 May 2000 17:28:16 +0900
From: "球形弐型" <BallMk-2@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 19093] [ HA06N ] [Novel]  『 11 年目の真実』最終章中編再編集版
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[HA06][Novel] 『11年目の真実』
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最終章 『11年目の真実』中編
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昭和63年 5月31日…

 私たちは、とうとう、遺跡の最深部へと到達することが出来た様だ。

 「…先生…これは…」

 私は驚いた。そこには、何体もの石像が立っていたからだ。
 規則正しく、通路の両脇に一列になって、何十体もの石像があるのだ。

 「うーむ……おそらくは、この遺跡を見守るために作った守護像だろう。」
 「……不気味ですな…」

 私たちは、その守護像(ガーディアン)達の間を、静かに歩いていった…、
そう、何かに、監視されている気がする感じを受けながら…。
 そして更に奥へと進んでいった。

 「おおっ……これはっ!?」

 そこで、私達の見たものは、少しばかり光を発する壁に囲まれたドーム状の
空間だった。
 なにやら、不思議に感じのする光景…宛ら「幻想的な神殿」といった雰囲気
だろうか…。
 その空間の中央には、何やら楕円形の球体があり、その一番奥の壁には、人
間を象ったレリーフがある。
 その時だった……突然、何処からか私達に語りかける声がした…。

 『……そこの者達……何の故あって此処に参った?……。』

 私は、辺りを見回したが……人が居る様子は無い。

 『……私は……この神殿を見守りし者……そなた達は盗掘か?…』

 声は、ドーム全体から発している気もする……いや、どう表現していいか分
からないくらい声の出所が分からない。

 『…もし……盗掘だと言うなら……此処のは、そなた達が欲する様なものは
 無い……早々に立ち去るが良い…。』
 「……見守りし者よ……私達は盗掘ではない…。」
 『……なら……何の故あって参ったのだ?…』
 「…私は、少女の導きがあって、此処に来たのだ……。」

 先生は、自分達の立場を主張し、声の主と話し合っている。
 そう言えば、先生は「少女」に教えられて、遺跡の発掘をしたいと言ってい
たっけな。

 『……そうか……皇女の導きによって参ったのか……』

 皇女?……私には、話の内容がさっぱり分からない……。と言うより、この
遺跡がどのような目的で作られたのか?
 そっちの方が早く知りたい……もしかしたら、私は結構不謹慎かも知れない
な……。
 私が、そんなことを考えていると、突然、『神殿』の奥にあった人型のレリ
ーフにひびが入ったかと思うと、中から人が現れたではないか。
 私は、驚きのあまり声も出なかった……。

 「……案ずるな……私に敵意は無い…。」

 しゃ、喋った!?……しかも日本語でだ。一体、どういうことだろう?……ま
さか、数千年前から日本語は、標準語として喋られていたとでも言うのか?
 もし、それが事実なら、これは歴史を覆す大発見だろう。

 「……そこの者……私が何故、そなた達と同じ言葉を喋れるか知りたいか?」

 まるで、心を見透かされているかの様に、見守りし者は、私に語りかけてき
た。
 いや、実際に心を見透かされていたのだ。
 話によると、その「見守りし者」には、人の心を読む能力があるらしい……。
 いや、読むだけでなく、直ぐに得た情報を、活用出来る能力まで持っている
と言うのだ。
 だから、日本語が喋れたのか……ちょっと残念だった…。

 「つまり……あなたは、ここの守護神ですかな?」
 「……守護している訳ではない…そなた達の言葉で言えば『管理』している
 とも言えよう……と、言っても、かなりの間機能していなかったがな…。」
 「だから、『見守りし者』と言うわけか…。」

 見守りし者は、ゆっくり歩きながら私達に近づいてきて……。

 「私は……長い間に、大半の機能を失っている様だ……今出来るのは、そな
 た達と、こうして話が出来るのが限度と言うところだろう…。」

 すると、先生は口火を切った様に、見守りし者に尋ねた。

 「なら……教えてくれんか?……此処に一体何があるのか……。」

 先生は、静かに……だが、力強い口調で……何かを……真実を聞きたがって
いた。
 そう尋ねる先生へ、見守りし者は、静かに答えた……。

 「……それは…経緯を語らねばなるまい……そう……そなた達から見れば遥
 か昔……私にとっては……つい昨日のこと……」

******************************

    遥か昔……

    ここには、ある王国がありました……

    平和な王国に……

    やがて、終焉の時が迫りました……

    厄災が迫っていたのです……

    王は、国の者達に命じて、厄災を防ぐ様に努めました……

    ですが、厄災を防ぐことは出来ませんでした……

    しかし、王は……

    このまま国が滅ぶのを……

    どうしても防ぎたいと思っていました……

    そして、王は、ある決意をしました……

    王は、娘に言いました……

    『おまえが居れば、王国は又復興できるのだ。』と……

    娘は、何も言えませんでした……

    王は、娘の体を「器」に封印するよう命じました……

    こうして、娘は長い眠りについたのです……

    そして……王国は滅んでしまいました……

    いつか、復興を夢見て……

******************************

 娘は、何故なにも言わなかったのだろうか……まぁ、遥か昔の慣習など、私
には分からない。
 ただ……娘は、過酷に運命を背負ったまま、眠りについたに違いない…それ
だけは、私にも分かったような気がした。

 「まるで…繭の様だな……」

 先生は、神殿の中央にある楕円形の球体を見ながら呟いた。
 先生は一体何を感じただろうか……

 「先生……一体どうします?この状況を……」
 「……」

 先生は、時々頑固なところがある……私は、ふと思い出した。
 おそらく、先生は、今の話を聞いても考えを変える気は無いと思う……。

 「で…どうやれば封印は解けるのかな?」
 「封印は……直ぐには解けない……今の私に、その力が無いからだ…」

 見守りし者は、表情を変えず、淡々と語りつづける。

 「先生! 封印を解くつもりですか?」
 「私は、元々そのつもりで来たのだよ。伊佐見君……」

 先生は、私を一瞥してから、もう一度、見守りし者へ聞いてみる。

 「……直ぐ解けないと言うなら、どうすればいいかね?」
 「封印は、直ぐには解けないが『器』は活動することが出来るはずだ。」
 「『器』が活動?」
 「そうだ……『器』を活動させることが、封印を解く手助けとなる様になっ
 てる。」
 「ふむ…なら、直ぐ活動できる様にしてくれんかね?」
 「それなら、お安い御用だ。」

 そういうと、見守りし者は、中央の楕円形の球体に歩み寄っていく…。
 そして、球体に触れると……突然、その球体が光を発した…。
 かと、思うと、その球体を構成していた繊維状のものが解けてゆき……その
中には「少女」が横たわっていた……。
 私は、驚きの連続だった…。超古代文明の遺産……それが「少女」だったと
は…。

 「直ぐには、目覚めることが出来ないが……まぁ、それほど時間はかからな
 いだろう。」

 すると、突然、神殿の入り口の方で、何やら物音がした……。

 「ん?…なんでしょう?」
 「多分、三木君たちが、私達の帰りが遅いのを見て、迎えに来たに違い
 ない…。」

 しかし、それは間違いだと言うことが判明した…。
 その時、見守りし者の表情が始めて変わったのだ……何やら、神妙な面持ち
だった…。

 「…しまった…うかつだった…」
 「どうかしたのか?」
 「ガーディアン達が、活動を再開してしまう……」
 「ガーディアン?」

 私は、一瞬意味がわからなかったが…しかし、直ぐに気づいた……そう、神
殿の入り口にあった多数の石像……それら全てがガーディアンだったのだ…。

 「ガーディアンか……それは厄介だな……」
 「ええ……って落ち着いてる場合じゃないでしょう?」
 「そうだな……」

 しかし、先生は少しも動じていない。

 「…して、見守りし者よ、ガーディアンを止める方法は無いのかな?」

 おおっ、そうだった。見守りし者は、この神殿の管理している……なら、止
める方法も知っているはずなのだ。
 だから、先生は落ち着いているのか……流石は先生、こういうのを「年の功」
と言うのだろう。

 「…無い。」

 その希望は、直ぐに絶望に変わった……。

 「今の私には、直接止める方法が無いのだ……。」

 私は、考えに考えて見た…。

 「…あ、何も止めなくても、今のうちに逃げ出せれば……。」
 「ガーディアンが、遺跡の外へ出てしまったらどうするのかね?」

 間髪入れずに、先生の突っ込みが入る……、ちょっと考えが浅はかだな…
私は…。

 「直接止める方法が無いというなら、間接的に止める方法は無いのかな?」
 「無いことも無い……が……」
 「が、何かね?」
 「……この神殿自体を、倒壊させなければならないことになる。」
 「この神殿を破壊すると言うのか?」
 「そういうことだ…。」

 しかし……私達にそれだけの力は無い……もっともあるくらいなら、ガーデ
ィアンと戦っているはずだが。
 …ちょっと待て…その方法も無理と言うのか?

 「神殿自体を倒壊させるのは、それほど困難ではない。私の居た場所にある
 仕掛けを動かせば良いだけだ。だが……」
 「だが?」
 「動かすと同時に、神殿は瞬時に崩れ去る……逃げている暇は無いな…。」
 「ふむ……そういうことか……なら……」

 先生は、そう言うとゆっくり歩き出し、そして……振り返って、私に言っ
た…。

 「伊佐見君……私は、決めたぞ。」
 「な、何をですか?……ま、まさか…。」

 私は、瞬時に先生の考えいてたことが分かった……。

 「伊佐見君……見守りし者と、その少女を連れて、直ぐ遺跡を脱出するのだ。」
 「しょ、正気ですか先生!?」
 「ああ、私は正気だよ、伊佐見君」

 そう、先生は、自分を犠牲にして、ガーディアンを食い止めるつもりだった。

 「先生!!やめてください!!」
 「何を言っとる、考える時間などあまり無いぞ。」
 「で、ですが……」
 「見守りし者よ、ガーディアン達が動き出すまで、どれくらいかかるかな?」
 「直ぐと言うほどではない……が、それほど時間はかからないだろう。」
 「そうか……なら、今のうちに逃げ出した方が良いぞ、伊佐見君。」
 「しかし、先生を見捨てるなんて、私には出来ません。」
 「何を言っとるかっ!!」

 先生は、弱気な私に向かって、一喝した。私は、これだけ怒った先生を始め
て見た……そして、もう二度と見ることのないことだと悟った……。

 「私は……実は、もう長くないのだよ……。」

 もの凄い剣幕だったかと思った後、直ぐに俯き加減で、私に淡々と言った。

 「長くは…無い?…」
 「ああ……実は、去年暮れに風邪を引いて…医者に行った時……」

 先生は、癌だった……それも、末期だと言う……医者には、長くて、半年だ
と言われていたそうだ。
 しかし、先生は、そんなことをおくびにも出さないで、発掘作業を続けてい
たのだ…。
 最近、妙に痩せていたのは、疲労の為ではなかったのだ……私は、何も言え
ず、ただ先生の言葉を聞くしか出来なかった……そう、最後の言葉を……。

 「……あ、そうそう……それと…」
 「なんですか?」
 「少女が目覚めたら、伝えておいてくれ……」

 先生は、もう一度、私に振り返って言った。

 「『賢治は、約束を守ったよ』とな……。」

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 『賢治君…』

 『…え?何?』

 『もし…もしだよ…私が『助けて欲しい』と言ったら、助けてくれる?』

 『え…あ、ああ、もちろんだよ。ボクで出来ることなら、なんでもするよ。』

 『本当に?』

 『もちろんさ。』

 『約束だよ。』

 『うん。約束するよ。』

 そう言うと、少年は小指を差し出してみる。少女は意味が分からずに、ただ、
少年の小指をじっと見ていた。

 『指切りげんまんだよ。知らないの?』

 と言って、少年は少女の手を取り、小指を絡ませる。

 『ゆーびきりげーんまーん、うーそついたーら、はりせんぼーんのーーます。
 ゆーび切ったっ!』

 そう少年が言うと、少女は嬉しそうな顔をして「約束だよ」と、もう一度少
年に言った。

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 「約束は守ったよ……でも、私が居ないと知ったら、怒るかな……。」

 私は、先生の最後の伝言を聞くと、神殿を脱出する準備を始めた。

 「伊佐見君……元気でな。」
 「先生も……って、ちょっとおかしいですかね。」
 「ふふふ…そうだな。」

 私には、もう躊躇いも戸惑いも無かった……先生が望むこと……それが達成
出来たのだから……。
 それに、先生の最後が、笑顔だったことがなによりだった……。
 そして……私達は、神殿を後にした……。

                         つづく
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球形弐型こと「伊沢英人」

メール BallMk-2@trpg.net

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5月のつぶやき

「自己完結は、その時点で既に、思考が止まっているとも言える」
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