[KATARIBE 19092] [ HA06N ] [Novel]  『 11 年目の真実』最終章前編再編集版

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Date: Sat, 20 May 2000 17:28:08 +0900
From: "球形弐型" <BallMk-2@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 19092] [ HA06N ] [Novel]  『 11 年目の真実』最終章前編再編集版
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[HA06][Novel] 『11年目の真実』
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最終章 『11年目の真実』前編
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昭和63年 5月30日…

 「誰か、懐中電灯を持ってきてくれ…。」
 「先生っ!調査の無しに、いきなり入るのは不味いですよ。」
 「うむ……しかし…。」
 「はやる気持ちは分かりますが……今日は、もう時間が時間ですし…。」

 その時、時刻は、既に4時を回っていた。私は、このまま調査を続けると夜
になってしまうと思い、はやる木原先生を宥めた。

 「それに……穴の中には、幾分か土砂が入ってるようです。ですから、その
 除去をしてからでも遅くはないですよ。」
 「そうだな…では、今日の作業は此処までとして、明日、此処の調査をする
 ことにしようか。」

 そして、今日の調査は終わった。だが、今日の収穫は、これまでにないもの
であったことは言うまでもない。そう、とうとう「加由羅」にたどり着いたの
だ。

―――その夜

 私たちは、宿舎に戻り、今日の作業の経過と明日の作業の打ち合わせをして
いた。

 「先生……あの穴は、一体何の穴なんでしょうか?」
 「そうだな……多分、縄文期に儀式か何かで使われた洞窟かもしれん。」

 私には分かっていた…先生がそんな物に使われた代物では無いと考えている
ことを…。
 だが、あえて私は口を挟まなかった。

 「……そうですなぁ……では、明日はあの穴の土砂の除去と、近辺の地盤調
 査、それに引き続き、他の出土品の整理……と言う感じでいいですか?」
 「よろしい。では、みなさん、明日も頼みますよ。」

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 その夜、私は、興奮して眠れなかった。
 流石に、目指していた目的の加由羅の痕跡が、とうとう目の前に現れたのだ。
 これぞ、考古学の極みだなと思う私であった。
 そして、用を足しに起き上がり、トイレへと向かう途中。

 「……おや?……先生?……」

 廊下の窓から、外を眺めている先生を見かけた。
 窓は、月明かりに照らされている。

 「伊佐見君かね……君も眠れないのか?」
 「ええ……やっぱり先生も?」
 「ああ……とうとう見つけたからな……」
 「そうですね……いよいよですね……」

 私は、先生の横に立ち、一緒に外を見る。
 月明かりの照らされた、宿舎の裏庭。
 今日の月は、一段と綺麗に見える。

 「先生……少女は、一体、何を助けて欲しいのでしょうか?」

 私は、はやる気持ちを抑えられず、先生に聞く。
 もっとも、その答えは、あの『加由羅』に眠っているのだ。
 その為の遺跡発掘とも言える。

 「そうだな……今はまだ分からないが……きっと、あの加由羅を発掘すれば
 必ず、少女を助けることになるはずだ。」
 「そうですね……助けましょう。絶対。」
 「ああ……伊佐見君……明日もよろしく頼むよ。」

 そして、私と先生は、寝床につき、朝まで眠りについたのだった。

******************************

昭和63年 5月31日…

 翌日は、あの穴の土砂除去から始まった。先生は、その穴のそばで、そわそ
わしていて妙に落ち着きがない。

 「先生…そんなに、そわそわしなくても、『加由羅』は逃げませんよ。」
 「ん?…うーむ…。」

 先生は、何処か上の空と言う感じだ。私の声など耳に届いているかどうか分
かったものじゃない。
 と言う私も、実は期待に胸を躍らせているのだ。なんと言っても、日本にも、
かなり高度な文明があったと言う証拠が眠っているかもしれないのだから。
 しかし。その真実を知っているのは、私は先生だけだ…。
 そう今回の発掘は、あくまで、縄文期の遺跡の発掘なのだから。

 暫くして、穴の土砂の除去は大体終わった様だ。

 「ごくっ……いよいよですね、先生。」
 「ああ…いよいよだよ、伊佐見君。」

 私たちは、ついに『加由羅』の扉を開けたのだった。
 中は暗い…当然と言えば当然だ。その中に、私たちは慎重に入っていった。
 遺跡の中は、幾つかの分かれ道になっていた。さながら迷路と言ったところ
だろう。
 こういう遺跡の類には、良くあることだ。

 「先生…どうしましょう……かなり奥は深い様ですが…。」
 「そうだな……別れて調査してみよう。」

 私たちは、3班に別れ、それぞれ調査することになった。
 まず、私と先生に更に一人、そして、三木君とその他2人、後は残りのメン
バーと言う構成となった。

 「三木君達は……そうだな、こっちの調査をしてくれ。君たちは、そっちの
 調査を…私たちは、この道の調査をしてみる。」
 「分かりました……しかし、別れて調査して大丈夫でしょうか?」
 「まぁ、あまり深追いはしない様にな。危険を感じたら、直ぐに外へ出てく
 れ。」

 3班は、それぞれ別れた。

 「……先生……先生の目指すものは、この先にあるんでしょうか?」
 「……さあな……しかし……呼んでいるんだよ……。」

 呼んでいる?……私は、耳を澄ましてみた…しかし、何かが呼んでいる様な
声はしない。
 と言うか、聞こえないのは当たり前だ。誰も立ち入ってない遺跡から、声が
聞こえたらそりゃ大変な騒ぎだろう。その時、きょとんとした私に、先生はこ
う言った。

 「いや…呼んでいるよ……あの少女がな……。」

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 それから、数十分奥へと進んだ…、意外に奥は深い様だ。

 「先生……意外に深い様ですね。」
 「うむ……む?…伊佐見君、見たまえ。」

 木原先生の視線の先には、壁が見えた……行き止まりの様にも感じる…。

 「あら?行き止まりですかね?」

 そこは、何か扉の様にも感じたが……これと言って、殺風景にも見える……
ただ、行き止まりの左右に、なにやら模様の書いてある岩があるだけだ。

 「うーむ……。」

 先生は、その近辺を色々調べている。すると…

 「伊佐見君……今何時かね?」
 「え?…えっと、今、昼過ぎですが。」
 「そうか、なら一旦戻るか……あー、そこの君。」

 先生は、私たちの同行している、発掘調査の一員に声をかける。

 「先に行って、他の連中に昼食を取る様に言っておいてくれ。私たちは、も
 う少し調べてから戻るから。」

 そう言い、一員を戻らせる。うむ、意外に先生は冷静の様だ。この発掘調査
が行われた時大層、張り切っていた。さっきだって、妙に落ち着きがなかった。
 だから、私は少々不安だったのだ。

 「さて、伊佐見君……私は、ここが遺跡の本当の扉だと思うが……どう思う
 かね?」
 「そうですなぁ…私もそう思います。」
 「なら……この先、どうやって進むのだろう?」
 「うーむ……そうですなぁ…。」

 私は、周囲をもう一度良く見回して見る……。

 「多分、あの模様の書かれた岩が、何らかのカギになっていると思いま
 すが……。」

 と言って、私はその岩の前に立った。

 「こういう類のものは……大抵…動く様に……なってる………ものです
 よ…。」

 そう言いながら、私は、岩が動くのではないかと無理やり動かそうとする。
 すると、岩が崩れてしまった…。

 「あ……。」
 「…伊佐見君……壊さんでくれよ…。」
 「すいません…。」

 しかし、その時、何もない壁だったところに亀裂が入り……そして、中に入
れるほどの隙間が出来たのだった…。いわゆる「結果オーライ」と言う奴だな。
 いよいよ、本当の遺跡へと入って行く、私たちだった。

                         つづく
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球形弐型こと「伊沢英人」

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5月のつぶやき

「自己完結は、その時点で既に、思考が止まっているとも言える」
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