[KATARIBE 19090] [ HA06N ] [Novel]  『 11 年目の真実』第四章再編集版

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Date: Sat, 20 May 2000 17:27:46 +0900
From: "球形弐型" <BallMk-2@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 19090] [ HA06N ] [Novel]  『 11 年目の真実』第四章再編集版
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[HA06][Novel] 『11年目の真実』
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第四章 『加由羅』
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昭和62年 夏…

 吹利県吹利市…
 既に区画整理もある程度落ち着き、次第に新しい吹利へと変貌していく…。
 しかし、私の悶々とした日々に終わりはなかった。
 あれから、更に1年半の年月が過ぎた…だが、『加由羅』はまだ発見してい
ない。
 それと言うのも、『加由羅』についての調査がほとんど出来ないせいだった。
 それは、伊吹山が公園工事に伴って一部関係者以外立入禁止になってるせい
だ。
 だが、それ以上に個人での遺跡調査には限界があるのだ。
 まさか、スコップ片手に、掘り探すことも出来ない…。
 かと言って、この話を学会が承認するはずも無いのだった。

 「約束は……果たせぬかもしれんよ…。」

 私は、誰も居ない虚空へと呟く……。
 そう、私には時間があまり残されていないのだった…。
 なんと言っても、私は今年53歳になる…。他人には「若い、若い」と言わ
れるが、私の体力も、かなり衰えがきている。
 若い頃が懐かしい……何故もっと早く気づかなかったのか…。
 私は、悔しさがこみ上げてくる。後、10年早ければ、もっと活発に活動出
来るはずなのに…。

 そんな折りに、私は教え子に出会った。名を「新見隆康」と言う。
 その教え子は、元々京都の生まれだと言っていた。大学卒業後、地元に戻り
地質調査の仕事をしてるらしい。

 「先生、お久しぶり。」
 「おぉ、新見君か。いや、懐かしいねぇ。」
 「先生にこんなところで会えるなんて、思ってもいませんでしたよ。」
 「そう言う君こそ、こんなところで何をしているんだね?」
 「吹利の地質調査ですよ。最近、宅地開発や区画整理なんかで、地盤の調査
 をしないといけないんですが、人でが足りないと言うんで、わざわざ、京都
 の業者も参入してるんですよ。」
 「なるほど、君も大変だねぇ。」
 「いやいや……あ、そう言う先生は、ここで何してるんです?」
 「まぁ、里帰りがてらに、吹利の遺跡の調査をな。」
 「へぇ…で、どの辺りの調査をしてるんですか?」
 「伊吹山の辺りなんだが…。」
 「ほぅ…奇遇ですねぇ、ボクもその伊吹山の地質調査に来たんですよ。」
 「ほほう、そうかね。」

 私は、久しぶりに会った新見と学生時代の話に華を咲かせる。
 そこで、私はふと新見に遺跡の話をしてみた。

 「うーん……伊吹山に遺跡が眠ってるんですかぁ…。」

 どうも新見は、きな臭く感じている様だ。まぁ、どだい無理な話だとは思っ
てる。

 「……じゃあ、先生も地質調査の一員として、参加してみます?」
 「ああ、よろしく頼むよ。…仮に何もないと出たなら、それはそれでいいと
 言うわけだから。」
 「しかし…先生も、随分と思い入れがある様ですね。」
 「ああ、私の考古学者人生の全てを賭けたいと思っているんでね。」
 「へぇ…そこまでに……なら協力しない訳にはいかないですねぇ。」

 新見は、軽く笑って了承してくれた。

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 数日後。
 私は、伊吹山周辺の地質調査の一員として携わっていた。
 そもそも、この調査とは、伊吹山近くに「伊吹公園」を作ると言う関連工事
らしい。
 まぁ、ある意味私の仕事とは、筋違いな部分も多いものだ。
 最近の地質調査は、何やら色々な機械を使って行うらしい。昔の様に、土を
掘って土の質や度合いなどを調査するわけでは無いようだ。
 それから、数日の間、私は地質調査の一員として携わったが……これと言っ
て何も無い日々が続いた。

 「うーん……これと言って、変化は無いですねぇ…。」

 新見は、機械のモニターを見ながら、私に呟いていた。

 「そうか……。」

 私は、「又か…」と言わんばかりの、ため息混じりの言葉を吐き出す…。

 「うーむ…ここにも無いと言うことか…。」
 「そうですねぇ…しかし、まだ後何点か、調べる場所はありますけど…。」
 「もう良いよ…これ以上は君の仕事に支障をきたすだろうから…。」

 私は、又振り出しに戻ってしまった…。
 仕方がない…又明日から、山積みになった文献を調べよう…、私は、脱力感
に苛まれながら、次の調査のことを考えていた。

 「あの〜……。」

 その時、一人の男が、私たちを呼び止めた。

 「はい、なんでしょうか?」
 「どうも、ご苦労様です。私は、今向こうで地盤工事に携わっている現場監
 督なんですが…。」

 男は、そう言うと、私たちに一つの「石」を見せた。

 「いや、丁度、地面を掘り起こしてたら、何かこんな物が出てきましてね。
 あの辺りは、この間、別の業者が地質調査した時は、何も無いと言ってたん
 ですが。……何やら、石と言うよりは、土器とかそう言う類ものの様な感じ
 がしたんで……それで、丁度こちらに、考古学者さんが来ていると言うので、
 ちょっと見て貰おうかと思って、持ってきたんですよ。」

 私は、男に言われた様に、その「石」を見つめた。
 ふむ、確かに自然に出来たものでは無いことは、私が見ても分かった。

 「そうですなぁ…確かに土器の様な物みたいですな。」
 「先生……もしかして、先生の探している『加由羅』に、何か関わっている
 物なんですかねぇ?」

 私は、ハッと気づいた。そう、もしかしたらそうかもしれん。

 「で、これはどの辺りで、見つけたものなのですか?」
 「こっちですよ、ちょっと来てくれますか?」

 私は、その男の案内されるがままに、現場へと行ってみることとなった。

******************************

 「せ、先生!これは!?……」

 新見が、私に一つの「かけら」を拾って見せた。
 その「かけら」は、さっき男が持って来たものに似ている。しかも、その
「かけら」がそこら中から、掘り起こされていたのだった。

 「……こ、この模様は!?」

 私は全身で震えていることを感じた。そう、私が「少女」から貰ったあの
「かけら」と同じ模様が書いてある物まであるのだ。
 私は感激に涙した…。
 とうとう、あの少女との約束が果たせる…、そう実感していた。
 その後…この現場の徹底調査が行われた。
 そして、ついに『加由羅遺跡』の痕跡を発見したのだった。
 私は、慌てて、伊吹山を降りていく。そう、全てはこれからなのだ。

                       つづく
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球形弐型こと「伊沢英人」

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5月のつぶやき

「自己完結は、その時点で既に、思考が止まっているとも言える」
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