[KATARIBE 19086] [ HA06N ] [Novel]  『 11 年目の真実』序章再編集版

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Sat, 20 May 2000 17:20:01 +0900
From: "球形弐型" <BallMk-2@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 19086] [ HA06N ] [Novel]  『 11 年目の真実』序章再編集版
To: "ML" <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <007b01bfc235$008da000$5b099dd2@computer>
X-Mail-Count: 19086

ども、球形弐型です。

さて、小説11年目の真実の再編集版が出来上がりましたので
MLに流します。

加筆修正文もありますのでよろしく〜。

======================================================================
[HA06N][Novel] 『11年目の真実』
======================================================================
序章 『少年の頃の日々』
=======================

昭和19年 夏…

 それは、蝉の嘶く、暑い夏の日のことだった。
 少年はいつものよう、山へ遊びに行っていた。
 この所、少年は毎日の様に山へ遊びに行っている。

 別に、山が大好きな訳ではない。
 夏なのだから、海にも行きたいし、川で遊んでもいいだろう。
 しかし、少年は山へ毎日の様に遊びに行くのだった。
 そう…伊吹山へと…。

 「今日も、会えるかなぁ…」

 少年は、ぽつりと呟く…。どうやら、何かに会いたがっている様だ。
 しかし、こんな山奥で、誰に会えると言うのだろう…。
 でも、少年は会いたがっている。
 少年が、山に遊びに行く様になって、もう、数ヶ月が経つ。

 伊吹山は、本来霊山として祭られている場所なのだ。
 だから、少年が一人で行くには、比較的危険な場所でもある。
 その様な場所なのだから、大人達が一人で行くのを許してくれるはずも無い
のだが、でも、少年は大人達に黙って、あくまで一人で行くことに決めている
のだった。

 「…うーん…今日は来ないかなぁ…」

 少年は、息せき切って、山を歩き進む…。
 暫くして、山の頂に到着した少年は、周りを見渡す。
 伊吹山の頂には、何かを祭っているモノがあるが、少年にはそんなものに
 興味は無かった。

 「…あ、居た…」

 少年は、人の姿を見つけた。
 その人は、腰の下まで伸びた黒い髪と、美しい容姿、そして異国の着物を
着ていた。

 「…こんにちは」

 少女は、少年に軽く会釈をし挨拶する。

 「あ、こ、こんにちは…」

******************************

 「君は、何時もここに居るんだねぇ…」

 少年は、何度この言葉を繰り返したことか…。
 しかし、少女はその問いに対してだけは、決して答えてはくれなかった。

 「今日は、どうしたの?」
 「え?…い、いや、その…君がどうしてるかなぁって気になって…」

 少年は、少女の顔を見つめられなくなって、顔を赤くし目を逸らす。

 「…そう…」

 少年は、疑問思うことがある。少女は一体何故、何時もここに居るのだろう。
 少年は他愛のない話しをしつつ、少女に聞いてみるのだが、はやり、その問
いに答えてはくれない。
 そう言う日々が、数ヶ月と続いている。ただ、その他の話には、ちゃんと反
応してはくれる。…と言っても、ただ、少年の話に微笑んでくれるだけだが。

 「やっぱり、お父さんとかが、戦争に行ってまだ帰って来ないから、ここで、
 見守ってるとか…なの…かな?」
 「……」

 少女は俯いたまま、答えなかった。

 「…ご、ごめん。気に障ったかなぁ…も、もう、そんな話しないよ…」

 その時、少女が何かを決心したかのように、口を開く。

 「……あのね」
 「…何?」
 「私……ここから、離れられないの…」

 少女は、始めてその問いに答えてくれた。しかし、少年には、全く意味が分
からない。
 「ここから、離れられない?」その一言に、少年は返す言葉が見つからない。

 「…えっと、えっと…(ぽりぽりと頭を掻く)」
 「…だから、いつもここに居るのよ。」
 「…もしかして、帰り道が分からないとか?」
 「そうじゃないよ…だって、ここが私の家だから…。」
 「そうなの?…で、でも…」

 どう考えたって、ここに住んでるとは言えないだろう…。畑があるわけでも
ないし、近くにお店がある訳でもない…ましてや、「家」と言える様なものす
らない。
 少年は、答えを見いだすことは出来なかった。
 しばしの沈黙が続き、少女が話を切り出す。

 「賢治君…」
 「…え?何?」
 「もし…もしだよ…私が『助けて欲しい』と言ったら、助けてくれる?」
 「え…あ、ああ、もちろんだよ。ボクで出来ることなら、なんでもするよ。」
 「本当に?」
 「もちろんさ。」
 「約束だよ。」
 「うん。約束するよ。」

 そう言うと、少年は小指を差し出してみる。少女は意味が分からずに、ただ、
少年の小指をじっと見ていた。

 「指切りげんまんだよ。知らないの?」

 と言って、少年は少女の手を取り、小指を絡ませる。

 「ゆーびきりげーんまーん、うーそついたーら、はりせんぼーんのーーます。
 ゆーび切ったっ!」

 そう少年が言うと、少女は嬉しそうな顔をして「約束だよ」と、もう一度少
年に言った。

 日が暮れ、そろそろ少年が帰ろうとした時、少女は最後に…。

 「また会おうね。」

 少女は、始めて少年に対して、その言葉を言った。少年は、ちょっと照れな
がら。

 「う、うん。また明日ね。」

 少年は、そう言って少女と別れた。

 次の日、少年はいつものよう、山へ遊びに行っていた。
 そして、何時もの様に伊吹山の頂へと到着する…。
 しかし、少女の姿は、そこには無かった。

 次の日も、その又次の日も少年は、伊吹山の頂へと行くが、少女に会うこと
は二度と無かった。

******************************

―――――若き日の思い出

 そう、忘れてはならない約束…

昭和59年 春

 木原教授は、机の上で目覚めた。
 昨日から、研究室に隠って、去年調査した遺跡のレポートを書いていた。

 「うーむ、眠ってしまったのか…おっと、まだレポート書いていなかっ
 たな。」

 眠い目を擦りながら、遠くを見つめる。

 「…しかし…ずいぶんと昔の夢を見たものだ…。」

 教授の見た夢。それは、幼い頃に出会った少女のこと。
 そして、それが、これからの人生に、大きな影響を与えるとは、この時気づ
くことはなかった。

                              つづく
======================================================================


------------------------------------------------------------

球形弐型こと「伊沢英人」

メール BallMk-2@trpg.net

<ひでSWANの暇つぶしに出来たHP>
http://www.interq.or.jp/www1/hi-izawa/index.htm

雑談所    :
http://www.tsm.gr.jp/cgi/pt.cgi?room=3658
TRPG掲示板:
http://hyper4.amuser-net.ne.jp/~auto/b13/usr/me111703/brd1/bbs.cgi

******************************
  IRCサーバ「sv.trpg.net」 チャンネル「#スパロボRPG」に
  おいて、オンラインセッション用スパロボRPGルール作成中!
******************************

5月のつぶやき

「自己完結は、その時点で既に、思考が止まっているとも言える」
------------------------------------------------------------



    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage