[KATARIBE 18932] [HA06P] 『とある日の実験科』

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Tue, 09 May 2000 20:13:06 +0900
From: 銀佳 <ginka@mutt.freemail.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 18932] [HA06P] 『とある日の実験科』
To: 語り部ML <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <20000509111352.2610.qmail@mutt.freemail.ne.jp>
X-Mail-Count: 18932

 銀佳@逃避力は利用しよう です。
 新規EP♪

 皆々様、紹介文に訂正などお願いします。


**********************************************************************
エピソード『とある日の実験科』
==============================
登場人物
--------
 雪丘望(ゆきおか・のぞむ):
 白月悠(しらつき・はるか):
     :吹利学校高等部の二年生。心配性。
 水瀬璃慧(みなせ・あきえ):
     :言霊使いの高校生。最近どうも、体調不良。
 火撫楓(ひなず・かえで):
 琴羽愛(ことは・あい):


時間と勝負
----------
 体育の時間、マット運動を終わらせて。

 悠      :「どする、璃慧のとこ、行ってみる?」

 この直前の休み時間に『う〜〜っ、保健室行ってくる〜〜』と言って保健室
のほうへと消えた璃慧。体育の時間に現れなかったことを考えるに、そのまま
寝ているのだろう。

 望      :「う〜ん、時間があぶないけど……ちょっとくらい様子見
        :てった方がいいかなぁ」
 悠      :「じゃ、急ごっ」

 急いで、体育館から校舎に戻る。目指すは一階東側、保健室。
 と。

 ??     :「うわ」
 悠      :「あっ、ごめんなさいっ」

 昇降口から飛び込んだところで、危うく誰かとぶつかりそうになる。

 楓      :「びっくりした……」(ぼ〜っ)
 望      :「きゅ?」
 悠      :「……て、火撫先輩かぁ」
 望      :「……ああ」(ぽむ)


短期的記憶喪失
--------------
 なんとなく『心ここにあらず』状態の楓。

 楓      :「あれぇ……変だなぁ……」
 悠      :「……どうしました?」
 楓      :「いや……」
 望      :「ほえ?」
 楓      :「……あれ、ここって一階?」
 望      :「!!」

 絶句。

 楓      :「あれぇ……何しに来たんだろ……」
 悠      :「……(^^;;;」
 望      :「あう」
 楓      :「ほんとに、なんでかなぁ」
 望      :「(^^;;;;;」
 悠      :「……とりあえず、ちょっと急ぐのでっ」

 なんだか悩んでいる楓を放っておいて、当初の目的通り、保健室へ。


保健室にて
----------
 悠      :(そっと保健室のドアを開ける)「あの……」
 琴羽     :「あ、どうしました?」
 望      :「きゅ……と」(中を覗き込む)
 悠      :「璃……えと、水瀬さん、大丈夫でしょうか?」

 苗字を呼んだのは、ずいぶん久しぶりのような感覚。

 琴羽     :「ああ……けっこう、辛そうだけど……」(と言って奥へ)
 保健委員   :(二人に)「あ、ちょっと待っててね」

 半開きにした保健室のドアから、なかば身を乗り出すようにして中を覗く望
と悠。
 廊下側から見たら、けっこう面白い光景かもしれない。二人とも、まだ体育
のジャージのままだし。

 琴羽     :「大丈夫、水瀬さん?」
 璃慧     :「ええ……」
 琴羽     :「今、どんな感じ?」
 璃慧     :「う〜ん……」

 カーテンで仕切られた、ベッドの並んでいる空間。琴羽先生の消えたあたり
から、話し声が途切れ途切れに聞こえてくる。
 璃慧が身を起こしたらしい、微かな衣擦れの音もした。

 望      :「ま、だいじょうぶかなぁ?」
 悠      :「そだね」
 楓      :「う〜〜」
 望&悠    :「!!」(びっくり)


急げっ
------
 どうやら、まだ一階を彷徨っていたらしい楓。

 悠      :「……」
 楓      :「ほんとに何しに来たんだろう」
 望      :「あう(^^;;;」
 悠      :「次の時間、英語2だけどいいの?(汗)」
 楓      :「あ」(ぽむ)
 望      :「??」
 楓      :「体育から帰ってきて、教室戻ろうとしたら階段昇り過ぎ
        :て上まで行っちゃって、で教室に戻ろうとしたら、今度は
        :降り過ぎちゃったんだ」

 沈黙。

 悠      :「早く教室まで戻ってねっ……て……」

 楓の服装と自分たちの服装を見比べて、悠は再度絶句。
 楓はごく普通の私服。望と悠は、未だにジャージにTシャツといういでたち。
 時計を見ると、チャイムが鳴るまで、あと二分強。

 望      :「やば」
 悠      :「着替えないとねえ……」

 再度保健室を覗くと。多少危なっかしい足取りではあったものの、璃慧がベ
ッドから起き上がって、こっちに歩いてきているところだった。

 望      :「次の時間から来るのかな? どっちにしろもう平気だね」
 悠      :「うん……じゃあ先生、とりあえず無事を確認したので失
        :礼しますっ」
 琴羽     :「あ、はい、遅刻しないようにね」

 ドアを閉めて。くるりと向き直ると、もう楓の姿はない。
 時計は、無情にもあと一分半ほどと告げている。

 悠      :「じゃあ、ね」
 望      :「うん、せ〜の」
 悠&望    :「急げ〜〜っ!」

 更衣室までダッシュ。

 ……けっきょくこのあと、次の時間の英語教師(=担任)を捕まえ、「体育
が長引いたんですっ」と言ってくれた人がいた模様で。
 誰も遅刻扱いされることなく、授業に臨めたのだった。


時系列
------
 2000年5月の初めころ。

解説
----
 とある日の実験科。
 保健室で寝こむ人がいれば、短期記憶喪失を患う方もいらっしゃいます。

$$
**********************************************************************


 ではではっ


------------
銀佳
ginka@mutt.freemail.ne.jp
http://www.geocities.co.jp/Bookend/4229/
    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage