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Date: Sun, 07 May 2000 00:05:12 +0900
From: 銀佳 <ginka@mutt.freemail.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 18861] Re: [HA06P] 『れっつ ふぁらんどーるっ☆』
To: kataribe-ml@trpg.net
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銀佳@ふぁらんどーる本編終わり です。
とりあえず、流れている分はこれで終わりです。
(自分が書いた分、意図的に削除してますけど(笑))
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ボロ布とチーズで作れます
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二時半、会場裏楽屋。
璃慧 :「ふうっ」
璃慧は、軽く練習をしたあと、しばし小休止を取っていた。
直前と言うこともあり、皆思い思いの行動をとっている。
楽譜を見て頭を抱えたり、璃慧のように直前に練習をしたり、
周りの者と雑談をしたり、楽器を磨いていたり、
椅子に座って休んでいたり、こちらに向かって手を振ったり……あれ?
璃慧 :「……え?」
璃慧は目を凝らした。
オケラ部員の中に混じって、こちらに手を振っている人影が居るのだ。
壁によりかかり、休んでいるようだ。
トレーナーとジーンズ、肩からかけたスポーツバッグ。
真ん中で軽く分けた黒髪、何となくこちらを小馬鹿にしたような目つき……。
璃慧 :「………………」
璃慧は黙って立ち上がると、その人影の所につかつかと歩み寄った。
全く、何でこんな所に……
璃慧 :「兼沢くんっ!」
圭人 :「おお、気づいた気づいた」
璃慧 :「何が、気づいた気づいた、だよっ。
:なんでこんなところにいるのっ!」
圭人 :「いや、何となく近くまで来たから、
:冷やかしに来てやっただけだが」
璃慧 :「……(じとーっ)」
圭人 :「どした?」
璃慧 :「……お前って、ボロ布とチーズを瓶に詰めたら、
:生まれてくるのか?」
圭人 :「………俺はネズミか?
:だいたい、自然発生説はずいぶん前につぶれたろうが」
悪態に馬鹿正直に受け答えするない(笑)
璃慧 :「ったく……。
:ほら、さっさと出た出た」(入り口の方に追い立てる)
圭人 :「つれねえなあ。ま、後でまた来てやるけど」
璃慧 :「……チケット持ってない人は
:入れないんだけどなあ(邪笑)」
圭人 :(黙って半券を見せる)
璃慧 :「……」
圭人 :「他にも何人か来てっから、後で紹介してやるよ」
璃慧 :「……誰をよ」
圭人 :「俺ら以外の能力者」
璃慧 :「……!!」
圭人 :「ま、うちのがっこの奴と、弟だけどな。それじゃ」
璃慧 :「…………」
圭人 :「(振り返る)あ、そうそう」
璃慧 :「……何?」
圭人 :「気持ちよく寝れるような曲にしてくれよ」
璃慧 :「うるさいっ!(げしっ)」
黒のロングスカートがひらひらと揺れて。
正装だろうがお構いなしに反射的に動く足。
何もこんなところでまで漫才をおっぱじめなくてもいいと思うのだが(苦笑)
璃慧 :「(あははっ)」
でも。ちょっとだけ、緊張がほぐれた……かもしれない。
璃慧 :「いいからさっさと出てくっ!」
圭人は、脱兎のごとく逃げ出した。
葉月の面々、揃いも揃う
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楽屋の方から、圭人と、もう一人の少年が歩いてくる。
圭人の相棒、滝川健一である。
圭人 :「(ぶつぶつ)ったく……、蹴らなくてもいいじゃねえか」
健一 :「修羅場に入るおまえが悪いと思うがなあ。
:しかし、あの子たちが……」
圭人 :「…………」
健一 :「おまえの命の恩人ってわけか」
圭人 :「……うるさい(汗)」
健一 :「後できちんと紹介してくれよ」
圭人 :「(ぼそっ)下心が見え見えだぞ……」
………………
健一 :「さあ、さっさと席に戻るぞ。
:岩崎さんに席をキープして貰っているんだから」
圭人 :「……ごまかしやがったな(苦笑)
:しっかし意外だよなあ、あいつにクラシック聞く趣味があ
:るなんてなあ」
健一 :「……その言葉、後で伝えといてあげるよ……」
圭人 :「……まて。それは俺に死ねと言ってるのか(汗)」
健一 :「貸し一な(にやり)……とまあ、冗談はそれくらいに
:しておいてと」
……とてもそう聞こえなかったのは……きっと気のせいだろう(苦笑)
健一 :「ほらほらもうすぐ始まるぞ。
:聞き逃したくないから早く行くぞ」
圭人 :「……気の早いやつ(苦笑)」
と、軽口を叩きつつも、彼らは席まで戻ってきた。
そこには、すでに圭人の弟、京が鎮座している。
京 :「………お帰り(にやにや)」
圭人 :「………見てたな、お前(汗)」
京 :「当然(邪笑)」
……兄が兄なら弟も弟である。
圭人 :「……ところで、岩崎の奴は?」
京 :「トイレだって。そろそろ来るんじゃないの?」
圭人 :「まあ、居ない方がくつろげるってもんか……」
岩崎 :「……聞こえてるわよ」
圭人 :「…………(滝汗)」
圭人君、口は災いの元って知ってるかい?(笑)
開演前の一幕
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公演がはじまる少し前。人でそこそこ込み合っている中で、見覚えの
ある顔を見つけた。
本宮 :「あ、刹那くん」
刹那 :「あ、こんにちわぁ」
ゲーム仲間……というかなんというか、よくゲームセンターで二人で
遊んでいる。
本宮 :「刹那くんもきてたのか」
刹那 :「知り合いがでてるんでひやかしに(笑)」
本宮 :「あはは(^^;)」
笑ってるといきなり背後から小さい何かがぶつかってくる。
由摩 :「わーい♪(だきっ)」
本宮 :「おっと、由摩ちゃんもきてたのか(なでなで)」
公演のチケットが瑞鶴においてあったせいか、結構常連の知り合いの
顔がちらほら見える。
本宮 :「そういえば、刹那くんも吹利学校っていってたね」
刹那 :「うん。そうだよ」
由摩 :「あたしもっ(^^)」
鏡介 :「もう行かないとお兄さんが心配するよ……」
由摩 :「はーいっ☆」
フラナ :「じゃねー由摩ちゃん(^^)」
刹那 :「あ、まったね〜」
由摩 :「まったね〜☆」
鏡介 :「バイバイ(フフフフフフ)」
ゆらゆらと去っていく
フラナ :「って(もとみーの袖くいくい)知り合い?」
本宮 :「ああ、ゲーセンでよくセッションやってる刹那くん」
フラナ :「よろしくー僕フラナ(^^)」
刹那 :「よろしくお願いしま〜す」
フラナ :「うん、せっちゃんだね(^^)」
いきなしせっちゃん呼ばわりか(笑)
刹那 :「あははは(^^;」
ジリリリリリリリリリ
刹那 :「あ、開演だ」
本宮 :「ああ、それじゃまたね」
刹那 :「はーい」
フラナ :「じゃねー(ぶんぶん)」
佐古田 :「……(ぺこ)」
足取りを早めて席へと戻っていった。
楽器と人と〜瑞鶴店長の視点より
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舞台から数列離れた席に座ってから、あたりを見まわした。
結構、人が入っている。そのうちのある程度は演奏者達の家族が占めている
のだろうが。
すうっと、彼の斜め前を横切った人影があった。
あれは……うちの常連の一人だ。
「あ、こんにちは」
座ろうとして向こうも気がついたらしい。
「こんにちは」
成程、と納得する。フラナがまとめて数枚持っていった後、数日経つといつ
のまにか券が消えていたのだが、多分その一枚はこの常連さんが持って行った
のだろう。
案外……聞きに来る人がいるんだな、と。
納得してから、苦笑する。
案外などと言ったら、演奏する面々はさぞ怒ることだろう。
入り口で手渡されたプログラムを開いて、眺める。
『1:美しく青きドナウ:J.シュトラウス』
『2:ファランドール(「アルルの女(第二組曲)」)ビゼー』
『3:交響曲第36番:リンツ:モーツァルト』
ちょっと、考える。
1と2は、これはもうかなり有名な曲なのだが……
3は……どんな曲だったろうか。
プログラムを開く音。人を探しているらしい声。すみません、と、小さな声。
その全部が合わさってざわめきになる。世界一流のオーケストラの演奏会で
も、高校の演奏会でも、それはやはり同じようなざわめきだ、と思う。
日常から、数時間の非日常に移り変わる為の、準備の数分かもしれない。
ブザーが鳴る。
幕の後ろから現れる……演奏者達。きゅっと、緊張し切った顔をして。
タクトが揺れる。
曲が始まる。
なかなか……上手い。
高校くらいの管弦楽の演奏では、時折、管楽器と弦楽器の間に差がある。
管楽器というのは、大概の場合二桁の年齢になってから習い始める場合が多
いという。これは管楽器を演奏するのには、それくらいの体格が必要だから、
ということらしい。
それに対して、弦楽器のうちでもヴァイオリンなどは、幼稚園に入る前から
練習を始める人々もいるわけで。
そういう人が一人いるとこれはかなり目立つ。
とすると、ヴァイオリンを弾いている彼女も、その類なのだろう。
背の高い、女生徒。瑞鶴にポスターをはりに来た顔なので覚えがあるのだが、
それ以上に、演奏する姿が目立つ。
ヴァイオリンが、軽い。
軽い、というのは変かもしれない。が、弾いている姿が楽器を負担としてい
ない、という印象を受ける。楽器に振りまわされるのではなく、楽器を弾いて
いる、という……
斜め前の席の頭が、ぴょこん、と起きあがった。
起きあがるまでは気がつかなかったのだが、どうやら今まで眠っていたらし
い。
ドナウ……眠くなる曲にも聞こえないのだが。
中学生か、高校生か……つまりは夜更かし組なのだろう。多分友達が演奏し
ているのだろうが……
見つかっていたら、あとで怒られるだろうに。
曲のほうは終盤。フルートの少女がひどく真剣な目をして指揮者を見ていた。
そして、ファランドール。
乗りの良い曲だけに、演奏している面々もその勢いに乗っかっているのがわ
かる。金管楽器の面々が特に。
しかし、やはり目の前に演奏者を見つつ聞くと、曲の難易度……というか、
難しい部分が良く分かる。金管が高らかに音を響かせる合間の、細かい刻みの
繰り返し部分は……これは、多分、演奏している木管楽器の面々にとっては厄
介な部分だろう。テンポが速い上に休みが無い。
クラリネットを吹いていた小柄な女生徒が、パートの切れ目に、ちょっと顔
をしかめて右手に視線を流し、素早い動きで結んで開いた。
よほど手が凝ったのかもしれない。
そして、トリの部分の、全楽器の渦巻くような音。そして最後の三音。
ぱん、と歯切れ良く最後の音が決まって。
一瞬沈黙。そして拍手。
必死だった顔が、ふうっとほころんで。
「これで、第一部を終わります。休憩は10分です」
アナウンスが流れた。
休憩時間:店長の視点的に
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休憩時間、というと、別に何にも無くても、立ちあがりたくなるもので。
よいしょ、と立ち上がって伸びをしか……けた途端。
フラナ :「あー、店長さんだっ」
店長 :「あ、こんにちは……三人とも(笑)」
振り返る。
予想通り……
フラナ、本宮、佐古田、と、いつもの面々が顔を揃えている。
店長 :「佐古田君……は、ギター持ってないのか(笑)」
佐古田 :「…………(憮然)」
フラナ :「だって佐古田って、持ってると弾いちゃうから」
本宮 :「部屋に置いてこさせました(汗)」
確かに……休憩時間とはいえ、ギターを鳴らされては、舞台の上の演奏者も
戸惑うことだろう。
と、あと一人、三人の後ろに所在なげに立っているのに店長は気がついた。
店長 :「っと、こちらは……」
フラナ :「あ、八神さん。おんなじアパートに住んでるんだよ」
店長 :「って……ああ、もしかしたら永久カレーの」
八神 :「…………何で知ってるんですか(汗)」
フラナ〜花澄〜店長、の、情報漏洩の図が成り立っているわけである(笑)
店長 :「いや、失礼。はじめまして。平塚と申します」
八神 :「はじめまして」
と……
?? :「どーしてっ?!」
はっきりとした声が背後……この場合、舞台に近い側で聞こえた。
答える内容は、ざわざわに消されてよくわからないものの、声自体は聞こえ
る。どうやら常連さんの声。
振り返ると先刻まで舞台にいた小柄な少女がいる。
何だか勢い良く問い詰められている……そんな印象。
店長 :「……(ああ、だから来てたんだ)」
納得する。
本宮 :「っと…じゃ、これで。あ、券ありがとうございました」
店長 :「いえ(苦笑)」
どうやら義理堅いことに、この一言を言いに来たらしい。
四人がばらばらっと目礼して、後ろのほうの席に戻ってゆく。それを何とな
く目で追って……
店長 :「………………」
ふ、と、目につく。
灰色の人民服に、黒い丸眼鏡……何となくサングラス、という表現よりも時
代がかって見えるのだ……にハンチング。
派手ではない。が、ちょっと普通でもない服装……のような気がする。
店長 :「………(まあ……いろんな人が聞きに来るんだな)」
ざわめきが、ゆっくりと下火になってゆく。
そして、ブザー。
アナウンス :「只今より二部の演奏を始めます」
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第2部のあたりからはまったくもって綺麗に止まっています。
さてと、動くでしょうか……?
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銀佳
ginka@mutt.freemail.ne.jp
http://www.geocities.co.jp/Bookend/4229/