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Date: Wed, 29 Mar 2000 22:39:00 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 18450] [HA06P] :「春嵐」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200003291339.WAA98749@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 18450
2000年03月29日:22時39分00秒
Sub:[HA06P]:「春嵐」:
From:E.R
こんにちは、E.Rです。
予告しました、瑞鶴一時閉店EP。
とにかく取っ掛かりだけでも流します。
まー……
……こういうことです(笑)
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エピソード『春嵐』
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一晩のうちに、めっきり春になった。
前日は嵐のような風が吹き過ぎていた瑞鶴の裏の通りに、一面街路樹の小枝
が散らばっている。
花澄 :「風、ひどかったからなあ……」
とん、と、水溜りを避けて。
裏口を二度叩いて、ノブを廻して。
花澄 :「っと(汗)」
店長 :「待ってた」
ぶっきらぼうな言葉と声と。
それ以上に……奇妙に不吉な響きと。
花澄 :「……何?」
店長 :「呼び出しだ」
花澄 :「って……」
店長 :「鬼海の家から。最優先らしい」
裏口に靴を脱いで、上がる。それを待ちかねたように、店長は薄い封筒を花
澄に渡した。
既に開いている封筒を少し丸めるようにして、中身を引っ張り出す。
花澄 :「これ?」
店長 :「うん」
かさかさと、薄い紙を開く。
暫しの間。
そして。
花澄 :「……………学が行方不明?」
店長 :「そうなるな」
花澄 :「っても……そんな莫迦な」
鬼海学。
花澄達の、母方の従弟にあたる少年である。
鬼海の家。地水火風、四大に護られる、風見達を生み出す家の一つである。
学の母もその一人であるからには、当然風にその居場所を問うことをしてい
る筈なのだが。
店長 :「風からの情報が、無い、ときた」
花澄 :「ということは……」
店長 :「他の風見の家が関わっているか」
花澄 :「……四大が、関わっているか」
花澄の言葉を聞いた途端、店長が露骨に嫌な顔をする。
花澄 :「……何?」
店長 :「その可能性が、一番厄介だよなあ……(溜息)」
花澄 :「まあ……そうだけれども」
手紙には、以下の内容が要領良くまとめてある。
学が、春休みに入った数日後に行方不明になったこと。
風見達…学の母や姉、その祖母達の捜索にも関わらず、今だに行方が知れな
いこと。
地水火風、それぞれからの情報が無いこと。
そしてまた、他の風見の家でも、学と同じ年頃の子供達が姿を消しているら
しいこと(これについては尚未確認の部分がある、との但し書きつきで)。
花澄 :「…………で?」
店長 :「探せ、とさ」
花澄 :「私達に?」
最優先、と、断っての依頼は、ほぼ命令に等しいもので。
ほろ苦い笑みが、花澄の片頬に浮かんだ。
その笑みを映したように、店長も苦笑した。
店長 :「……そうなるな」
ふう、と一つ息を吐く。
店長 :「鬼海の長の権限により、と来たものだ。逆らうわけにも
:行くまいさ」
奇妙な家系。そして奇妙な能力を持つ者達。彼らを護る立場にいる長の命は、
それ故に血族にとっては重い。
やれやれ、と、座った椅子の背に寄りかかった兄を、妹が少し眉をひそめて
見やる。
花澄 :「でも、お兄ちゃん、瑞鶴はどうするの?」
店長 :「どうもこうもないさ」
もう一度、溜息。
店長 :「一時閉店するしかあるまい」
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というわけです。
鬼海学については、「前略、月待坂から」を御参考の程(おい)
日付は、3月27日と思っています。
月曜日に受けて、土曜日に閉店ですね。
続きは…………ちょっと3月以内には書けないかも(汗)
んでも、必ず流します。
では。