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Date: Sat, 25 Mar 2000 01:42:02 +0900 (JST)
From: タイガ <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 18373] [ WP01P ]「還る時、還らない刻」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200003241642.BAA67331@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 18373
2000年03月25日:01時42分02秒
Sub:[WP01P]「還る時、還らない刻」:
From:タイガ
ども、タイガです。
「悪夢」完結記念。てかE.Rさんに便乗かもしれず(^^;;。
ネタ自体は去年から考えてたんですけどね(^^;。
……うああっ! 「司るもの」も止まってるし、「悪夢再び」なんて手も付け
てない! 圧力が、圧力がぁ〜〜(流れてく)。
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「還る時、還らない刻」
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登場人物
東風吹子 :結界に入る事の出来ない住人。
父、静太郎が対たる狩人である。
東風静太郎 :結界から出られない狩人。
娘、吹子が対たる住人である。
「還る時、還らない刻」
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1999年12月31日午後11時59分50秒。再びこの時がやって来た。
吹子 :「…………(膝を抱えて座っている)」
1年前、すなわち最初にこの時がやって来た時、彼女はまだ住人ではなく、
それに気付かなかった。だが、今は違う。
吹子 :「5、4、3……」
何故か、吹子は残りの時間を数えていた。わずかな、その時までの時間を。
吹子 :「2、1……0」
呟いた時、『彼』はそこに居た。
静太郎 :「ふ、うこ?」
吹子 :「…………!(泣)」
懐かしい父の声を聞いた時、涙があふれた。憎んでいたはずなのに。自分を
捨て、拒み、去っていった父。憎んでいたはずなのに……、涙が、あふれた。
静太郎 :「吹子……!(胸を押さえる)」
吹子 :「お父、さん?」
急にうずくまる父に声をかける吹子。だが、彼は答えもせず結界を張った。
吹子 :「…………(やっぱり、私を拒むの? お父さん)」
終末の住人であり、結界を操る力を持つはずの彼女。しかし、結界を張り、
あるいは、その中に入る力を彼女は持たない。彼女の知る中で、最も結界の
扱いに長けた月影のマスター、直人でさえ、彼女を結界に召喚する事は出来
ない。その理由は誰も知らない。
吹子 :「私が、憎い?」
結界を越え、話し掛ける。結界に入る事は出来なくとも、結界に働きかける
事は出来る。結界の中を見る事は出来る。触れる事は出来る。だが……。
静太郎 :首を振る。
それが、余計に辛い。どんなに近くに居るようでも、やはり結界は越えられ
ない。その、見えざる無限の隔たりが、彼女には、辛い。
吹子 :「じゃあ、なんで……!!(泣)」
涙で紡がれた言葉。しかし、言った時には既に父の姿はない。
後には、中谷美紀の「天国より野蛮」の残響がかすかに聞こえるだけだった。
吹子 :「……悪夢から守ってなんかくれなかったじゃない……」
ぽつりと呟く。そして、CDラックから一枚CDを取り、オーディオにさす。
山崎まさよしの「One more time,One more Chance」。
恋人を喪ったある人が、その欠片や、姿を探しつづけてしまう。と言う歌。
時が逝かぬ事を願い、時が戻る事を祈る歌。
吹子 :「……世界の時は戻っても、私の刻は、戻らない……」
全ての時が繰り返す「今年」の中で、住人をとりまく「刻」だけが、決して
戻らない……。
時系列
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1999年(2回目)12月31日23時59分50秒から、
1999年(3回目)1月1日0時5分30まで。
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と。これで書式は合ってるのかなぁ?(ちょっと不安)
あ、それと、文中にもあります中谷美紀の「天国より野蛮」を知らない人には
全然面白くない危険性が高いです(汗)。
でも解るように書くには著作権が絡みそうなんで無理です。
山崎まさよしの「One more time,One more Chance」の方は知らなくても
大丈夫だと思いますが。
でもどっちも良い歌なんで機会があったら聞いてみてくださいね(^^)