[KATARIBE 18366] [HA06P] :「空を踏む」

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Date: Fri, 24 Mar 2000 17:40:37 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 18366] [HA06P] :「空を踏む」 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200003240840.RAA48493@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 18366

2000年03月24日:17時40分37秒
Sub:[HA06P]:「空を踏む」:
From:E.R


    こんにちは、E.R@うううう です。

 ……いいんだいいいんだい、20分くらいさぼって発散した方が(以下自己欺瞞100行)
 
 今朝の、風景から。

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エピソード『空を踏む』
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登場人物
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平塚花澄:書店瑞鶴店員。春の結界の中にいる。
譲羽  :少女人形に宿った木霊。花澄の擬似娘。水につかると溶ける。

本文
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 某日、早朝。
 路地には昨夜の雨が残っている。
 雨に洗われたように、朝の空は青い。

 すう、と幅広の筆で掃くように、風が路地を渡ってゆく。
 花澄の肩から下げられた袋から、ぽこ、と、黒い頭が飛び出す。

 譲羽     :「ぢい」
 花澄     :「……ゆーず(汗)」
 譲羽     :「ぢいぢいっ(でも誰もいないよ)」

 まあ…そうではあるのだが。

 花澄     :「もうそろそろ、皆起き出す時間だから」
 譲羽     :「ぢぃ………(渋々)」

 そろーっと。
 頭が引っ込みかけて。

 譲羽     :「ぢ?」
 花澄     :「え?」
 譲羽     :「ぢいっ(おそらっ)」

 ぴょいっと、小さな体が袋から飛び出す。

 花澄     :「ゆずっ」

 延ばされた手をかいくぐって。
 そのままアスファルトの上に落下。

 ぱしゃん、と、薄く溜まった水が跳ねた。

 花澄     :「こらっ(汗)」
 譲羽     :「ぢいっ(嬉々っ)」

 一応靴は防水の布で作ってあるとは言え、譲羽の体は木粘土と胡粉製である。
 花澄からすれば冷汗ものなのだが、譲羽のほうは、てんで気にした風も無い。

 譲羽     :「ぢいぢいっ(お空、踏んだのっ)」
 花澄     :「そら?」
 譲羽     :「ぢいぢいぢっ(お空の青、踏んだのっ)」
 花澄     :「……あ」

 小さく。
 花澄は息を呑む。

 花澄     :「…………ああ……」

 路地に溜まった、水に。
 空の青。
 水溜りだけではなく、アスファルト自体が、うっすらと空の青を映して。
 その、空の色も、もうすっかり春の色で。

 花澄     :「成程(笑)」
 譲羽     :「ぢいっ(嬉々)」

 くるり、と、小さな足を軸に回って。

 譲羽     :「ぢいぢいぢっ(青の色、踏んだのっ)」
 花澄     :「(笑)」

 とてとて、と、駈けよる譲羽を抱き上げて。

 花澄     :「本当ね(笑)……ゆず、えらい」
 譲羽     :「ぢいっ(とくいとくい)」

 笑いながら。
 そしてまた路地を歩いてゆく。
 空の青を踏みしめながら歩いてゆく。


 春の初めの日の出来事である。


時系列
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2000年の三月中旬から下旬。

解説
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平塚擬似親子の、ある風景です。
本当に……アスファルトも青にうっすら染まるのです。

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 で。
 車から出た時は、こーだったんですけど。
 結局今日一日、雨だったなあ(笑)


 んではでは。


    

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