[KATARIBE 18342] [HA06P]: 『自分探し=春日=』暫定版

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Date: Thu, 23 Mar 2000 17:07:15 +0900 (JST)
From: ソード  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 18342] [HA06P]: 『自分探し=春日=』暫定版 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200003230807.RAA99746@www.mahoroba.ne.jp>
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2000年03月23日:17時07分15秒
Sub:[HA06P]: 『自分探し=春日=』暫定版:
From:ソード


 こんにちは、ソードです。

 短めですが、完成しました。

 OKならば、掲載してしまいます。

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エピソード『自分探し=春日=』
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登場人物
布施美都(ふせ・みと)
     過去の記憶のない娘。神格の強い神剣の復活の鍵の一つらしい。

小滝ユラ(こたき・ゆら)
     ハーブショップ・グリーングラスの住み込み店員。美都をグリーン
    グラスに引き取り、共に生活している。


堀川祐司(ほりかわ・ゆうじ) 
     古代日本の歴史を研究する歴史学者。史学書の記述を事実と見なす
    美都と、その書「吹利史」に、強い関心を持つ。 
    
紫苑(しおん)    
     美都が吹利現れてからずっと守っている金属生命体。
     徐々に感情が芽生え始めている。

旅行計画
--------
 小春日和。
 美都は、グリーングラスのにかの自室で、色々と荷物を詰め込んでいた。
 ここに来てからまだ数ヶ月しか経っていないが、既にいろいろなものがある。
 服も多いし、雑誌、雑貨もある。
 これだけ、自分は世話になっていたのだという事を改めて自覚した。

 ユラ     :「美都ちゃん?」

 部屋を覗き込み、荷物が広げられた美都の部屋に驚くユラ。

 ユラ     :「どうしたの? それ」
 美都     :「あ、ちょっと、旅行に行きたいなぁって。今から準備し
        :ているんです」
 ユラ     :「旅行? なになに? どこいくの?」

 興味津々で聞いて来るユラ。本人は忙しいが、休みが取れないほどではない。

 美都     :「えと……自分探しに……」

 いいにくそうに、ぽつりと言う。
 ユラも、今までの興味本位の表情を引っ込め、真剣な表情になった。

 ユラ     :「そう……私も着いていこうか?」
 美都     :「いえっ。紫苑ちゃんいるし、だいじょうぶです。それに、
        :どれくらいで戻って来るか分からないから……。ここ、あ
        :んまり開けてもいけないし」

 ユラは、美都の表情から、それ以上の追求を止める。
 巻き込みたくない……という感情。相手を思いやってのことだと理解してい
るが、頼りにされていないようで、やはり少し寂しい。

 ユラ     :「わかった。いってらっしゃい。出発はいつ?」
 美都     :「えーと……まあ、適当に……。バイトとか、お休みもら
        :わないといけないし。瑞鶴とか、お世話になった人にも挨
        :拶してからのつもりですから……」
 ユラ     :「わかった。出発の時は見送るから、いきなりいなくなっ
        :ちゃ嫌よ」
 美都     :「はい」


道標(みちしるべ)
-----------------
 祐司     :「へえ……旅行……ですか」

 吹利の喫茶店。美都は、祐司に挨拶するため、連絡を取ったところ、実際に
合って話す事になったのだ。

 美都     :「はい」
 祐司     :「どちらまで行かれるんですか?」
 美都     :「えーと……物騒ですし、あえて、行き先は言わない事に
        :します。でも、戻ってきたら必ず連絡します」

 “吹利史”を読んだ祐司は、美都の大体の行き先は想像がついているのだろ
う。
 その言葉にも、うなずき、一枚の封筒を差し出した。

 祐司     :「餞別……というのには、余り足しにならないかもしれま
        :せんが……」

 そう前置きし、中身を見るように促す。
 美都が封筒を開けると、中には奈良にある春日大社に関連する資料が入って
いた。

 美都     :「あ……これ……」
 祐司     :「多分、こちらのほうが近いでしょうから、先に参られて
        :はいかがです?」
 美都     :「ありがとうございます。早速、行ってみます!」
 祐司     :「今から行っても、開いていませんよ」(くすくす)
 美都     :「あ……(赤面)明日にします」

 そういって、再び腰を落ち着け、カップを手にとったのだった。


参拝=春日=
------------
 電車に乗って、少し歩いて……。
 秋の日和は、気持ちが良い。

 美都     :「えーっと……」(きょろきょろ)
 紫苑     :「美都、こっちですよ」

 しばらくしてあらぬ方向に行こうとする美都を紫苑が手を引く。
 手を取り合って歩く二人の美女……。それほど人込みではないが、注目を集
める。

 美都     :「紫苑ちゃん、知ってるの?」
 紫苑     :「地形データが検索可能ですから」
 美都     :「んー……そういうの、“知ってる”ってことだよ」
 紫苑     :「それならば、知っています。あともう少しで着きますよ」
 美都     :「うんっ。まかせたっ」

 しばらくして、一風変わった雰囲気に包まれた神社が見えた。

 美都     :「あ……」
 紫苑     :「どうかしました?」
 美都     :「んー……良く分からないけど、雰囲気が変わったね」
 紫苑     :「そうですか? 気温、湿度の変化はないようですが」
 美都     :「うん。でも、気分は悪くないから、きっと大丈夫だよ。
        :行こう」

 境内に入り、型通りの参拝をする。

 紫苑     :「ここが、第二殿。経津主命(ふつぬしのみこと)を祭っ
        :てあるようです」
 美都     :「フツヌシノミコト……って……」
 紫苑     :「ええ、布津御魂(ふつのみたま)が神格化したものです」
 美都     :「そっか……」

 立ち止まって、奥を見通そうとする。

 紫苑     :「どうですか?」
 美都     :「ん……どきどきはするけど……そんなに何かを感じたり
        :はしない」
 紫苑     :「経津主と、布津御魂が、同一というのも、説の一つにす
        :ぎませんからね」
 美都     :「うん。それに、あたしが神様なんて、柄じゃないよね?」
 紫苑     :「そうでもありませんよ」
 美都     :「……ありがとっ。さて、次行こっか」
 紫苑     :「はい」

 その後、全てを参拝し、巫女の一人に話を聞いたりもする。

 巫女     :「……という訳です」
 美都     :「なるほどー。そうだ、神話の時代よりも後の話ってあり
        :ますか?」
 巫女     :「先ほどお話した、建立や造替は行っていますが……」
 美都     :「あ、そういうのではなくて……えと……」

 神が復活するような大きな戦があったのか……?
 とは、さすがに聞きにくい。

 紫苑     :「神が降臨したとか、大きな戦があったというような伝承
        :はありませんか?」
 巫女     :「うーん……そういうのは聞いた事はありませんね」
 紫苑     :「そうですか」
 美都     :「ありがとうございます」

 一礼して、お土産に御守などを買ってから、帰路に就く。

 美都     :「やっぱり、実際に見てみたいな……」
 紫苑     :「布津御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)ですか?」
 美都     :「うん。行ってこようと思う。紫苑ちゃん……」

 数歩前に出て、紫苑を振りかえって立ち止まる。
 ユラにはああ言ったものの、実はまだ紫苑に了解を取っていない。
 紫苑も、最近、別の場所で何かをやっているようである。旅行をしている間、
完全に拘束する事になるのは間違い無い。

 紫苑     :「どうしたんですか?」
 美都     :「えと……一緒に行ってくれませんかっ?」(赤面)

 なんとなく、照れくさく、少しうつむいて一気に言い募る。

 紫苑     :「ええ、もちろんです」

 いともあっさり、表情すら変えずに答える紫苑。

 美都     :「えへへ……ありがとっ」

 そういって、頭を下げる。礼をしているのも小恥ずかしく、そのまま振り返っ
て歩き出した。
 後ろから紫苑が着いて来るのは、足音で分かる。

 紫苑     :「美都……」
 美都     :「(どきっ)えっ? な……何?」

 後ろから声を掛けられ、立ち止まる。なんとなく、振り返れない。
 その美都の手を、そっと紫苑が掴み、引いた。

 美都     :「えっ?」
 紫苑     :「道が違います。駅はこっちですよ」
 美都     :「ええっ……うー……りょーかい、まかせる……」

 手を引かれながら、溜め息を吐く美都であった。

解説
 自分に過去が無い事を知った美都。
 自分と関係ある場所を目指す旅の前に、近くで祭られている春日大社に足を
運ぶ事にした。


時系列
 1999年9月ごろ


*********************************
 というわけで、あまりにあっさり終わるのもなんだったので、
ちょっとらぶこめ(爆)

 時系列は、未だ悩んでいます。どうしよう……。


 では……また。


    

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