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Date: Mon, 13 Mar 2000 19:28:39 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 18246] [HA06P] :「南瓜の日」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200003131028.TAA12786@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 18246
2000年03月13日:19時28分39秒
Sub:[HA06P]:「南瓜の日」:
From:E.R
こんにちは、E.Rです。
14分EP一丁(爆)
IRCでの会話発、です(笑)
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エピソード『南瓜の日』
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登場人物
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平塚花澄(ひらつか・かすみ):書店瑞鶴店員。父親は戦前生まれ。
譲羽(ゆずりは):花澄の擬似娘。木霊の少女。
本文
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まあそれなりにそれなりに。
煮物を作る暇のある日は幸いである。
花澄 :「かぼちゃ、と……」
ついでに大豆の水煮を足して。
花澄 :(あ、しまった)
ざく、と刺し込んだ包丁が、そこで止まってしまったらしい。
こうなると厄介で。
花澄 :「よいしょ……っと」
包丁に体重をかけて、南瓜を割る。
譲羽 :「ぢ?」
花澄 :「っとゆず、危ないからちょっと退いてて(汗)」
譲羽 :「ぢい(汗)」
……時折かぼちゃをすっ飛ばした経験者の言である。
花澄 :「お兄ちゃんも、これなら結構好きだから……」
よいしょ、と、結局あるだけの南瓜を割りながら、花澄は微かに苦笑する。
好き嫌いを言うこと自体、許さなかった父親が、しかしほぼ唯一手をつけな
かったのが、南瓜だった。「お父さんは召しあがらないで下さいな」との言葉
を聞き流して、食卓に乗った南瓜の煮付けの鉢を、睨んでいたこともある。
一生分、既に食べたから俺はもういい、というのが口癖で。
南瓜の葉から、茎から。
当時は甘くて旨かった……と。
酒の傍ら、昔話していた記憶がある。
花澄 :(その割に、あとの家族はみんな好きなんだけどなあ)
甘くて旨かった筈のものを、嫌うほどに食べざるを得ない環境。
それは……確かに、想像の外にある状況かもしれない。
花澄 :「……贅沢なんだろうなあ、こういう食べ方も」
譲羽 :「ぢ?」
とりあえず、切った南瓜の面取りをしながら。
細く、細く角を削りながら。
花澄は一つ苦笑した。
時系列
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2000年3月初旬
解説
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IRCでの、年代談義からふと生まれた話です。
親の世代、というものは、手の届くくらい近くという印象もあるんですけど。
その生活は既に、想像でも届かないものがあるのかもしれません。
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ちうわけで。
ではでは。