[KATARIBE 18220] [HA06P] :「三人であること」完成版

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Date: Fri, 10 Mar 2000 15:21:09 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 18220] [HA06P] :「三人であること」完成版 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200003100621.PAA60549@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 18220

2000年03月10日:15時21分09秒
Sub:[HA06P] :「三人であること」完成版 :
From:久志


 久志です。
最近もとみーかいてないなぁ(^^;)

IRCで出てる影久くんと千和ちゃんの夢オチ話でも
書いてみよっかね(また墓穴を掘るし…)

エピソード「三人であること」
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登場人物
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 本宮和久(もとみや・かずひさ)
     :苦労性少年、二人のお守り役……だったはずだけど?
 佐古田真一(さこた・しんいち)
     :無口不愛想ギター少年、未成年だけど酒豪だったりする。
 富良名裕也(ふらな・ゆうや)
     :お気楽極楽少年、まいぺーす
 本宮ファミリー:もとみーの家族

本編
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 本宮家、食卓。 

 本宮   :「いただきます」 
 兄一   :「よー佐古田くん、一杯いく〜?」 
 佐古田  :「(こっくし)……(コップ差し出す)」 
 兄二   :「兄貴飲ませすぎんなよぉ」 
 佐古田  :「…(ぐびっ)」 
 本宮父  :「相変わらずいい飲みっぷりだねぇ(笑顔)」 

 今日は佐古田が本宮の家に遊びに来ていた。本当はフラナも入れた三人で遊 
んでいたのだが、いつもいるはずのフラナは久しぶりに家族で食事にいくから 
といって、早めに家に帰ったのだ。 

 本宮母  :「佐古田くん、おかわりあるかしら?」 
 佐古田  :「……(そっとお茶碗を差し出す)」 

 さすがに食卓にギターを持ち込むわけにもいかず、無言で頷く佐古田。本宮 
家の人間も佐古田の不愛想さには馴れているし、決して礼儀知らずではないこ 
とも知っている。さすがに三杯目のおかわりでは差し出す手も遠慮がちだ。 

 佐古田  :「…ごちそうさまでした」 
 本宮母  :「はーい、あ、お茶いれるわね」 

 ぱたぱたと本宮の母が台所の奥へと消え。本宮は、さっさと部屋に戻ってし 
まった次兄とまだ酒宴を続けてる長兄と父を尻目に食卓の片づけをしていた。 

 佐古田  :「………(じー)」 
 本宮   :「ん?どうした、佐古田」 
 佐古田  :「……(ふるふる)」 
 本宮   :「そうか?」 

 佐古田は緑の目を細めて、今から遡ること数時間の事を思い出していた。 
本宮の家に遊びにいく途中のフラナとの会話。 
 本宮家への道を歩きながら… 

 フラナ  :「ねー佐古田ぁ」 
 佐古田  :「じゃん(何?)」 
 フラナ  :「僕がね…一人暮らしするっていったらどうする?」 
 佐古田  :「……!?(立ち止まってフラナを見る)」 
 フラナ  :「あはは、もとみーとおんなじ顔だ(^^)」 

 一拍間を置いて佐古田が口を開く。 

 佐古田  :「……フラナも、なのか?」 
 フラナ  :「どーいうこと(?_?)」 
 佐古田  :「……春になったら、一人で暮らす」 
 フラナ  :「えっ?……佐古田も一人暮らしするの?(@_@)」 

 素っ頓狂な顔で佐古田の顔を覗き込む。 

 佐古田  :「じゃじゃん(一人になりたいから)」 
 フラナ  :「ふぅ…ん、僕はね一人前になりたいからかな(^^)」 

 一人前、一人で生活できることだけを一人前というわけではないけれど、そ 
れはきっかけであるに違いない。 

 フラナ  :「佐古田は…僕が一人暮らしするって言ったら、やっぱ心配?」 
 佐古田  :「じゃん(心配)」 

 即答。 

 フラナ  :「ん、多分もとみーも佐古田も瑞希姉ちゃんやおとーさんもお
      :かーさんも心配すると思う。でもね、僕も子供じゃないからね、
      :一人で暮らせるようにならなきゃ…って思ったんだ」 
 佐古田  :「……」 
 フラナ  :「三人でいるの楽しいし、安心できるけど。一人でもがんばれ
      :るようになりたいなーって、ね。もとみーや佐古田みたいに(^^)」 

 一瞬、沈黙。てふてふというフラナの足音だけが聞こえる。 
 三人でいるのは楽しい、三人でいれば安心できる。 

 佐古田:「……(一人でいても、がんばれる…か)」 

 けど…三人でなくとも、一人でも何とかできるようになりたいのだろう。 
 自分は……言われているほど、しっかりしてるだろうか? 
 前を歩くフラナが急に大人びてしまったように見えた。 

 佐古田  :「………がんばれよ」 
 フラナ  :「うんっ!ありがと佐古田っ!(^0^)」 


 本宮   :「…佐古田?」 
 佐古田  :「?」 
 本宮   :「どうした?ぼーっとして」 
 佐古田  :「……(首を横に振る)」 
 本宮   :「なら、いいんだけど」 
 佐古田  :「……な」 
 本宮   :「ん?」 
 佐古田  :「…がんばらないとな」 
 本宮   :「何をだ?」 
 佐古田  :「……なんでもない」 

 本宮母  :「はい、佐古田くんお茶どうぞ(にこにこ)」 
 佐古田  :「(ぺこり)……頂きます」 
 本宮   :「……(がんばる、か…)」 

 両手に持った湯飲みの熱さがじんと手に伝わった。 

解説
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 フラナに負けじとがんばろうと思う佐古田。なんだかんだ言って結局フラナ
に振り回されてるよーな気もする二人。
 風見アパートシリーズ第四弾。



    

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