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Date: Thu, 9 Mar 2000 15:13:30 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 18209] [HA06P] :「鍋、肉体派を目指す?」完成版 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200003090613.PAA09614@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 18209
2000年03月09日:15時13分30秒
Sub:[HA06P]:「鍋、肉体派を目指す?」完成版:
From:E.R
     こんにちは、E.R@花粉症で最悪 です。
 というわけで、完成版流します。
 ありがとうございました>関係者おおる
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エピソード『鍋、肉体派を目指す?』
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登場人物
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佐久間拓巳:にせ幽霊。日本語より人外との意志疎通の方が得意らしい。 
富良名裕也:霊感まったくナシの天然お気楽大学生。 
佐古田真一:スナフキンとサボテンを愛する青年。会話はギター 
平塚花澄:書店瑞鶴店員。吹利大学生の食糧連鎖の上位に位置するらしい。
カレー鍋:風見アパートの古株。住人達の栄養状況についてはうるさい。
本文
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 某日。
 風見アパートから叫び声が聞こえる。
 ……というのが、珍しくないから困るのだが。
 フラナ    :「佐久間さん、どーしたのっ?」
 佐久間    :「い、いや、鍋が……(汗)」
 フラナ    :「へ?……(目が点)」
 風見アパート名物(迷物)永久カレー鍋。
 その声を聞くことの出来る者もおり、出来ない者もいる。
 …………が、しかし。
 フラナ    :「……鍋が、体操してるー(汗)」
 ……表現としては、当たらずと言えども遠からず。
 長の年月、火にかけられ続けてきた寸胴鍋。大きさといい形といい、なかな
かの良品である……筈なのだが。
 それが中のカレーをぽっちゃんぽっちゃんゆすらせながら、伸びたり縮んだ
りを繰り返している。
 フラナ    :「佐久間さん、これ、どーしたの?」
 佐久間    :「……わからない。今見たらこうなってて(汗)」
 フラナ    :「変だねー」
 いやまあ変なんだけど(汗)
 佐久間    :「それにしても……フラナ君は聞こえない?」
 フラナ    :「へ?」
 佐久間    :「いや……いいんだ(汗)」
 勘が良い、もしくは霊能があるというのも、時に災難である。
 カレー鍋   :『儂のぉ〜〜(ふんっ)かれーをぉ〜〜〜(むきっ)残さ
        :ずぅ〜〜〜(ふぬっ)食べろぉ〜〜(むきっ)』
 ……合いの手が。
 なんかこー非常に特徴的というかなんというか(汗)
 佐久間    :(…動きと声が合ってるのが嫌だな(汗))
 見ているうちに、ぽっちゃんぽっちゃんと、カレーの揺れは大きくなる。
 フラナ    :「ふきこぼれちゃうね(心配)」
 佐久間    :「いや、そーじゃなくて(汗)」
 と。
 困惑している二名の肩越しに。
 フラナ    :「何、佐古田?」
 佐古田    :「じゃんっ(お客)」
 フラナ    :「お客?」
 …友情とは、言葉の壁をも越えさしめるものである。
 玄関を見ると。
 花澄     :「こんにちは、フラナ君」
 フラナ    :「あ、こんにちはー……あ、花澄さん花澄さんっ」
 花澄     :「はい?」
 靴を脱いで揃え、短い廊下を歩いて。
 花澄     :「………………?(汗)」
 フラナ    :「変でしょ」
 花澄     :「変ね」
 のびーっ、ちぢみーっ……と鍋がやってれば、それはまあ変である。
 花澄     :「んーと……(小声)通訳お願い」  
 火      :『了解』
 コンロの火が、一瞬延びて縮む。
 と、同時に。
 カレー鍋   :『儂のぉ〜〜(ふんっ)かれーをぉ〜〜〜(以下略)』
 花澄     :「…………(脱力)」
 佐久間    :(……聞こえてるのか(汗))
 台詞はともかくとして。
 合いの手には、聞き覚えのある花澄である。
 花澄     :(肉体派の鍋………………(頭痛))
 とはいえ。
 一人暮し歴相当、その間自炊歴も相当、となってくると。
 この程度の鍋の反乱には負けないもので。
 花澄     :「……中のカレー、こぼれますよ(ぼそっ)」
 一瞬。
 鍋の動きが止まった……………かに見えたのだが。
 カレー鍋   :『ぬう……』
 佐久間    :(諦めたかな?)
 しかし今度は、中のカレーに注意を払いながら動き出したものである(爆)
 カレー鍋   :『このっ〜〜(ふぬっ)ポーズならっ〜〜〜(むきっ)
        :カレーはっ(ふんっ)こぼれないぃ〜〜〜(むききっ)』
 …………。
 
 SE     :ぷっつん☆
 佐古田    :「…………(汗)」
 後ろから、ギターを持ったまま覗いていた佐古田が、一歩後退した。
 花澄     :「………そういう問題なのかなあ……」
 にっこー、と。
 笑みを顔に張り付けたまま、なのだが。
 佐久間    :「…………(何となくつられて一歩後退)」
 何となく、春雷一歩手前の空気を漂わせながら。
 花澄はよいしょ、と、お鍋を持ち上げた。
 カレー鍋   :『む?……こ、こらこらこらこらこらっ』
 なんと言っても永久カレー鍋である。
 その身体(とゆーのか?)がコンロから離れるというのは、椿事である。
 花澄     :「……肉体派を、目指しているんですよね?(にっこり)」
 カレー鍋   :『こら離せ、離せと言うにっ(一心にぢたぢた)』
 花澄     :「赤銅色の肌は、理想ですよね?(にっこりにこにこ)」
   
 笑いが………恐い。
 そのまま真っ直ぐに流しへと向かい。
 カレー鍋   :『こら、中のカレーがっ〜〜〜〜』
 花澄     :「ちゃんと、赤銅色の肌に戻るまで研いて差し上げますっ」
 どん、と、流しに置く。
 と…ぴたり、と、鍋の動きが止まった。
 沈黙。
 
 花澄     :「……諦めたかな?」
 カレー鍋   :『…………中のカレーがぁ……(涙声)』
 佐久間    :「みたいですね(溜息)」
 すんすん、と、泣き声と愚痴のまざったものが、佐久間の耳には届いている。
 カレー鍋   :『カレーがぁ……』
 花澄     :「もう、やらない?」
 カレー鍋   :『………了承(しぶしぶ)』
 では、と、花澄はカレー鍋をコンロに戻そう……として。
 花澄     :「……重い(汗)」
 フラナ    :「あ、手伝うっ」
 先程は、さほど重いとも思わなかったのだが。
 ……火事場の莫迦力という奴かもしれない(苦笑)
 花澄     :「……大体、カレー鍋がマッチョになりたがってどうする
        :んだか(憮然)」
 鍋は元通り、静かにコンロの上に乗っかっている。
 動き回っていたのが、嘘のようではある。
 ある……のだが。
 佐久間    :「…………(沈思黙考)」
 フラナ    :「どーしたの?」
 佐久間    :「……このカレー、食べて大丈夫かな(汗)」
時系列
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2000年2月初め。
解説
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風見アパートの(七つでは納まりそうにも無い)不思議の一つのカレー鍋。
彼が何故肉体派を目指したのかは……永遠の謎かもしれません(爆)
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ちうわけで。
であであ。