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Date: Tue, 7 Mar 2000 12:25:08 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 18188] [HA06P] :「風見草の時期」暫定版
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200003070325.MAA03211@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 18188
2000年03月07日:12時25分08秒
Sub:[HA06P]:「風見草の時期」暫定版:
From:E.R
こんにちは、E.Rです。
暫定版どどんがどん(謎)
というわけで、一応。
人物紹介お願いします〜
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エピソード『風見草の時期』
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登場人物
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狭淵美樹(さぶち・みき):
平塚花澄(ひらつか・かすみ) :書店瑞鶴店員。本好き。
平塚英一(ひらつか・えいいち):書店瑞鶴店長。やはり本好き。
本文
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花澄 :「梅の異称を、風見草とも言うんだそうですね」
美樹 :「ほう」
某日、瑞鶴。
ごく唐突な言葉を、ごく平然と受ける。
花澄 :「というのを、昨日初めて知りまして(笑)」
美樹 :「?」
不思議そうな視線に、花澄がすちゃ、と、一冊の本をレジの後ろから引っ張
り出す。
美樹 :「あ」
花澄 :「出てたんです、これに」
美樹 :「『言の葉遊学』………」
花澄 :「……探してました?」
美樹 :「探しても探しても、見つからなかったんです(苦笑)」
やっぱり、と、花澄が笑う。
花澄 :「ちゃんと狭淵さんの分、確保してありますから(笑)」
美樹 :「有難うございます〜」
一部で人気を維持している漫画家さんの作品である。
但し…なかなか市場に出回ってくれない。
それを本屋特権で確保しているあたり………(汗)
花澄 :「私、この人の話で、夢見草が桜、っての知りましたけど、
:風見草というのは知らなかったなあ」
店長 :「風見、か」
花澄 :「うん。春の風を見て待つ花、という意味かな」
風見。
かなり意味深な含みを、さらりと流してのけて。
美樹 :「梅は、春一番の花ですからね」
花澄 :「ええ……二十四番花信風でも最初ですし」
店長 :「最後の花は、とび……とか言わなかったか?」
花澄 :「花信風ではね。日本では菊、かな」
美樹 :「成程」
花澄 :「……というのも、受け売りです(苦笑)」
美樹 :「(笑)」
風を待つ花。
風を見る花。
花澄 :「仙人に似てますよね。梅って」
美樹 :「…そうかもしれませんね」
ごつごつと、瘤を並べた枝。
如何にも無骨な幹に、どこか古風な花を並べて。
花澄 :「もうそろそろ、咲く頃でしょうかね」
美樹 :「研究室前の梅は、もうほころびはじめてましたけど。
:河原沿いのも」
花澄 :「あ、もうそんな時期でしたっけ」
店長 :「……今お前、酒持って見に行こうかと思ったろ」
花澄 :「……………………(汗)」
紅梅白梅。
桜ほどに派手ではないが、ゆったりとゆるりと咲く花。
本にカバーを被せ終えて。
花澄 :「はい、どうぞ」
美樹 :「有難うございます」
花澄 :「そういえば、今度『ローズガーデン』も出ますけど……
:確保しておきます?」
美樹 :「お願いします(苦笑)」
花澄 :「了解しました(笑)」
傍で聞いていた店長が苦笑する。
ゆっくりと、ゆるりと。
春が熟成してゆく季節である。
時系列
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2000年二月終わりから三月初め
解説
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風見草の季節の一コマ。
常連さんには、親切な書店かもしれませんね。
……瑞鶴という店自体も、店員達も。
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んではでは。