[KATARIBE 18174] [HA06P] エピソード『春の夜空と梅の花』

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Date: Mon, 06 Mar 2000 00:12:55 +0900
From: ICHIKAWA Takuaki <bobu@din.or.jp>
Subject: [KATARIBE 18174] [HA06P] エピソード『春の夜空と梅の花』
To: kataribe-ml <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <20000306001255Da9n4S@din.or.jp>
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ども、BOBUです。
いつのまにか3月になってたりPS2が出てたりしてますねぇ。

どーでもいいけど。

バイト帰りに梅を見かけて思いついたEPです。
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エピソード『春の夜空と梅の花』
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登場人物
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 佐久間拓巳(さくま・たくみ) :夜な夜な空をぶらついている幽霊もどき

時間軸
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 2000年3月初め。


本編
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空を飛ぶものは

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 3月に入ったばかりの夜。
 佐久間はいつものように夜空をふらついていた。風が体を通り抜けていく感
 覚が好きなのである。
 そろそろ帰ろうか、と体の向きを変えた時、佐久間の目にとても奇妙な物が
 映った。

 佐久間   :「……えぇと(絶句)」

 ……普通、空を飛ぶものと言えば鳥か飛行機かスーパーマンと相場が決まっ
 ている。いや、最近は天使だの幽霊だの箒に乗った魔女だのが空をとんでる
 事もあるのだけれど。
 それでも、今佐久間の目の前を飛んでいるものに比べれば全然普通である。

 佐久間が目にしたもの、それは一本の梅の木だった。

 梅の方でも佐久間に気付いたらしく、近付いてきた。

 梅     :「ちょっと、聞きたいのだけれど。京都はこっちでいいのか
       :な?」
 佐久間   :「いや、このあたりは吹利ですよ」
 梅     :「やっぱりそうか、道理でね。景色がちがうと思ったよ」

 ゆらゆらと、辺りを見回している……のだろう。多分。

 佐久間   :「なんで空を飛んでるんですか? 木が空を飛んでるのって
       :結構変わってると思うんですけど」
 梅     :「今年はきれいに咲いたから、百年ぶりの里帰り」
 佐久間   :「はぁ……」

 要するに、百年ぶりに里帰りするから空を飛んでいると。

 梅     :「ここが吹利ということは、京都はだいたいあっちの方。教
       :えてくれてありがとう、お礼はそのうちなにかの形で」

 そう言うと、梅はさっさと飛んでいってしまった。

 佐久間   :(……そういえば梅も空を飛ぶんだっけか)


後日
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 しばらくして、福岡から差出人不明の荷物が風見アパートに届いた。
 中味は梅酒と梅干し。いったいどこで住所を知ったのやら。

$$

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 にしても。
 梅の花を見て、まず思いついたのが飛び梅の話とは。
 ……なんだかなぁ。


それでは。
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BOBU (ICHIKAWA Takuaki)
E-Mail:bobu@din.or.jp

    

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