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Date: Fri, 25 Feb 2000 16:49:25 +0900 (JST)
From: ソード <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 18109] Re: [HA06P]: 『過去探し』発掘続き
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200002250749.QAA79782@www.mahoroba.ne.jp>
In-Reply-To: <200002221217.VAA43972@www.mahoroba.ne.jp>
References: <200002221217.VAA43972@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 18109
2000年02月25日:16時49分24秒
Sub:Re: [HA06P]: 『過去探し』発掘続き :
From:ソード
こんにちは、ソードです。
過去探しの最終部分……となります。
もう少しだけ、お付き合いお願いします。
********************
> ぺこりとお辞儀をして、外に出る。
しばらく紫苑に手を回す振りをして体を支えてもらっていたが、じきに足取
りもしっかりしたものになる。
美都 :「ごめんね」
紫苑 :「なにがですか?」
美都 :「結局、私も人間じゃないみたい。記憶なんて、最初から
:なかったんだ。思い出す訳なかったの」
紫苑 :「……そうですか」
美都 :「今まで、紫苑ちゃんの事特別だからって頼っちゃってた
:から……。これからは、私も自分で何とかしなきゃ」
紫苑 :「私は別に、迷惑ではありませんよ」
美都 :「うん……ありがと」
二人で歩く。紫苑はいつも、自分からしゃべる事はしない。
美都 :「私ね……」
紫苑 :「はい」
いつかは死ななくちゃならない……。
美都は、口に出そうとした言葉を飲み込む。紫苑に行ってどうなるものなの
か? 自分は不幸な娘だと、慰めてもらいたいのか?
ちがう。
美都は紫苑に守られるより、共に歩く事を選んだのだ。その道を引き返した
りはしない。
美都 :「私のね……魂だけが、必要なんだ」
紫苑 :「“儀式”にですか?」
美都 :「うん。私が自分の事ずさんなのも、その影響だと思う」
紫苑 :「確かに、美都は自分の体を労わらないところがあります
:ね」
美都 :「逆に言うと、魂さえ無事なら、私の身体はどうなっても
:良いんだよね」
紫苑 :「私はそうは思いません」
美都 :「ありがと……。だから、私は死ねなくなっちゃった。魂
:が入れ物を無くしたら、別の入れ物を作ればいいだけなの。
:だから、私は死ねない」
紫苑 :「良く理解できませんが、美都が居るならば、それだけで
:構いません」
美都 :「ありがと。こんな宣言、紫苑ちゃんにしか出来ないから
:さ。覚えておいてね」
紫苑 :「わかりました。しっかりと記憶しておきますよ」
美都は、生き続ける事を選択した。それは、生物ならばあたりまえの、だれ
しもが選択する道である。
器が無事である限り、二つ目の器は必要ない。美都のような娘が、再び生ま
れる事は、美都が生きている限りはない筈なのだ。
過去の無い娘は、今しっかりと「生きる」ために歩き始めた。
*******************
これで、一応ENDにするのがいいかなぁ……と思うのですが、
結局、「吹利史」の今後はぼかして終わりであります。
そちらの決着をつけるようなら、ラストシーンはもう少し遅らせて……ですかね?
後日、全部の決定版を、まとめて流したいと思います。
ではまた。