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Date: Tue, 15 Feb 2000 11:57:00 +0900 (JST)
From: ソード <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 18018] Re: [HA06P]: 『過去探し』発掘続き
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200002150257.LAA89627@www.mahoroba.ne.jp>
In-Reply-To: <200002130832.AA00063@gombe-pc.osk3.3web.ne.jp>
References: <200002130832.AA00063@gombe-pc.osk3.3web.ne.jp>
X-Mail-Count: 18018
2000年02月15日:11時57分00秒
Sub:Re: [HA06P]: 『過去探し』発掘続き:
From:ソード
こんにちは、ソードです。
ごんべさん、修正ありがとうございます。
まとめ版を載せておきます。
> またこの後は、このまま行くと絶対に「本を開いてみる」シーンになると思
>うので(^^;、一旦止めてみました。ソードさん、適当なつなげ方をお願いいた
>します。
了解しました。
一応、レストランでも居間でも良いような書き方をしてみます。
……追加は別途。
> 問題は、その内容が載っていることがわかるまで、いかに祐司による寄り道
>を捌くか(^^;、でしょう。一見して目を引く内容だったら、ちょっと開いただ
>けでも没入してしまう恐れありです(笑)。
なるほど(笑)
まあ、美都も、焦っているようですからねぇ……。
とりあえず、まとめ。
***********************
閉店寸前の連絡
--------------
閉店寸前の瑞鶴。最後のお客の帰った後。
花澄 :「で、どうするんですか?」
英一 :「ちょっとあれは珍品だからな。もう一冊手に入れ
:るのは難しい」
花澄 :「ええ」
英一 :「堀川さんに連絡して、美都さんには堀川さんを紹介する
:くらいしか出来ないだろう」
花澄 :「美都さんに、見せるの?」
英一 :「堀川さん次第だろうな。俺の本じゃないんだし」
そういって、英一は『吹利史』の最初の注文者、堀川祐司への電話番号をま
わした。
そう、既に、『吹利史』は瑞鶴にあるのである。本が“湧く”瑞鶴で、半分
こげたように“湧いた”『吹利史』。
今まで、新刊だと言う訳にも行かず、連絡しないでいたのだが、注文された
客よりも先に知り合いが見る訳には行かない。
英一 :「……」
番号を回し、待つ。電話の呼び出し音が鳴る。
祐司 :「はい、堀川です」
英一 :「夜分遅くに申し訳ありません。書店、瑞鶴ですが」
祐司 :「ああ、私です。いつもお世話になってます」
英一 :「以前、ご注文になった、『吹利史』ですが……」
祐司 :「え? 見つかったんですか!」
英一 :「はい、ですが、少し事情が込み入っておりますので、別
:途時間を取らせていただきたいと思いまして」
祐司 :「事情? ……何かあったんですか?」
英一 :「ええ、実は別のお客様からも引き合いがありまして……
:ただ、堀川さんの方がお話が先でしたから、少しご相談さ
:せていただきたいのですが」
祐司 :「なるほど……わかりました、いいですよ」
英一 :「何時ごろ、お時間いただけますでしょうか?」
祐司 :「じゃあ、明日のお昼で良いですか? 昼食を摂った後、
:そちらによらせていただきます」
英一 :「分かりました。お待ちしています」
そういって、電話を切る。
花澄 :「どうするんですか?」
英一 :「美都さんには、連絡だけしておけば良いだろう。その時
:間帯に来られないかもしれないからな」
花澄 :「そうですね」
そこまで言うと、この会話は終わる。
吹利史だけが、本屋の仕事ではないのだ。
助力者の集い
------------
次の日、美都は定刻より少し早く、紫苑を伴って瑞鶴に来ていた。
瑞鶴店長からの電話で、昼間に先に『吹利史』を注文した人に話してから、
美都と引き合わせる……という事だった。
美都 :「こんにちは」
花澄 :「あ、美都さん、いらっしゃい」
英一 :「いらっしゃいませ」
店の方に来てしまってから、所在無さげにあたりを見回す美都。
まだ、それらしき人物は居ない。
英一 :「奥で待っていてくれるかな? 話しがついたら、呼ぶか
:ら」
美都 :「分かりました」
そのまま、お邪魔します……と告げ、玄関の方にまわる。
居間で花澄の出したお茶をもらいつつ、待つ事にした。
紫苑 :「緊張しているのですか?」
美都 :「うーん……そうなのかな……」
紫苑 :「心拍数が上がっています」
美都 :「そっか……ちょっと……こわい……かも」
紫苑 :「そうですか」
美都 :「私が、普通の人間じゃなかったら、紫苑ちゃんどうす
:る?」
紫苑 :「美都である事が変わらないなら、私は変わりませんよ」
美都 :「……ありがと……」
SE :からからから……
英一 :「いらっしゃいませ。堀川さん。わざわざご足労願って申
:し訳ない」
祐司 :「いえいえ、『吹利史』に会えるなら、大したことでは(笑)」
美都 :「(き……きた……)」
美都の場所からは、それほど店内の会話は良く聞こえない。
しばらくして、花澄が居間にやってきた。
花澄 :「美都さん、見せてくださるって。こちらにどうぞ」
美都 :「あっ……はいっ」
居間から、店の方へ行く。
祐司 :「こんにちは。よろしくお願いします」
美都 :「あ、こんにちは。始めまして。布施美都といいます」
英一 :「じゃあ、私は本を持ってきます」(奥へ去って行く)
祐司 :「堀川祐司です。大学で歴史をやってまして」
美都 :「あの……すみません。ぶしつけなお願いで……」
祐司 :「いいえ、お役に立てるなら、それでいいですよ。読んで
:みるだけでよろしいんですか?」
美都 :「もちろんですっ、ありがとうございます!」
祐司 :「よかった。私としても、手に入って何よりですし。しか
:し……」
美都 :「?」
祐司 :「…焦げているなら、まともに読めるかどうか不安ですね」
美都 :「え? 焦げて?」
祐司 :「はい。そういう話です。まあ私は、この際、どんな状態
:でも多少なりと読めれば、構わないのですがね。貴方の調
:べられるところが載っているといいんですが……」
美都 :「そうですね……焦げた本……どうして……」
祐司 :「さて……ね。いくつかの参考文献に載っているところを
:見ると、一時は出回った事があるようですが……」
英一 :「お待たせしました」
英一の手には、表紙も焦げ、わずかに読める一冊の本。
『吹利史』と書かれている事は、間違い無い。
祐司 :「これが……」
美都 :「……」
そっと手に取り、しげしげと眺める。
「山口淵鳴 著」……出版社名や定価はもはや読めない。
祐司 :「よく……手に入りましたね」
祐司は感慨を隠せない。美都も息を殺してのぞき込んでいる。
今、普通に手に入れたらどれほどになるだろう……というより、普通に手に
入れられるとは思えない。
英一は苦笑した。遠い時の果てに、その本を呼ぶ者がいたから……この「読
者」がいたからこそ、この本はこの店に来たのだ。自分が手に入れたわけでは
ない。
とはいえ、そう言う「読者」の顔を見る瞬間こそ、瑞鶴店主冥利に尽きる瞬
間でもある。
英一 :「知り合いの故物商に問い合わせたら、たまたまこの一冊
:だけこういう形で見つかりまして」
祐司 :「ああ、本屋さんが火事か何かで?」
英一 :「いや、そう言うわけではなさそうなんです」
祐司 :「へえ……じゃあなぜ……」
***********************
というわけで。
ではまた