[KATARIBE 17989] [HA06P] 『同類・相見えず』(仮)

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Fri, 11 Feb 2000 14:56:37 +0900
From: Takuji HOTTA <gombe@osk3.3web.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17989] [HA06P] 『同類・相見えず』(仮)
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200002110556.AA00056@gombe-pc.osk3.3web.ne.jp>
X-Mail-Count: 17989

 ごんべです。


 狭間06のエピソードです。
 BOBUさん、らい君とふぅ君をお借りしています。チェックをお願いします。

 本当は、去年の5月に書こうと思っていたものを、今頃見つけて完成させて
みました(^^;。時系列もその頃……になるのかなぁ。(^^;;;


**********************************************************************
エピソード『同類・相見えず』
============================

 とある日和の良い日のこと。

 いい天気だと出歩きたくなる、のは、お天気だと都合が悪いはずの雷神様で
も同じらしい。

 らい     :「気持ちいいなぁ」

 たまには気の流れに乗ってみるのも悪くない。天気のいい日は、明るいいろ
んな気が緩やかに流れている。
 ふぅはと言えば、その手伝いにかり出されているらしい。他の風神たちの処
に行っていて、今日はらい一人である。風神も、嵐の時だけが仕事というわけ
ではないようだ。
 気の流れの一つに乗ってごろんと寝転がると、ふわふわと運ばれながら、い
つの間にやら人間の町の中の通りの一つを抜けていこうとしていた。

 両側からは、時折おいしそうな電気の匂いが漂ってくる。

 らい     :「へへぇ……こんどまたタクミのいないときに食べに来よ
        :うっかなぁ」

 などと考えつつ、今日のところはのんびりと、気の流れにまかせて漂ってい
た。……つもりだったが。

 らい     :「……あれ? ……えええっ、なんだ?」

 どうも、とある方向に吸い寄せられているらしい。その力はだんだん強くな
ってきて、ぐんぐんと引き寄せられて……

 らい     :「わぁああっ」

 ……ある一点にさしかかったとき、彼を吸い寄せる力は、唐突にぴたりと止
まった。まるで換気扇に吸い寄せられた風船のように……と言っては、彼に悪
いだろう。
 彼の意思を無視して流れていた風景は、今度はゆっくりと、人が歩くくらい
の速さで流れていく。何かが、彼を運んでいるのだろうが……

 らい     :「……なんなんだよぉ、これ……」
 ふぅ     :「あれ、らい、どうしたんだ?」

 見ると、小さな袋を持ったふぅがふわふわとそばまで来ていた。
 お手伝いの途中で抜け出してきたらしい。

 らい     :「わかんないよ……何かに吸い寄せられてるんだよ。
        :ねぇ、何とかしてよ」
 ふぅ     :「……って言ってもさぁ……何もいないぞ?」
 らい     :「そんなわけないだろ!」
 ふぅ     :「あれ、らい、どこ行くんだ?」
 らい     :「知らないよっ!」
 ふぅ     :「知らないのに行くのか?」
 らい     :「好きでやってるんじゃないんだってばっ! もぉ……
        :どうなってるんだよぉぉ」

 その頃同じ通りを、買い物がてら歩いている堀川祐司の姿があった。

 祐司     :「さっきから、なんかぴりぴりするな……どこかで高圧線
        :の工事でもしてるのか?」

 説明しよう。
 彼・堀川祐司は日頃から自分の体内の電気が漏れないように気をつけている
ため、無意識の内に周囲の電気を吸収する、人間アースと化しているのである。
 一方で彼は、昔の恩師からもらった霊的護身符を身につけているため、高位
の霊的存在でなければ、彼の存在を見つけることは難しくなっているのだ。
 そう。
 つまり今、祐司と、彼が吸い寄せてしまったらいとは、間近な距離で接近遭
遇していながらお互いの存在に全く気付いていないという、とても間抜けな状
況に陥ってしまっているのである(笑)。

 らい     :「どこへいくんだよぉ〜 こらあ!」

 祐司     :「なんか知らんけど電界が強いんやろなぁ……今日は気を
        :つけて電気を制御しとかんとあかんな」
        :(と独り言を言いつつ、電気の吸収力を上げる)

 ふぅ     :「あ、おれそろそろ行かなきゃ。じゃな」
 らい     :「うわあああああああん!」(ジャリテン状態でじたばた)

 ……大丈夫だよ、そのうち離れられるって(ほんとか?)。


(終)


解説
----

 正真正銘の雷神と電気能力者とが遭遇するお話……ということになる、のか
なぁ(^^;。


登場人物
--------

 らい
  :一応、雷神である。そんなに大きくないあたり、まだ「子供」らしい。
 ふぅ
  :らいの友達。彼も、一応、風神である。
 堀川 祐司 (ほりかわ・ゆうじ)
  :体内に蓄電できる能力を持つ生きた電源装置。本職は大学の歴史学者。


時系列
------

 1999年5月前半のある暖かい日のこと。(^^;


$$

**********************************************************************

 以上。

 BOBUさんの[12415]「電気の匂い」にインスパイアされて書いてみたんです
が、らい君とふぅ君の性格がなんか逆のような気がして、それから随分とほっ
たらかしにしていたのでした。(^^;ゞ
 らい君ふぅ君の口調などを含め、訂正等お願いします。m(_ _)m >BOBUさん

 ……いや、護身符と言っても、らい君がよくよく見れば祐司の存在に気付く、
という程度の隠身能力しかないのですが……パニックになってたことにして下
さい(^^;。>らい君
(でも、らい君がパニックになっている様子って書きにくい……(笑))


 それでは。

========================================================
堀田 拓司 (ごんべ)  gombe@osk3.3web.ne.jp
http://www2.osk.3web.ne.jp/~gombe/TRPG/BOUKEN/
    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage