[KATARIBE 17915] [HA06P] 「思い出は永遠に」(再送)

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Date: Sun, 06 Feb 2000 15:36:34 +0900
From: Toyolili from ThinkPad <toyolili@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 17915] [HA06P] 「思い出は永遠に」(再送)
To: kataribe-ml@trpg.net
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2000020615:00
 るりるりの指摘をようやく理解(爆)
 ごめんよ、察しの悪い兄で(爆)
 で、るりるりの修正個所を修正してさらに再送……

On Sun, 06 Feb 2000 12:12:01 +0900
瑠璃 <lurimu@geocities.co.jp> wrote:

> >  規約に従って再送……まだ間違ってませんように(爆)
>  名前のところの空白が二個多いよ〜。
> #……ごめん、説明ちょっと分かりづらかったかも(謎)

 これをこう、勘違いしまくった次第(W
 今思えばるりるりの説明はちゃんとしていたように思うが、
いかんせん、しばらくやってないうちに規約が変わっていた
こともしらんかった、オレのアホが悪いねんって(爆)

> >  1EPクリア必須なので、書いてみよう……
>  ………………(とーいめ)
>  …………まー、ぼちぼちいこう(汗)

 気張らなくていいと思うけどー(汗)
 そも、そのあたりの敷居が高いというイメージを打破せんと、
例の企画……はっ(自爆)


>  なんか良かった〜(笑)
>  ……でも、璃慧ちゃん何かいたんだろ?(^^;

 EP内では言及してないけど、「ともだち」の話をアレンジしたような
お話のつもり。
 それ読んで、涙腺の緩い竜胆さんは感激した次第(爆)<身も蓋もない

>  ……そーいえば、しろぴょんとのキャラチャもEP化してないなあ(とーいめ)
>  では〜(ひるりら)

 うっ……
 

 #るりるり(彫像猫の方)とシロぴょんって、外見そっくりなんやねー。
 #さっき気づいた。


EP:「思い出は永遠に」
========================


登場人物
--------

 豊秋竜胆(とよあき・りんどう):
     :エーテル使いで吸血姫のファミレス店長代理。
     :猫煩悩。
 白月悠(しらつき・はるか)
 水瀬璃慧(みなせ・あきえ):
     :言霊使いの高校生。もの書きが趣味&将来の夢。
     :悠の親友でもある。

登場人外
--------

 シロぴょん:
     :化け猫。齢二歳を迎え、相変わらず落ち着きがない。
     :名前の通り真っ白。目は金色(笑)
 るりるり:真っ白な毛並みと瑠璃色の双眸を持った小さな猫。
     :本来の姿は大理石の彫像

とある休日に
------------

 竜胆     :「寒ーい(汗)」
 シロぴょん  :「あるじー……家、帰りたいニャ〜」

 手袋にダウンジャケットにマフラー。
 自分なりに防寒装備を整えて、出てきたつもりだったのだが。
 日頃、空調完備の職場で働いている竜胆と、空調完備の部屋でのうのうと、
ごろごろしている猫のコンビは、自らの予想が甘かったと、後悔していた。

 竜胆     :「だめ。珍しく早起き出来たんだから、冬の風情を堪能す
        :るまでは、帰らないの」
 シロぴょん  :「ウチはたっぷり、堪能しました……」

 ダウンジャケットの胸元から顔を出しているシロぴょん。
 猫をダウンジャケットの内に入れてなお、盆地、吹利の冬は底冷えする。

 竜胆     :「あたしはまだ堪能してないの。ほれ、河原に行くぞ」
 シロぴょん  :「ニャ〜」


河原にて
--------

 平日のお昼過ぎ……むしろ、夕方に近い時間。
 前日夜番だった竜胆の「早起き」は、どうやら普通の「早起き」とは、数時
間の誤差があるようだった。
 日はすっかり西に傾いて、あちらこちらが、黄色く染まりつつあった。

 商店街を抜ける間、通りすがりの中学生や高校生に、「可愛いね」などと言
われて、シロぴょんはすっかりご機嫌だった。
 もちろん、猫煩悩の竜胆も上機嫌だ。

 シロぴょん  :「あるじ、冬の風情はまだかニャ〜」
 竜胆     :「きっと河原にはあるよ、うん」

 所詮思いつきで行動しているにすぎないから、発見できる保証はない。
 未だ雪解け水が流入していないせいか、水量は以前見た夏頃と比べると、少
なく思えた。

 シロぴょん  :「あるじ、あるじ、下ろしてっ」
 竜胆     :「はいはい」

 下りていたはずの霜は、もちろん解けてなくなっている。
 そして、風は冷たいものの、朝から晴れていたせいか、地面も乾いていた。
 竜胆がシロぴょんを下ろしてやると、犬のように喜んで、少し走ってはごろ
ごろと寝そべり、また走るといった謎の動作を繰り返す。

 竜胆     :「犬みたい」

 くすくすと笑って、竜胆はしばらく堤防の上を歩く。
 見知った二つの後ろ姿を見つけるのに、さほど時間はかからなかった。

 竜胆     :「あっきえちゃん、はっるかちゃんっ」


三人
----

 名前を呼ばれた二人の少女は、ほぼ同時に振り返った。

 璃慧     :「あっ、竜胆さん」
 悠      :「あ……こんにちは……」

 ぺこっとおじぎする悠。
 二人は河原の斜面に座って、話し込んでいたようだった。

 竜胆     :「なにしてるのー?」

 竜胆はすたすたと傍らに歩み寄って、しゃがみ込む。
 幸い、そこだけ湿っているという、イヤな事態にはならなかった。

 璃慧     :「えっと、あの……(あせあせ)」
 悠      :「璃慧ちゃんが書いた小説を……読ませてもらってたの」

 少し顔をあげて、悠が言う。
 恥ずかしいのか、璃慧は首と手を非同期で振って。

 璃慧     :「た、たいした話じゃないの、本当(汗)」

 否定する。

 竜胆     :「小説書くんだ。音楽もやって、小説まで書くなんて、す
        :ごいね」

 竜胆の感嘆した様子にも、まだ首を振る。

 璃慧     :「すごくないって(汗) オーケストラの方は初めてそん
        :なに経ってないし、これだって……。人にみせられたよう
        :なもんじゃないよお。書き直ししなきゃなー(とーいめ)」
 悠      :「そうなの?」
 璃慧     :「う……」
 竜胆     :「あたし、物書きも音楽も全然だめだから、うらやましい
        :よ、うん」

 少し離れたところでは、シロぴょんが、まだ走ったり転がったりしていた。


物語
----

 悠      :「あ……猫」
 璃慧     :「え? 本当だ」
 悠      :「竜胆さんにも……読んでもらおうよ、このお話」
 璃慧     :「え……、でも下手だし(汗)」
 竜胆     :「よかったら、読ませて欲しいな」

 しばらく逡巡して、璃慧がうなずく。
 悠が、手にしていた、ホッチキス止めの用紙を竜胆に手渡した。

 物言わず読み進める竜胆の姿を、複雑な表情で見守る璃慧。
 悠は、穏やかで優しく微笑んだまま、やはり見守っている。

 竜胆     :「……」
 璃慧     :「……」
 悠      :「……」

 読み終えて。
 竜胆は、しばらく黙りこくっていた。

 璃慧     :「……ま、まだ、プロットに書き足した程度だし(汗)」
 悠      :「……いいよね?」
 竜胆     :「なんか……嬉しくなってきたの」

 顔を上げて、竜胆は続ける。

 竜胆     :「遠くに行っちゃったけど……やっぱり、璃慧ちゃんも、
        :悠ちゃんも、あの子たちの、友達なんだって……」
 璃慧     :「当たり前、だよ……」
 悠      :「私も、それ読んで……嬉しくなったよ」
 竜胆     :「そのお話……あの子たちにも、読ませてあげないとね」
 璃慧     :「……うん」

 ちょっと恥ずかしそうに、それでもしっかりとうなずいてみせる。

 しばらく、静かで穏やかな時が流れた。
 無言だったが、意識はある程度、共有していたような感覚。
 それが、歌声であると、認識したのは、ややあってから。


歌声
----

 悠      :「……」

 どこまでも透明な風に乗って。
 どこまでも流れて、空に広がっていきそうな歌声だった。

 竜胆     :「……」
 璃慧     :「……」

 歌声はしばらく続いて、やがて消える。
 二人が、小さく拍手する。
 悠は、きょとん、とした表情で二人を交互に見ていたが、やがて恥ずかしそ
うに、下を向いてしまった。

 悠      :「……(赤)」
 竜胆     :「今の歌……聞かせてあげたいな。MDかなんかに録って」
 璃慧     :「うんうん」
 悠      :「……だめ……」

 小さく首を横に振る悠。

 竜胆     :「じゃ、せめて詞だけでも……ね?」
 悠      :「……」

 小さく、うなずく悠。

 竜胆     :「それじゃ、あたしも……あたしなりの表現をしないとダ
        :メかな……」
 璃慧     :「え?」
 悠      :「?」
 竜胆     :「三人分、そろってないと……あたしだけ何にもなしじゃ、
        :かっこわるいじゃない。そうだ、今からちょっと、時間あ
        :る?」

 立ち上がって訊ねる。

 璃慧     :「まだ、平気かな」
 悠      :(こっくし)

 やはり、小さくうなずく悠。

 竜胆     :「それじゃ、公園行こう? るりるりに会いに、さ」
 璃慧     :「あ、うん、賛成〜☆ でも、いるかなあ?」
 悠      :「うん……いるかな?」


公園で
------

 公園につく頃には、すでに日はかなり落ちかけていた。
 水銀灯はすでに点っていたが、周囲を照らせるほどには、明るくなっていな
かった。

 璃慧     :「このあたりに、よくいるんだけど……るりるりー、いるー
        :?」
 悠      :「るりるりー」

 竜胆は、猫缶を買ってくるといって、離れていた。
 竜胆の飼い猫、シロぴょんは、悠にだっこされて、きょろきょろしている。

 にゃあ

 小さく鳴いて、植え込みから一匹の猫が現れた。

 璃慧     :「あっ、いたー。るりるり、おいでー」
 るりるり   :「みゃ〜〜」

 とてとて、と小走りにやってくるるりるり。
 シロぴょんが片手をあげるような仕草を見せると、るりるりも、にゃん、と
鳴いて答える。

 璃慧     :「今の……挨拶してるのかな? ……まさかねえ」
 悠      :「私は挨拶してたんだと思うけど……」

 シロぴょんを下ろす悠。
 二匹の猫は、向かい合うように座った。

 竜胆     :「お待たせ〜、猫缶買ってきたよ。あ、るりるり、居たん
        :だ〜。ひさしぶり〜」
 るりるり   :「にゃあっ」

 早速猫缶を袋から出す竜胆。
 きちんと二つ買っている。

 竜胆     :「璃慧ちゃんたちからあげて」

 そして、手渡す。


写真
----

 二人がそれぞれ、猫缶を置くと、二匹はそれはもう嬉しそうに猫缶を平らげ
た。さすがは猫皇帝といったところか。

 竜胆     :「みんなでさ、写真撮って……それも一緒に送ろうと思う
        :んだけど……写真、嫌い?」
 璃慧     :「……みんなって」
 竜胆     :「るりるりと、璃慧ちゃんと、悠ちゃんと、あたし」
 悠      :「……うん。るりるりが、きっかけだったんだもんね」
 璃慧     :「……いいけど、カメラは?」
 竜胆     :「じゃーん。デジカメ〜」

 ダウンジャケットのポケットから、取り出して。

 璃慧     :「……みんなでって……揃ってる写真、誰が撮るの?」
 竜胆     :「……あ(汗)」
 悠      :「……くす」

 璃慧の冷静な「つっこみ」に、硬直する竜胆。

 竜胆     :「せ、セルフタイマーあるから、大丈夫だって、うん」


届け
----

 手紙をポストに入れて、竜胆は空を見上げた。
 璃慧と悠と、るりるりと。
 撮った写真は、きちんとプリントアウトして同封した。
 璃慧の小説も、悠の詩も。

 竜胆     :「空はつながってる……んだよね」

 ありふれた表現に、竜胆は苦笑する。
 文才も、歌心もない自分では、これが精一杯。

「体を治して、早く帰っておいでね。璃慧ちゃんも、悠ちゃんも、るりるりも
待ってるから。あ、もちろん、あたしも待ってるからね」

 かたん、と、ポストの蓋が閉まる音が響いた。
 風はまだ冷たく、見上げた空は、あいにく薄雲っていた。

 竜胆     :「春になったら……行こうかな」




時系列
------
 冬のある日。
 それなりに親しくなっているみたいです。

 オンラインセッション「ともだち」以降
 「ふぁらんどーる」以降
 「ふぁらんどーるの打ち上げ(仮)」以降

 #……なんか催促してるみたい(汗)

解説
----
 #とよリリ主観による璃慧ちゃん&悠ちゃん像(爆)

 ……はおいといて。


 大切なともだちとの思い出。
 三人の共通の思い出を、三者三様の形で。

 覚えている限り、それは永遠。

 忘れないように、思い出すように。
 永遠を、永遠にとどめておくために。


$$
 

とよリリ
toyolili@trpg.net
lili_sc28@pdx.ne.jp
http://www.trpg.net/user/toyolili/

Love is not dead!

    

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