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Date: Tue, 1 Feb 2000 13:23:37 +0900 (JST)
From: 勇魚 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17801] [NNM] ：「暗礁」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200002010423.NAA69518@www.mahoroba.ne.jp>
In-Reply-To: <200001310010.JAA55464@www.mahoroba.ne.jp>
References: <200001310010.JAA55464@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 17801
2000年02月01日:13時23分36秒
Sub:[NNM] ：「暗礁」 :
From:勇魚
勇魚です。
いろいろと読んで。
いろいろと考えて。
ああやっぱり書きたいシーンがあるな、と。
というわけで、帰ってきました。
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「暗礁」
鳴っている。
鳴っている。
真南の暗礁。
あれが鳴るのは、大漁の兆せだったという。
海面を埋めて、稚魚の群れが押し寄せ、
海の形が変わった日さえあった、という。
随分昔から、そんなことはなくなっていた。
俺だって、うまれてこのかた、そんなもの、見たことはない。
だけど、じいさんばあさんたちは、言うのだ。
最近おこった、一番悪いことのせいにして。
昔はよかった、昔はよかった、って。
魚が来なくなったのは…
その理由、何度変わったか知れやしないのに。
苦笑いと一緒に酒をあおる。
護岸からは小さな桟橋が、10度くらいの角度で海の中に落ちていて、
日々の収獲はそこから逆さまに引き摺りあげられる。
護岸のわきの市場の処理場で、
マグロが捌かれ、シイラがトラックに乗せられ、
たまにはサメがはらわたをさらしている。
今日、米兵があがったらしい。
そろそろ、回遊の季節だもの、サメにやられたか、それとも。
ホオジロザメの出る海域だからねぇ。間違われて刺し殺されたのだ、と、
したり顔の噂が酒の席の床近くを漂う。
…ダレガシンジテイルモノカ…
港近くはにわかに騒がしくなっている。
俺たちは肩をすくめて酒を注ぐ。
おだやかな日々を保証しているのは。
海と。距離と。そして俺たちではない誰かにとって、
極度に都合のいいこの島の位置と。
そして、無関心。
外に出ると、まだ執拗に暗礁が鳴っている。
恨みねたみ不安殺意悲しみ歯軋り地団駄嗚咽…
どうすればいいかなど、
知るものか。
ただ安全に生きているのだのに。
潮が満ちてくる。
礁の声は、潮鳴りに紛れる。
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場所は石垣島。
真南の暗礁、というのは固有地名だったりします＜ローカルすぎ（汗）
時期は…ずいぶん後でしょう。
「二番窓口」と同時期くらい。
そんなとこで、ではまた。