[KATARIBE 17765] [HA06P] 『白犬の一日』(1)

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Date: Fri, 28 Jan 2000 14:23:24 +0900 (JST)
From: ごんべ  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17765] [HA06P] 『白犬の一日』(1) 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200001280523.OAA78014@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 17765

2000年01月28日:14時23分23秒
Sub:[HA06P] 『白犬の一日』(1):
From:ごんべ


 ごんべです。

 白犬の日常EPを流します。
 吉GUYさん、ほんの少しだけ(^^;吉武さんをお借りしました。


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エピソード『白犬の一日』
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登場人(?)物
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 白犬
    :本名不詳、仙号「白雲」。魍魎喰らいの仙犬。
     真っ白な毛並みとでっかい身体を持つ。基本的にはとても大人しい。
 金元 吉武 (かなもと・よしたけ)
    :整体業を営む隠棲武術家。日々の修行を怠らない。
     最近は少しだけ人が丸くなったらしい。


おはよう
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 白犬の朝は遅い。

 白犬     :(……むくり)

 と言っても他の犬に比べて、ではある。人間で起きているのは、朝一番に起
きる元気なおじいさん達くらいである。
 昨夜忍び込んだ朽ちかけの廃屋の庭で、白犬は目を覚ました。

 白犬     :(大きくあくび)

 さて、今日は一日何をしようか。……と考えるのは人間であって。
 犬は、日々をそれなりに生きているだけである。

 白犬     :ほてほて

 今日は白犬はどこへ行くのであろうか。


犬たちの街
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 まずは町内をぐるりと一周する。人通りが増えてからでは面倒になる。
 それは、戸口に飼われている街中の犬達との交流の時間である。

 どこかの犬  :「へっへっへっ」
 白犬     :「……ふすん」

 ……何やらコミュニケーションが交わされたらしい(笑)。

 白犬     :(…………くんくん)

 この白犬は雄のはずだが、あまり小便をひっかけている姿は見ない。
 それでも電柱の根方の匂いは細かくチェックしている。

 白犬     :(のそのそ)
 散歩中の女性 :「あら、どこの犬かしら……危ないわねぇ」
 散歩中の犬  :(……こそこそ)
 散歩中の女性 :「あら、お前何を逃げてるのよ。いつもは飛びかかってい
        :くのに(笑)」

 散歩中に自分の犬を他の犬に飛びかからせないようにするには、飼い主の責
務とは言え苦労する。その手間を軽減してやるのだからそれなりの親切であろ
う(笑)。
 それなりの(犬に対してのみの)権威をともなって見回りをすませた白犬は、
再びどこかに姿を消した。


朝のひととき
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 白犬がどこかへ行方をくらませるのは、通勤通学の時間帯が終わって街が静
かさを取り戻すまでだから、2・3時間はそうして人目に付かない場所にいる
ことになる。

 白犬     :(大あくびっ)

 今日の彼の避難場所は、とある神社の境内である。
 とは言えここには、先客が一名。

 SE     :ドンッ

 朝早くから、男が一人、大きな音をたてながら足元を踏みしめている。
 それを震脚と呼ぶ知識は、白犬にはない。男は、ここに来れば見る顔である。
 気が向いたのか、今日は白犬は庭先へ出て、男の目につくところにいた。

 吉武     :「……今日はこれまでにしておくか……
        :……それにしても、あの犬」

 若干離れているとは言え、震脚を繰り返し鋭い動きを見せる彼の前で、平然
としている白犬に吉武は内心で感心していた。
 帰り際に、何となく声をかけに近寄る。

 吉武     :「……俺よりも功を積んでいるかも知れんな」
 白犬     :「………………………………ふすん」
 吉武     :「鍛錬を怠るなよ」

 そう言って帰っていく吉武の背中を、白犬も何となく見送っていた。

 白犬     :「………………(あくび)」


午前中
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 宮司     :「おや、"シロ"。今日は来ているんだね」

 竹ぼうきを持った和装の人物が白犬に声をかける。
 夜はいないが、昼間はよそから宮司の人が境内の手入れに来るのだ。

 白犬     :「…………(じっと見ている)…………(口周りをぺろり)」

 声をかけられても特に動じることもなく、首だけもたげて辺りを見回してい
る。宮司の声には、ちょっとだけ尻尾を振って応える。
 宮司が本来の仕事に戻ると、白犬はちょっと河岸を変えることにした。

 老婦人    :「おや"雪"や、よう来てくれたねぇ」
 子供     :「あー、"ユキ"だぁ!」

 やってきたのは古い町並みの中のとある家の庭。白犬が顔を出すと、縁側に
いた老婦人が声をかけてきた。それを聞きつけて、小さな子供が顔を出す。

 白犬     :(しっぽをぱたりぱたり)
 子供     :「わーいっ」(ぽふっ)
 老婦人    :「これこれ、"雪"が困っているじゃないか(笑)」
 子供     :「大丈夫だよっ、"ユキ"はおっきいもん!」

 と言っているうちに白犬に乗って背中にまたがろうとする(苦笑)。まあ白犬
自身は、この子供が期待するよりもさらに数倍頑丈なので、びくともしない。

 老婦人    :「"雪"や、何か食べるかい?」
 白犬     :(ぱたりぱたり)

 どうやら、食事の何割かはここでもらっているらしい(笑)。

 老婦人    :「さ、残り物だけどどうぞ」
 白犬     :(じっ…………もそもそ)

 老婦人を見て、食事の盛られた器を見下ろす、その一連の仕草がお辞儀のよ
うに見えなくもない。おそらくちゃんと老婦人に感謝はしながら、しかしもの
の1分で器は空になった。

 子供     :「はやーい」
 老婦人    :「"雪"は大きいからねぇ(にこにこ)」
 白犬     :(口周りをぺろり)

 腹がくちると少々眠くなるのは犬も同じだが、傍らの子供が放っておかない。
まあ、ただで食事を得られるための労働だと思うべきである(笑)。


クロスオーバー
--------------

 しばらくして、子供が飽きた頃合いを見計らって、彼は眠るところを探しに
抜け出した。
 と。

 SE     :ブロロロロ……

 一台の白い車がちょっと離れたところに止まった。窓が開く。

 公務員A   :「ほら、例の白犬」
 公務員B   :「あー、ほんとだ」
 白犬     :(……くんくん)

 何やら彼についての話題があったらしい。

 公務員A   :「こんなところをうろついていると、保健所に捕まっちま
        :うぞ。うちとしては君が捕まるのは忍びないので、一応伝
        :えておきます」
 公務員B   :「俺達だって保健所員だろう(笑)」
 公務員A   :「ちなみに、鑑札の発行や予防接種は、保健所まで。君の
        :場合はうちの課で無料で承りますので、ちゃんと来るよう
        :に。わかったかな?」
 白犬     :「…………(じっ)」
 公務員B   :「わかったと思うのか?(苦笑)」
 公務員A   :「まあ、気は心だ。……それじゃ」

 ……果たして、わかっているだろうか(笑)。


昼下がり
--------

 河原まで足をのばした白犬は、抜けるような冬の青空の下でひなたぼっこを
しながらうつらうつらしていた。

 女子高校生A :「あー、"ゴン太君"だぁ」
 女子高校生B :「あ、ほんとだ」

 学校が早めに引けた高校生らしき女子たちが、彼に気付いて近寄ってきた。
 ちなみに言えば、彼はラブラドルレトリバーではない(笑)。

 女子高校生A :「時々しかいないんだよねー」
 女子高校生B :「大人しいねー」
 白犬     :「…………」(するようにさせている)
 女子高校生A :「賢いんだよねー」
 女子高校生B :「ほら。お手っ」
 白犬     :(…………べろりっ)>女子高校生Bの顔
 女子高校生B :「きゃっ!」
 女子高校生A :「あははは」
 女子高校生B :「もー、何でよぉ」

 ……わざとやってないか?(笑)

 女子高校生A :「あ、バイト始まっちゃう」
 女子高校生B :「じゃ行こっか」
 女子高校生A :「それじゃねー」
 女子高校生B :「またねー」
 白犬     :(…………組んだ両前足の上にあごをのせる)

 再び彼は昼寝に戻った。

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 ひとまず切ります。続きはまた。

 今頃(2000/1/末)のとある晴れた日の出来事として想定しています。
 乱入大歓迎です。ただ、白犬視点で客観表現、と言う感じでいきたいので、
そんな感じで書いていただけるとありがたいです。


 それでは。

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ごんべ
gombe@osk3.3web.ne.jp


    

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