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Date: Thu, 27 Jan 2000 20:53:56 +0900 (JST)
From: 久志 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17755] [MMN] 「逃亡」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200001271153.UAA31284@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 17755
2000年01月27日:20時53分56秒
Sub:[MMN]「逃亡」:
From:久志
久志@逃亡中です(こら)
ええと、なんか何時の間にかできてた霙の街の小説流します。
『逃亡』
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一生に一度、決断しなければならない時がある、という。
何度も書き直した手紙には、結局伝えたいことの半分も書けなかった。
ただ、最後に一言。
『父さん、姉さん、ごめん』
そんな言葉しか残せなかった。
今生の別れ。
意識しなくとも、今まで生きていて一体どれだけのものと今生の別れ
をしてきたのだろう。ただ、感じないだけで、自分はもっと数え切れな
いほどの別れをしてきたはずだ。こんな時でなければきっとそのことに
すら気づかずに生活していただろう。
そっと、音を立てずに戸を閉める。まだ空が白みはじめる前、吐く息
が白く、空気が肺に染み入るように冷たい。
彼女はもう来ていた。
「待った?」
「ううん」
ぎゅっと手を握り締めたまま小さく首をふった。
「ごめんね……」
「あやまらなくていい」
父さん、ごめん。
姉さん、ごめん。
たとえ今生の別れだとしても……
「行こう」
握り締めた彼女の手は凍りつくように冷たかった。
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一連の小説に出てたお姉さんの弟くんです。
ってこれでおしまいなんですが(笑)>出番
恋人と逃げちゃいます、おそらく徴兵忌避でしょうな。