[KATARIBE 17755] [MMN] 「逃亡」

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Thu, 27 Jan 2000 20:53:56 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17755] [MMN] 「逃亡」 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200001271153.UAA31284@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 17755

2000年01月27日:20時53分56秒
Sub:[MMN]「逃亡」:
From:久志


 久志@逃亡中です(こら)
ええと、なんか何時の間にかできてた霙の街の小説流します。

『逃亡』
****************************************************************

 一生に一度、決断しなければならない時がある、という。

 何度も書き直した手紙には、結局伝えたいことの半分も書けなかった。
 ただ、最後に一言。

 『父さん、姉さん、ごめん』

 そんな言葉しか残せなかった。

 今生の別れ。
 意識しなくとも、今まで生きていて一体どれだけのものと今生の別れ
をしてきたのだろう。ただ、感じないだけで、自分はもっと数え切れな
いほどの別れをしてきたはずだ。こんな時でなければきっとそのことに
すら気づかずに生活していただろう。

 そっと、音を立てずに戸を閉める。まだ空が白みはじめる前、吐く息
が白く、空気が肺に染み入るように冷たい。
 彼女はもう来ていた。

「待った?」
「ううん」
 ぎゅっと手を握り締めたまま小さく首をふった。
「ごめんね……」
「あやまらなくていい」

 父さん、ごめん。
 姉さん、ごめん。

 たとえ今生の別れだとしても……

「行こう」

 握り締めた彼女の手は凍りつくように冷たかった。
****************************************************************
一連の小説に出てたお姉さんの弟くんです。

 ってこれでおしまいなんですが(笑)>出番
恋人と逃げちゃいます、おそらく徴兵忌避でしょうな。



    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage