[KATARIBE 17734] [HA06P]: 「たぬき暮らし」

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Date: Thu, 27 Jan 2000 01:24:32 -0000
From: "matsuyama satoshi" <caw-system@mtg.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17734] [HA06P]: 「たぬき暮らし」
To: "kataribe" <kataribe-ml@trpg.net>
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 こんばんわ
 灰枝真言@どんどんいくぜい です

ちょっとした日常です。

『たぬき暮らし』
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お部屋掃除
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 生き残った引越し荷物をあちらこちらに積み上げて、
 末夜とタヌキが部屋の真ん中で途方に暮れている。
 考えなくダンボールをあけたので、部屋は竜巻の被災地のようだ。

 末夜    :「……おい」
 タヌ     :「……はあ」
 末夜    :「とりあえず許すから、ぱあっとやってしまえ」
 タヌ     :「ほ?」
 末夜    :「例の念力か何かで、部屋を片してしまえと言うてるのだ」
 タヌ     :「あ、それ無理です」
 末夜    :「何故?」
 タヌ     :「頭をぶっつけた拍子に、コツを忘れました」
 末夜    :「……コツなのか?」
 タヌ     :「コツなんですよ。重い荷物を持ち上げるの」
 末夜    :「軽くてもいいからやってみろ」
 タヌ     :「――えい」

 Tシャツが数枚、へろへろ動いた。 
  
 末夜    :「……判った。ご苦労」

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 しばし後。
 末夜、ダンボールの底から出てきた古本に読みふけっている。
 タヌキ、後ろで靴下を整理している。丸まっちい手で洗濯物が畳めるのは何故か、
末夜はふと尋ねようとして、やっぱり止めておいた。
 コツを忘れられると、困る。

 タヌ    :「ねえねえ」
 末夜   :「何だ?」
 タヌ    :「どうして靴下が片っぽだけ、沢山あるんです?」
 末夜   :「……靴下というものの生態について、何も知らんようだな。
        靴下は生後二ヶ月になると交配をはじめる。左右どちらかが雌で
        どちらかが雄だ。交配の結果、子どもが生まれるが、子供の成長
        時期に、雄は餌となって食べられてしまう。
        ……だから、そこにいるのは雌の靴下とその子供だけなのだ」
 タヌ    :「……ふうん。そういう物だったんだなあ」
 末夜   :「そうなのだよ。覚えておけ。いつか何かの役に立つぞ」 

 ――掃除はまだまだ終りそうにない。
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 ほとんど実話ではないか、これでは。
 以上。

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  想起せよ!
  妖精を  竜を  魔神を。
  想起せよ!
  空に浮かぶ町々  海に沈んだ町々を。

                         灰枝真言
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