[KATARIBE 17691] [MMN]EP: 「夏のかけら」

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Date: Tue, 25 Jan 2000 00:18:50 -0000
From: "matsuyama satoshi" <caw-system@mtg.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17691] [MMN]EP: 「夏のかけら」
To: "kataribe" <kataribe-ml@trpg.net>
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霙の街関係者の方々一同こんばんわ。
灰枝です。

思わず書いてみました。
なにぶんキャラ設定もなにも関係ない代物ので、
お邪魔でしたら適宜処理願いいたしますです。
(ついでにいえば小説でもあるまい)

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夏のかけら

一月の地べたにひきおろされた太陽が
百年分の夏を一度につかい切って
雲の下にはきっともう
冬しか残っていないだろう。

百年分の夏のかけらは
小娘の目にとびこんで
永遠に白い熱い夏が
今でもまぶたの裏を照らしている。

お兄ちゃん、あったかいね。と小娘が笑う。

寄りそって穴ぐらから覗く街には
今日も霙が降っている。
今は冬。
思うのは、白い熱い夏。

白くて熱い夏のかけらが
小娘の脳を灼いたのは
上に居るだれかの
せめてもの情けか。それとも皮肉か。

焚き火の墨をつかもうとする小娘を
今日も何度目か、おさえて止める。
それは冷たくなんかないんだよ。
それはジュースに入った氷なんかじゃない。
(……それにぼくはお兄ちゃんじゃないんだ)

隙間風がふいてくる。
だれか僕の代わりに
ドアをしめてくれませんか?

あったかいね。と小娘が笑う。
あったかいなと、ぼくも笑う。
あと数日間はあたたかい
季節はずれの夏のかけらを
手の中にしっかり抱きしめて
ぼくはここで。

抜ける青空と
入道雲を待っていよう。

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#以上。
   ノーマンズランド外辺部くらいでしょうか?
   爆発から数日後の話です。
   ・・・・・被爆致死量です。
   そういう状況で、何を思うかと考えてみると。
   こんなこともあるかな、と。
  ……普通は春を待つのかもしれませんね。

  ちなみに「熱い夏」であっております。

  ばい:灰枝真言


    

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