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Date: Tue, 18 Jan 2000 21:29:27 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17557] [HA06P] :「夜陰の雲」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200001181229.VAA73398@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 17557
2000年01月18日:21時29分27秒
Sub:[HA06P]:「夜陰の雲」:
From:E.R
こんにちは、E.Rです。
ごんべさん、こんにちは。
#先だっては、こちら先走ってEP書いてしまいまして、申し訳ありません m(_ _)m
………と言いつつ。
すみません、また仙犬さんお借りしましたっ(平身低頭)
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「夜陰の雲」
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某日、瑞鶴。
深夜である。
いびつな形の月が、ゆっくりと中空に浮いている。
店員兼おさんどん兼妹、の花澄も先刻帰っていった。
途端に寒くなった店内で、店長は一つくしゃみをする。
最後に本棚を点検する。そして入り口の毛布の上に寝そべった猫をまたいで
がらがらとシャッターを下ろ………………しかけて。
店長 :「なんだ?」
店の前に、大きな白犬がいる。
野良犬、だろうか。それにしては毛並みが見事である。
また、いわゆる野良犬にありがちな目をしていない。隙の無い、飢えた、ど
こかこちらも気を張らねば相手が出来ないような、野良特有の雰囲気が…
……この犬には、無い。
店長 :「………?」
後ろで、どうやら目を醒ましたらしい猫が、ふすん、と一つ鼻を鳴らす。
犬は、黙って座りこんでいる。
店長 :「腹、減ってるのか?」
犬 :「………(小さく鼻を鳴らす)」
にしても、ちょっと並みの大きさではない。ということは……食べる量も、
並みではあるまい。
店長 :「………(思案中)………(思案中)……ちょっと待て」
瑞鶴の猫 :「………なぅ(不満気)」
頭をもたげた猫を、ひょいとまたいで店を突っ切り、台所へと行く。冷蔵庫
を開けて、手近にあった大きめの鉢を一つ引っ張り出す。ラップを外してから、
店長は店の外に出た。
犬は、おとなしく待っていた。
不思議なことに……人だろうが猫だろうが犬だろうがえり好みの激しい筈の
瑞鶴の猫も、おとなしく待っている。
店長 :「お前だと、この量じゃ余計に腹が減るかもしれないけど」
犬 :「………(くぅん)」
鉢の中には、豚の角煮が入っている。
匂いを嗅ぎつけて、猫が寄って来る。
店長 :「……お前、さっき、シーチキンやったろうが」
瑞鶴の猫 :「ふがぁ(文句)」
店長 :「じゃ、ほれ、一個」
店の隅に置いてある、餌用の皿を引き寄せて、小さ目のを一つ乗せる。残り
のうちから、やはり一つつまみあげると、あとは道上に気をつけて置く。
店長 :「まあ、少ないけど、どうぞ(笑)」
犬 :「…………(こくん、と頭を一つ振って食べ出す)」
つまみあげた角煮を、口の中に放りこむ。良く煮てあるせいか、柔らかく口
の中で崩れてゆく。多少味が濃い目だが、まあ、この程度ならば問題無い。
気がつくと犬はすっかり食べ終えたらしく、鉢から顔を離してこちらを見て
いる。
店長 :「まー………腹ふさぎにもならなかったかな(苦笑)」
犬はじっと店長を見ると、一度、礼を言うようにこくりと頷いた。
そしてそのままゆるり立ちあがり、やはりゆるりと歩を進めてゆく。
白い毛が、頼りない街灯の光を照り返して、つやつやと光っている。
その、様が。
店長 :(……なんか、後ろに月が隠れた雲みたいだな)
ふと気がつくと、猫のほうも皿を綺麗に舐めたあと、元通り、毛布の上に丸
くなっている。苦笑混じりに、店長は鉢を取り上げた。
店長 :「お前が、犬に喧嘩売らないのは珍しいな」
瑞鶴の猫 :「…………(大欠伸)」
まあ、あの体格の犬に喧嘩を売るほどには莫迦でない、ということか、と、
一人で納得しながら。
店長は、最後にシャッターを閉めた。
からから、と、音を立ててシャッターが閉まった後には、やはりいびつな月
が中空に浮かんでいる。
シャッターが、月の光を跳ね返して、冷たく光った。
某夜の出来事である。
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ちうわけで。
うう、唐突に書きたくなりました(汗)
……猫と犬と店長の風景です(汗)
瑞鶴の猫も、仙犬に喧嘩を売るほどには莫迦でもないと(苦笑)
#まあ……なにかは、読み取ったんだろう、多分(^^;;;
というわけで。
前回のと重ねて、修正訂正破棄等々、宜しくお願いいたします。
では。